イスラエル ガザ市制圧作戦の当面停止など指示 軍ラジオ局
2025年10月4日午前10時46分
(2025年10月4日午後5時11分更新)
イスラエル
アメリカのトランプ大統領が示したパレスチナのガザ地区での停戦などに向けた計画をめぐり、イスラム組織ハマスが人質全員の解放などについて同意すると表明したことを受けて、イスラエル軍のラジオ局は、政治指導部が軍に対して北部のガザ市で続けている制圧作戦を当面停止するよう指示したと報じました。
ガザ地区で続くイスラエルとハマスの戦闘をめぐりアメリカのトランプ大統領は先月29日、停戦や人質の解放、ハマスの武装解除を含む20項目の計画を発表しました。
この計画についてハマスは3日、仲介国に回答を提出したと声明で発表し、戦闘の停止とイスラエル軍の完全な撤退を実現するためとして人質全員の解放などについては同意する考えを明らかにし、仲介国を通して協議を始める用意があると強調しました。
こうした中、イスラエル軍のラジオ局は4日、政治指導部が軍に対し、北部の最大都市・ガザ市の制圧作戦を当面停止し、ガザ地区全体での軍の活動についても最小限にとどめ部隊の防衛任務に徹するよう指示したと報じました。
これを前にハマスの回答を受けてトランプ大統領はSNSへの投稿で「イスラエルは直ちにガザへの攻撃を停止しなければならない。そうすれば人質を安全かつ迅速に救出できる」として、イスラエルに対し速やかに攻撃を停止するよう求めていました。
ガザ地区ではイスラエル軍の攻撃などで6万6000人以上が死亡していて、停戦が実現するのかが焦点です。
イスラエル軍 計画の第1段階の準備進める
イスラエル軍は4日、政治指導部からの指示に基づき参謀総長がガザ地区で捕らわれている人質の受け入れに向けて、アメリカのトランプ大統領が示した計画の第1段階の準備を進めるよう指示したと発表しました。準備の詳しい内容について、軍は明らかにしていません。
また部隊の安全の確保が最優先であるとして、すべての戦力を南部に集中させるとしています。
石破首相「トランプ大統領の取り組みを支持」と投稿
石破総理大臣は旧ツイッターの「X」に日本語と英語で「ガザの人々の苦難を一刻も早く終わらせ、中東地域全体に持続的な平和と安定をもたらそうとするトランプ大統領の取り組みを改めて強く支持する」と投稿しました。
そのうえで「全ての関係者が計画に沿って行動するよう重ねて呼びかける。わが国は関係国の努力を高く評価し、引き続き共に役割を果たしていく」とつづっています。
【動画】国際部デスク解説
※正午のニュースで放送した内容です。
動画は2分36秒 データ放送ではご覧になれません。
Q。現地の報道ではイスラエルの政治指導部が軍に対してガザ市制圧作戦を当面、停止するよう指示しました。素早い反応の背景には何があるのでしょうか。
A。イスラエルに対してトランプ大統領の強い圧力が働いているとみられます。今回の計画を発表するにあたって、トランプ大統領はアラブ諸国などをはじめ幅広い国々の支持をとりつけました。
そしてイスラエルに対してはトランプ大統領が、ハマスに対してはカタールやトルコなど中東諸国が計画の受け入れを強く迫ったと報じられています。こうした構図の中で日本時間の4日朝、ハマスは人質全員の解放などについて同意する考えを発表しました。
トランプ大統領は即座に「イスラエルは直ちにガザへの攻撃を停止しなければならない」と投稿しました。トランプ大統領としては20項目の計画のうち初期段階の試金石となるガザ地区に捕らわれた人質の解放を速やかに実現したいものとみられます。
Q。今後、どういったことが焦点となるか。
A。イスラエル軍が確実に攻撃を停止できるのか。ハマスも戦闘員によるイスラエル軍への攻撃を完全に制止できるのか。さらにハマスが、速やかに、人質全員の解放を実現することができるのか。
計画の初期段階だけでも一つ一つクリアしなければならないハードルがあります。
またイスラエルとハマスの間では今後、カタールなどの仲介国で協議が再開される可能性がありますが、ハマスは計画で示されている武装解除に応じるのかどうかは明らかにしておらず、協議がまとまるかどうかは現段階では見通せません。
イスラエルとハマスはトランプ大統領や国際社会の強い圧力のもとでそれぞれの立場のギリギリのところで妥協して協議に応じるとしているので、ひとたびほころびが生じれば、壊れやすい枠組みだとも言えます。
戦闘が始まってまもなく2年。双方が歩み寄ることができるか、ガザ情勢は重要な局面にさしかかっています。
Posted at 2025/10/04 18:20:35 | |
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