「持続化給付金」だまし取った疑い 国税局職員ら7人逮捕
2022年6月2日 12時02分 事件
シェアするhelptwitterfacebookline
新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に国から支給される「持続化給付金」をだまし取ったとして、東京国税局の職員など7人が詐欺の疑いで逮捕されました。警視庁は大学生などを中心におよそ200人にうその申請をさせ、合わせて2億円を不正に受給した疑いがあるとみて調べています。
逮捕されたのは、横浜市にある東京国税局鶴見税務署の職員塚本晃平容疑者(24)と、東京国税局の元職員や証券会社の元社員など、いずれも20代の男女合わせて7人です。
警視庁によりますと、7人はおととし、個人事業主を装い、新型コロナウイルスの影響で事業収入が大幅に減ったといううその申請をして、国の持続化給付金100万円をだまし取ったなどとして詐欺の疑いが持たれています。
大学生を中心とする若者を勧誘し「持続化給付金指南役チーム」というLINEのグループに入れたうえで、不正受給の方法をチャットで指南してうその申請をさせていたということです。
給付金は20%を手数料として受け取り、残りを暗号資産への投資にあてていたとみられています。
警視庁は申請の名義人になっていた大学生や高校生など7人についても、詐欺の疑いで書類送検しました。
調べに対し、逮捕された7人のうち塚本職員は黙秘しているということですが、一部は容疑を認め「およそ200人にうその申請をさせた」と供述しているということです。
7人は同じ投資グループのメンバーとみられるということで、警視庁はこれまでに合わせて2億円を不正に受給した疑いがあるとみて調べています。
東京国税局「今後事実関係確認し厳正に対処」
東京国税局によりますと逮捕された塚本容疑者は、高校卒業後の平成29年に東京国税局に採用され、去年7月からは横浜市の鶴見税務署で勤務していました。
税金の滞納者に対応する「徴収部門」の業務を担当していたということです。
職員が逮捕されたことについて、東京国税局の中西佳子総務部長は「公務に対する信頼を著しく損なうものであり深くおわび申し上げます。今後事実関係を確認し、厳正に対処いたします。職員の綱紀の厳正な保持について、より一層の徹底を図っていく所存です」などとコメントしています。
不正受給相次ぎ3000人以上検挙
持続化給付金の不正受給に関わったとして検挙されるケースは全国で相次いでいて、これまでに3000人以上に上っています。
持続化給付金は新型コロナウイルスの影響で、売り上げが大きく落ち込んだ事業者を対象に、中小企業などは最大200万円、個人事業主の場合は最大100万円が支給される制度です。
申請の受付は去年2月で終了していて、経済産業省によりますと、これまでにおよそ424万件の申請が認められ、5兆5000億円が支給されたということです。
一方、受給する資格がないにもかかわらず、うその申請を行って不正に受給するケースが相次いでいて、警察庁によりますと、不正にかかわったとして、これまでに全国で3655人が検挙されています。
この中には、専門知識がある税理士や行政書士、それに税務署の職員なども含まれています。
被害の総額は、立件された分だけで31億8400万円に上っているということです。
また、捜査関係者によりますと、申請を受け付けていた当時は手続きの代行業者を名乗る人物やグループもいて、SNSなどを通じて不正受給の方法を指南し、手数料の名目で報酬を得ていたとみられています。
警察庁によりますと「知人に誘われて申請したが、不正受給かもしれない」などといった相談も、これまでに4000件余り寄せられているということです。
警察庁は「学生や会社員などがSNSや知人を通じて、安易に不正に加担するケースも多い。組織的な詐欺グループや暴力団が関わっている場合もあり、不正受給に関する捜査は今後もしばらく続く見通しだ」としています。
Posted at 2022/06/02 12:33:43 | |
トラックバック(0) | 日記