クレジットカード「ビザ」独禁法違反の疑いで改善計画 公取委
2025年7月22日 19時43分
シェアする
クレジットカードの世界最大手、「ビザ」のシンガポール法人が取引先の日本のカード会社などに対し、自分たちが提供する信用情報の照会システムを選ぶように取り引きを不当に拘束した疑いで公正取引委員会は、審査を行い、ビザ側が提出した再発防止などを確約する、計画を認定しました。
公正取引委員会によりますと、「ビザ」の日本を含めたアジア太平洋地域の基幹拠点であるシンガポールの法人は、2018年以降、ビザのクレジットカードを発行する日本の金融機関系の会社などに対し、ビザが提供する信用情報の照会システムを選ばなければ、一部の業種の取り引きで手数料が引き上がるなどと通知して、取り引きを不当に拘束し、独占禁止法に違反する疑いがあるということです。
公正取引委員会は、去年7月、ビザの日本法人に立ち入り検査を行うなどして審査し、ビザ側が事実関係を認めたうえで、再発防止などを確約する計画を提出したことを受けて、22日付けで、この計画を認定しました。
計画では、
▽取引先が他社のシステムを利用しても、一定の日数以内に売り上げに関するデータを送れば、優遇レートが適用されるようにする措置を加えることを5年間取るほか、
▽計画の履行について、弁護士などの第三者の監視や報告を行うこと
などを盛り込んでいます。
国際ブランドのビザは、国内のクレジットカードの取扱高でシェアが1位で、公正取引委員会は「クレジットカード事業者に対する初の法的措置事案で、業界に対し、競争についての意識を認識してもらう契機になる」としています。
ビザの日本法人は「ビザは認定された確約計画を履行し、今後とも強力なコンプライアンス体制を維持していく」などとコメントしています。
自社の信用情報照会システムを強要 仕組みは
今回、独占禁止法違反の疑いがあるのは、「ビザ」側がクレジットカード会社に対して不正利用や限度額の超過などの信用情報を照会するシステムを、自社が提供するものを選ぶように事実上、強要していた点です。
飲食店などの加盟店とビザカードの利用契約を結んだ加盟店管理会社が、消費者にカードを発行する会社に対して信用情報の照会を行い、決済が成立すると、「インターチェンジフィー」と呼ばれる手数料を支払います。
「インターチェンジフィー」は、ビザやマスターカードなどの国際ブランドがカードの信用を保証する立場から、それぞれ独自に定めています。
信用情報の照会システムは、国内でもITサービス大手が提供していて、本来、クレジットカード会社が自由に選択できるものですが、公正取引委員会によりますと、ビザは、加盟店管理会社やカード発行会社に対して、自社のシステムを利用しなければ優遇レートを利用できず、「インターチェンジフィーが引き上がる」と、通知していたということです。
去年1年間の国内でのクレジットカードなど、キャッシュレスの決済額は、消費全体の42.8%と初めて4割を超え、政府は、6月までに、この割合を4割にする目標を掲げてきましたが、前倒しで達成しています。
経済産業省は、キャッシュレス決済の比率を将来的に8割まで引き上げるとしていて、公正取引委員会は、今回の確約計画の認定について、「クレジットカードの事業者どうしが切磋琢磨(さっさたくま)して、よりよいネットワークが提供されていくのが、一番期待される競争の形で、加盟店との間の手数料などを引き下げていくことにもつながり得る」としています。
Posted at 2025/07/22 20:46:04 | |
トラックバック(0) | 日記