
人気ロックバンド「オアシス」再結成ツアー イギリスで始まる
2025年7月5日 10時12分
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世界的な人気を誇り、2009年に解散したイギリスのロックバンド「オアシス」の、再結成後初めてとなるコンサートツアーがイギリスで始まり、公演が行われる街には国内外から多くのファンが訪れ、盛り上がりをみせています。
目次
◇「オアシス」 アルバム売り上げ枚数7000万枚超
若い世代の間でも人気が浸透
目次
◇「オアシス」 アルバム売り上げ枚数7000万枚超
若い世代の間でも人気が浸透
公演実施の地域に莫大な経済効果の見方
レコード店 売り上げ増加に期待
専門家「英国の象徴 今後もそうあり続けるだろう」
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「オアシス」再結成ツアー イギリスで開始 日本では10月予定
イギリスの人気ロックバンド「オアシス」は、中心メンバーのギタリスト、ノエルとボーカル、リアムの兄弟の不仲から2009年に解散しましたが、去年8月、再結成し、イギリスなどでコンサートツアーを行うと発表していました。
16年ぶりとなる最初の公演は4日、西部カーディフで始まり、街の中心部ではバンドのロゴが入った帽子やTシャツを着用したファンがパブで楽しそうに歌う様子などもみられました。
また、街のショッピングセンターには、兄弟をモチーフにしたアート作品も展示され、訪れた人たちはポーズをとりながら笑顔で記念撮影をしていました。
7万人以上を収容できる会場にもコンサート前には多くのファンが集まり、このうち、カーディフ近郊から訪れた40代の男性は「とても興奮している。『オアシス』は私にとって人生のサントラだ。再結成で彼らをもう一度見られるのは幸運だ」と話していました。
イギリス中部マンチェスターで1991年に結成された「オアシス」は、これまでに7000万枚以上のアルバムが売れるなど、現在も世代を超えて支持されています。
コンサートはイギリスに続いてアメリカなどでも予定され、日本では10月に公演が行われることになっています。
◇「オアシス」 アルバム売り上げ枚数7000万枚超
「オアシス」は1991年、イギリス中部マンチェスターで結成されました。同じイギリス出身のバンド「ザ・ビートルズ」の影響を受けた高い音楽性や労働者階級の心情をつづった歌詞などで世界的な人気を誇り、これまでのアルバムの売り上げ枚数は7000万枚を超えています。
特に1995年に発売されたアルバム「モーニング・グローリー」は、各国のチャートで1位を獲得するなど、大ヒットとなりました。このアルバムに収録された「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」は多くの有名アーティストがカバーしたことでも知られる代表曲となり、2017年にマンチェスターで20人以上が死亡したテロ事件の犠牲者を追悼する集会では、悲しみや怒りを乗り越えようと合唱された曲としても知られています。
その後、中心メンバーでギタリストのノエルとボーカルのリアムの兄弟の不仲から2009年に解散し、別々に音楽活動をしていましたが、去年8月、公式サイトに「銃声が静まり、星が一列に並んだ。長い待ち時間は終わった」などとコメントが掲載され、15年ぶりに再結成すると発表していました。ことし7月から11月にかけて世界各国でツアーを行う計画で、イギリスやアイルランド、アメリカ、メキシコなどに加えアジアでは日本や韓国など10か国以上で公演する予定だとしています。
若い世代の間でも人気が浸透
「オアシス」の再結成が大きく注目される背景には、中高年のファンだけでなく全盛期を知らない若い世代の間でも人気が浸透していることがあります。
オアシスが結成された中部マンチェスターの近郊に住む19歳のリリーさんは、父親が経営するパブで何度も「オアシス」の曲が流れていたことから自然とファンになったということです。友人の中には、ストリーミング再生などインターネット上の音源で親しんでいる人も多いといいます。
また、30年以上前に結成されたバンドの曲に古さを感じたことはないとしたうえで、その魅力について「ヘッドホンで聴くだけで、自分がロックスターになったような、何でもできるような気分にさせてくれる。曲は私たちにも上の世代にとっても同じようにすばらしいもので、間違いなく新鮮に感じる」と話していました。
リリーさんは今月中旬にマンチェスターで行われる公演に行く予定で「マンチェスター全体のバーやパブなどでイベントが開催される。多くの人がとても興奮していて雰囲気は格別なものになるだろう。リアムとノエルの兄弟は別々のコンサートでみたことはあるが、一緒にいるのは見たことがない。素晴らしい公演になると思う」と話していました。
公演実施の地域に莫大な経済効果の見方
「オアシス」のコンサートツアーは、公演が行われる地域にばく大な経済効果をもたらすという見方も出ています。
このうちイギリスでのコンサートは9月にかけてバンドが結成された中部マンチェスターやロンドンなど4つの都市であわせて17回行われます。
イギリスの大手銀行、バークレイズによりますと、この期間の公演にはおよそ140万人のファンが来場すると推計されていて、ファンの支出金額は10億6000万ポンド、2000億円余りにのぼるとしています。
ファン1人あたりの支出は平均して766ポンド、およそ15万円で
▽チケット代は平均でおよそ170ポンド
▽さらに宿泊費や交通費で170ポンド以上
▽グッズにおよそ60ポンド
▽公演前の飲食代におよそ75ポンドなどと試算されています。
この銀行は、去年行われたアメリカの人気歌手、テイラー・スウィフトさんのイギリスでのコンサートツアーでファンが支出した金額も試算していて、オアシスの公演は、ファン1人あたりの支出はスウィフトさんの公演を下回るものの、コンサートの回数が多いことから支出総額では上回るとしています。
レコード店 売り上げ増加に期待
「オアシス」の再結成のニュースは音楽ファンから関心を集め、コンサートツアーの開催が発表された去年8月以降、イギリスの音楽チャートで代表的な3つのアルバムが同時に5位以内に入るなど盛り上がりを見せました。
ロンドン中心部にあるレコード店では、店内の目立つ場所に人気の高いアルバムのレコードなどを複数陳列していて、今も好調な売り上げを維持しているといいます。
レコード店の店長、デイビット・ブルースさんは「ツアーが発表されたとき、売り上げは急上昇しました。ツアー終了までの間も伸び続けると思う」と話し、盛り上がりが続くことに期待を示していました。
また、ブルースさんはバンドの全盛期を知る中高年のファンは再結成に懐かしさを感じていると指摘し「私は子どものころに『オアシス』で育ち、その後、10代を経て大人になったが、『オアシス』はまだ健在です。音楽とつながることで、人生の道しるべのようなものとなる。再結成のツアーの人気は消えないと思う」と話していました。
専門家「英国の象徴 今後もそうあり続けるだろう」
イギリスの音楽ジャーナリスト、マーク・バローズさんは、「オアシス」が結成された1990年代の前半は、冷戦が終結し、人々が前向きに考えていた時代だったと指摘したうえで「イギリスは現在、心理的にも社会階級でも政治においても多くの分断がある。そうした違いを脇に追いやってしまうような、幅広いファンを持つバンドには人の心を動かすものがある」と述べ、当時を懐かしむ側面もバンドの盛り上がりを支えていると指摘しました。
そのうえで、世界的な人気が続いている理由については「彼らが人気なのはとても優れているからだ。境界を乗り越えるすばらしい曲によって、共通点のない人どうしがつながる瞬間を作り出している。それこそがオアシスの才能だ。文化の壁や国境を越えて広がっていると思う」と述べ、誰もが口ずさみやすく、普遍的な魅力を持つ曲が人々をひきつけているとしています。
さらに、バローズさんは、バンドの今後についてツアーのあと再び、兄弟がけんかをして別々のキャリアを歩む可能性もあるとする一方「彼らは1990年代のイギリスの象徴であり、今後もそうあり続けるだろう。あと30年たっても私たちはまだ『ドント・ルック・バック・イン・アンガー』を聴き続けるだろう。『オアシス』は誰よりも長生きすると思う」と述べ、イギリスの伝説的ロックバンド「ザ・ビートルズ」のように、バンドの人気は将来にわたって続くという見方を示しました。
Posted at 2025/07/05 20:02:11 | |
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