
いまだにAF Learningで分からないところがある。今回はECUの学習をレビューして、Open Loop領域におけるAF Learningを考察していみたい。
ECUの学習は、自分の知る限りインプレッサもレガシィも同じ仕組みだ。たぶんエクシーガも同じないのではないかと思う。
ECUの学習には3つある。1つ目は点火時期補正係数(Ignition Advance Multiplier = IAM)、2つ目はAF(エアフロー)学習補正(AF Learning = AFL)、そして3つ目は点火時期補正(Fine Learning Knock Correction = FLKC)だ。これらの値はRAMに記憶されており、それぞれの値はRomRaiderのLearning Viewというアプリケーションを使って確認することができる。また、RAMに記憶されているので、バッテリーを外してしばらくすればこれらの学習値は初期化される。
まずIAM(①の部分)だが、基本的に1度正しく学習されると値は変化することはない。32ビット系のECUであれば、初期値は0.5000で最大値は1.0000である。もしこのIAMの最大値が下がることがあれば、それは大きなノッキングがあったということになる。説明が長くなるので割愛するが、自分のレガシィの場合、3.9度以上の遅角があった場合にIAMは初期値に戻る。
一方、AFLとFLKCは走行条件によって常に変化する。AFLはAFセンサーやO2センサー等の情報によって変化し、FLKCはノックセンサーによって変化する。
FLKCのテーブル(③の部分)は、ノッキングを検知しなければ、どのセルも0である。もしノッキングがあり、かつIAMが最大値であれば、点火時期の遅角値(マイナス値)が保存される。もしIAMが最大値に達していない場合は、進角値(プラス値)や遅角値(マイナス値)が保存される。なお、このテーブルの各セルには、それぞれインデックス(番号)を付けられており、ECUがノック状態とその番号にある補正値を参照し、状況に応じて最適な点火時期を再計算している。
AFL(②の部分)は、以前の
「AF Learning」で少し説明しているが、もう少し補足しておきたい。まずAFレンジだが、それぞれの範囲を簡単に言えば下記のような状態のことだ。
AF Learning #1 A: 0~7 g/s 通常のアイドリング状態及びアイドルよりやや高い状態
AF Learning #1 B: 7-20 g/s ノロノロ走行、アクセルをほんの僅かに踏んだ時など
AF Learning #1 C: 20-40 g/s 巡航状態
AF Learning #1 D: 40+ g/s アクセルを強く踏み込んだ時や高負荷走行状態
AからCは基本的にClosed Loopの領域であり、最後のDは基本的にOpen Loopの領域だ。そして初期値はすべて0である。
AFLとは燃調に対する補正係数である。似たようなパラメータとしてAF Correctionという補正係数があるが、これはClosed Loopのみで使用されるものである。
AFLの単位は%とだが、負値を示していればそれは燃料を増量していることになり、また正値を示していれば減量していることになる。つまり0%であれば、バランスが取れている状態を示していることになる。なおAFLの最大値は±15%で、許容範囲と言われる値は約±5%されている。特にAF Learning #1 D(AFL-D)の値は重要で、5%以上を示していればリーン(燃調が薄い)ということになり、エンジンブローの確立が高くなるので注意が必要だ(5%台くらいまではぎりぎりらしい、6%以上を示したら相当注意のようだ)。
ちなみにこのAFLレンジにもそれぞれインデックス(番号)があり、ECUは吸入量(Mass Airflow = MAF)からセルの値を参照している。
ずいぶん前に何かの雑誌で、ECUはたくさん走ればデータがどんどん蓄積されて賢くなるようなことが書いてあったが、ECUにそんな機能はない。上記のようにIAM以外は、走行状況によって値を一時的に記憶しているだけだ。
以上がECUの学習機能だが、肝心の考察は次回にアップしてみたい。
Posted at 2009/07/26 23:39:44 | |
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