
月探査新宇宙ステーション「ゲートウェイ」に日本人参加決まる
2022年11月18日 11時33分 宇宙
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アメリカが進めている国際的な月探査計画で、今後月の周辺に建設される新たな宇宙ステーション「ゲートウェイ」での活動に、日本人宇宙飛行士が少なくとも1人参加することが日米の間で正式に決まりました。
これは18日朝、永岡文部科学大臣とNASA=アメリカ航空宇宙局のネルソン長官の間で行われたオンラインでの署名式で正式に合意されました。
発表によりますと、アメリカが中心となって進める月探査「アルテミス計画」で、2024年ごろから月の周辺に建設される新たな宇宙ステーション「ゲートウェイ」での活動に、日本人宇宙飛行士が少なくとも1人参加することで合意したほか、2人目以降も引き続き協議することが決まったということです。
また、アルテミス計画への協力として日本は、
▽2030年を目標に無人の宇宙輸送船で4トン分の物資を輸送するほか
▽生命維持のための機器などを提供するとしています。
このほか、地球の周辺を回る国際宇宙ステーションについて、アメリカ側が提案している2030年までの運用期限延長に日本が同意することも表明しました。
「ゲートウェイ」は、およそ38万キロ離れた月を周回する今後の宇宙活動の拠点です。
日本人宇宙飛行士が活動に参加する具体的な道筋がついたことで、新たな局面に入る宇宙開発で日本が存在感を示す第一歩につながると期待されます。
大西卓哉宇宙飛行士「新たな時代の幕開け」
署名式に同席したJAXA=宇宙航空研究開発機構の大西卓哉宇宙飛行士は「私たちにとっても新たな時代の幕開けであり、この場に参加できたことを大変光栄に思っています。来年には新たな宇宙飛行士候補者もJAXAに加わる予定で、私もどんなミッションにも対応できるよう、ともに切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と述べました。
国際宇宙ステーションとは
国際宇宙ステーションは、地上からおよそ400キロ上空で地球を回る有人の活動拠点です。
サッカー場と同じくらいの大きさで、アメリカや日本、ヨーロッパ、それに、ロシアなど15か国が国際協力で運用しています。
長期滞在できる人数は最大7人で、年間を通じて宇宙飛行士が科学実験を行っているほか、近年は民間人が宇宙旅行を行う際に滞在するなど商業利用の動きも進んでいます。
建設は1998年から始まり2011年に完成。当初の運用期限は2015年でしたが、その後、2024年まで延長することが各国の間で決まっていました。
さらに去年12月、アメリカが運用の期限を6年延長し2030年とすることを発表。
日本も2030年までの運用に参加するかどうか議論していました。
ゲートウェイとは
そして今後、地球からおよそ38万キロ離れた月の周辺で建設されるのが「ゲートウェイ」です。
新たな宇宙ステーション「ゲートウェイ」はアメリカや日本のほか、ヨーロッパとカナダの国際協力で2024年ごろから建設を始め、科学実験などが行われるほか、宇宙飛行士が月に降り立つ際にも活用される予定です。
物資の補給にかかるコストなどを踏まえ、
▽大きさは国際宇宙ステーションの6分の1程度、
▽活動できる宇宙飛行士は2人から4人で、
▽滞在期間も年間10日から30日ほどと限られています。
「ゲートウェイ」で活動できる宇宙飛行士は、
▽ヨーロッパが3人、
▽カナダが1人としていて、
▽ヨーロッパは宇宙飛行士の居住棟や通信システムなど、
▽カナダはロボットアームなどを提供します。
意義と課題は
今回の合意は、新たな局面に入る宇宙開発で日本人宇宙飛行士の活躍の機会が確保されたことを意味し、宇宙先進国としての存在感を維持できることが期待されます。
一方で日本は、国際宇宙ステーションの建設や運用に1兆円以上を費やしていて、地球周辺に加えて月周辺の2つの空間で有人の探査活動に参加することになるため、費用に見合う成果をいかに得るかが引き続き課題です。
Posted at 2022/11/18 12:38:44 | |
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