
プロ野球 ソフトバンクが2年連続21回目のパ・リーグ優勝
2025年9月27日 23時46分
プロ野球、パ・リーグのソフトバンクは27日、西武との試合に4対1で勝って、2年連続21回目のリーグ優勝を果たしました。
優勝へのマジックナンバーを1としていたソフトバンクは27日、埼玉県所沢市のベルーナドームで西武と対戦しました。
1対1の同点で迎えた5回、1アウト一塁二塁で3番の栗原陵矢選手がセンターオーバーの2点タイムリーツーベースを打って勝ち越しました。
さらに1アウト一塁三塁のチャンスで5番の柳町達選手がライトにタイムリーヒットを打ってこの回3点を奪いました。
先発の有原航平投手は、1回に1点を失いましたが、その後はフォークボールを低めに集めて立ち直り、7回を1失点、7奪三振と好投しました。
9回は、3人目、抑えの杉山一樹投手が締めくくり、ソフトバンクが4対1で勝って2年連続のリーグ優勝を果たしました。
ソフトバンクのリーグ優勝は、前身の南海、ダイエー時代を含めて21回目です。
小久保監督を7回胴上げ
杉山一樹投手が、相手バッターを打ちとって2年連続の優勝が決まると、小久保裕紀監督はコーチ陣と抱き合い、選手たちは一斉にベンチを飛び出してハイタッチを交わすなど喜びを分かち合いました。
そして、選手たちは、小久保監督をマウンド付近で7回胴上げしました。
≪監督・選手らの談話≫
小久保監督「全員の力なければ連覇は達成できなかった」
小久保裕紀監督は試合直後の優勝インタビューで「優勝が決まった瞬間は、われを忘れて喜びすぎました。こういう形で胴上げさせてもらって本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びを語りました。
中心選手たちが相次いでけがなどで離脱して最下位を経験しながらも優勝を果たしたことについては、「今いるメンバーが最強だと思いながら戦ってきました。レギュラークラスが離脱する中で、チャンスだと待ち構えていた若手がカバーしてくれて、途中からは頼もしかったです。本当に苦しいシーズンだったが全員の力がなければ、きょうの2連覇は達成できなかったと思います」と話しました。
優勝争いをした日本ハムについては「新庄監督が率いる日本ハムが強くて、最後の最後までパ・リーグを盛り上げるという思いで戦ってきました。日本ハムとやれた試合は財産になったと思います」と振り返りました。
そして、ポストシーズンに向けては「昨年は日本一に届かずオフに非常に悔しい思いをしたのでここからいかに日本一をとるかということに頭を切り替えて、またあしたから取り組みたい」と意気込みを語りました。
先発 有原航平「何とか決めたいなと思っていた」
優勝が決まった試合で先発登板した、有原航平投手は「開幕投手もやらせてもらっていいスタートが切れなかったので、きょうは何とか決めたいなと思っていた。いつもどおりバッターに向かって集中できていた」と振り返りました。
また今シーズンについては「悪い試合のイメージがいっぱいあるが、チームとして優勝出来たのでとりあえずほっとした気持ちだ」と充実した表情で話していました。
杉山一樹「僕が負けにはしたくなかった」
9回にマウンドに上がり、無失点に抑えた杉山一樹投手は、「点差もあったので楽にマウンドに上がれた。いろいろな人が頑張ったので僕が負けにはしたくなかった」と優勝を決めた投球を振り返りました。
今シーズンから抑えに定着し、30セーブ目をあげたことについては「チームが勝っている証拠だ。優勝を目指していたのであまり気にしていない」と話していました。
栗原陵矢「最後グラウンドに立てていたことはうれしい」
5回にノーアウト一塁二塁から川瀬晃選手がバントを失敗しワンアウトとなったあと、2点タイムリーツーベースヒットを打った栗原陵矢選手は、「なんとかしたい気持ちがいちばんだった。晃のバントでああいう流れになったので、自分が何とかしたいなというかカバーできたらという気持ちはあった」と振り返りました。
栗原選手は、昨シーズン140試合に出場して打率2割7分3厘、ホームラン20本をマークしましたが、今シーズンは開幕前と夏場にけがをして1軍を離脱しました。
それでも9月は27日の試合前まで打率4割と優勝を目指すチームに大きく貢献しました。
今シーズンについては、「最後グラウンドに立てていたことはうれしいことだがもっとやらないといけなかったと思うし、迷惑をかけた方が大きかったのでそこは来年また頑張らないといけないと思う」と話していました。
王貞治 球団会長「戦力が広がってたくましいチームになった」
ソフトバンクの王貞治球団会長は、「とにかくスタートが悪く最初はどうなるかと思った。去年より苦労したけれど戦力が広がってたくましいチームになった」と話しました。
連覇を果たした小久保裕紀監督については、「しっかりしてきてたくましくなっている。思っていた以上に大きな監督になった」と評価しました。
ポストシーズンに向けては、「チーム一体となって新たな気持ちでこのあとに向かっていきたい。この勢いでいきますよ」と今後に期待を寄せました。
優勝への軌跡
リーグ連覇を目指すソフトバンクは、今シーズン、開幕3連敗でスタートし、序盤から近藤健介選手や柳田悠岐選手など主力がけがで相次いで離脱し、4月を9勝15敗2引き分けの最下位で終えました。
小久保裕紀監督が巻き返しの大きなきっかけになったと位置づけているのが、5連敗で迎えた5月2日のロッテ戦です。
2点を追う9回、2アウトランナーなしから一塁二塁として牧原大成選手のタイムリーで1点差に迫りました。
その後、満塁として代打で起用された川瀬晃選手がタイムリーヒットを打って4対3でサヨナラ勝利をつかみました。
小久保監督が「奇跡に近い」と表現したこの試合のあと、潮目が変わりました。
5月はこの試合から始まった5連勝を含め15勝8敗と大きく勝ち越しました。
6月の交流戦は、プロ6年目の柳町達選手が、12球団トップの打率3割9分7厘で首位打者に輝く活躍をして、チームは12勝5敗1引き分けで9回目の優勝を果たしました。
このあと7月は引き分けを挟んだ9連勝を含む17勝5敗1引き分けと7割7分を超える驚異的な勝率で勝利を重ね、今シーズン初めて首位にたちました。
小久保監督が勝負のポイントとしていた日本ハムとの直接対決は7月下旬に2勝1敗としたあと、8月はホームで3連勝したにもかかわらず、ビジターで3連敗を喫して、互角の勝負となりました。
ゲーム差がなくなったこともありましたが首位は譲らず、9月5日に優勝へのマジックナンバー「18」が点灯したあとは、徐々にマジックナンバーを減らし、ついに2年連続のリーグ優勝を果たしました。
去年は最終的には91勝49敗3引き分けと2位・日本ハムに13.5ゲーム差をつけて圧倒しましたが、ことしは139試合目でようやく優勝をつかみました。
「守り中心の野球」でリーグ制覇
小久保監督は、今シーズン、「最少失点で切り抜ける守り中心の野球」を掲げ、リーグ戦に臨みました。
先発陣では20年ぶりにふた桁勝利の投手が4人誕生しました。
去年、最多勝に輝いた有原航平投手は、シーズン序盤は不安定な投球もありましたが、交流戦以降は本来の調子を取り戻し、13勝をあげています。
7月は4勝負けなしで月間MVPを受賞し、チームを首位に押し上げました。
昨シーズン、先発に転向し最優秀防御率のタイトルを獲得したモイネロ投手は、自己最多の12勝をあげ、ことしも防御率は、1.46とリーグトップです。
6月6日の交流戦のヤクルト戦では、プロ野球記録にあと1つに迫る18個の三振を奪い、6月の月間MVPを獲得しました。
さらに育成出身の大関友久投手は、防御率1点台と安定した投球で、チームトップの13勝をあげ、プロ6年目で初めてふた桁勝利に到達しています。
大リーグを経験し、今シーズンから加入した上沢直之投手も自己最高に並ぶ12勝。
とくに8月は、4勝負けなしで月間MVPを受賞しました。
リリーフ陣も充実していました。
抑えとして期待されていたオスナ投手がコンディション不良で不在となった中、7年目の杉山一樹投手が抑えを務めました。
11年目の松本裕樹投手も、防御率1点台で、リーグ最多のホールドをあげるなど、勝ちパターンの一角として役割を果たしています。
投手陣の層の厚さが小久保監督が掲げる「守り中心の野球」を実現し、2年連続のリーグ制覇につながりました。
(成績は9月27日試合終了現在)
中心選手たちが相次いでけがも…
ソフトバンクは、中心選手たちが相次いでけがなどでチームを離脱し、4月を終えて最下位でした。
こうした欠場は、出場機会を求めていた若手などの選手たちにとってチャンスになりました。
プロ4年目の野村勇選手は、ショートのレギュラー、今宮健太選手が、けがで離脱した穴を埋めました。
今シーズンは、121試合に出場し、打率2割6分4厘、ホームラン12本、39打点と自己最高を更新しています。
プロ6年目の柳町達選手も近藤健介選手のけがを受け、1軍に昇格しました。
交流戦ではすべての試合で3番打者として起用され、MVP=最優秀選手に選ばれ、今シーズンはこれまで126試合に出場して打率2割9分4厘と、チームに欠かせない存在となっています。
さらに、日本を代表するキャッチャー、甲斐拓也選手の移籍の影響が懸念された中、海野隆司選手や嶺井博希選手などを併用しながらシーズンを戦ってきました。
このうち、海野選手は101試合とキャッチャーとしては最も多く出場し、安定感のある投手陣を支えました。
(各成績は9月26日現在)
今後の日程
ソフトバンクは、日本シリーズの出場をかけて10月15日からのクライマックスシリーズのファイナルステージに臨みます。
日本シリーズ出場をかけたクライマックスシリーズはリーグ戦、2位と3位のチームによるファーストステージが10月11日から始まります。
ソフトバンクは、その勝者と本拠地の福岡市のみずほPayPayドームで15日からファイナルステージを戦います。
ファイナルステージは先に4勝した方が日本シリーズに進み、リーグ優勝のソフトバンクには、あらかじめ1勝がアドバンテージとして与えられます。