成田空港に反対する男性に 土地の明け渡し命じる判決
03月24日 19時17分
成田空港の滑走路脇で農業を続けている空港に反対する男性に対し、土地を所有する成田空港会社が明け渡しを求めた裁判で、千葉地方裁判所は男性に土地の明け渡しを命じる判決を言い渡しました。
成田空港のB滑走路の脇にある5700平方メートルあまりの土地は、空港会社が買い取ったあとも前の所有者から土地を借りていたとする空港に反対する農家の男性が耕作を続け、空港会社は「同意なく占有している」などとして2006年に男性に対して明け渡しを求める訴えを起こしました。
裁判では会社側が「この土地を避けるため航空機の誘導路を曲げざるを得ず、極めて危険で明け渡しが必要だ」などと主張したのに対し、男性側は「祖父の代から農業を続けている土地で、賃借権があり不法ではない」などと主張しました。
24日の判決で千葉地方裁判所の齊藤顕裁判長は、「前の所有者と結んだ契約には具体的な場所や範囲が特定されておらず、該当する土地を借りることに合意したとは認められない」として男性に対して土地の明け渡しを命じる判決を言い渡しました。
一方で、土地を強制的に収用することが可能になる仮執行は、認めませんでした。
【被告の市東孝雄さん“まったく許しがたい判決だ。これからも農地を死守するために頑張りたい”】
判決を受けて、被告の市東孝雄さんは「これまで10年以上、証拠を集めて説明をしてきたのにすべてを否定され、まったく許しがたい判決だ。これからも農地を死守するために頑張りたい」と述べました。
また、被告の代理人弁護士は不当判決だとして控訴する意向を示しました。
【成田空港会社 “当社の主張が正当であると認められたものと理解”】
判決について成田空港会社は「判決により、当社の主張が正当であると認められたものと理解しております」とコメントしています。
【これまでの経緯】
成田空港のB滑走路やその誘導路をめぐっては反対派の強い抵抗もあって、空港会社がすべての用地を買収できないまま整備や建設が進められました。
その結果、滑走路は当初の計画よりも短い距離で2002年に運用が始まり、その後、反対派の土地を避ける形で長さが確保され、運用が続けられています。
一方、誘導路については、反対派の土地をう回するように「への字」型に作られましたが空港会社は、今の状態では機体を操縦する運航乗務員に心理的な負担があるとしています。
このため誘導路の直線化を進めようと土地の明け渡しを求める訴訟を2件起こし、このうち1件では明け渡しを命じた判決が2016年に確定しています。
Posted at 2025/03/25 00:36:46 | |
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