こんにちは/こんばんは。
とまるん@信号のない横断歩道(交通安全) です。
ツイッターで見かけた動画、
バイクで走っていて、信号のない横断歩道に渡ろうとする歩行者がいたため一時停止したところ、後続車に追突されたという動画。
場所が栃木県の日光、中禅寺湖のあたり。
https://twitter.com/Uber1251/status/1558636251775115264
https://twitter.com/Uber1251/status/1558748520815132672
(YouTubeで高画質映像、PCの大画面で見るとよくわかります)
信号のない横断歩道で渡ろうとする歩行者がいれば、車両は一時停止して歩行者の横断を妨げないようにする。(道路交通法第38条第1項)
これは、車両の運転者が守るべき交通ルールです。
この動画を見て
「交通ルールは知っているけれども、信号のない横断歩道で止まるのは危険、
止まらない/止まれない」という人もいるかもしれません。
しかし、それでいいのでしょうか。
いろいろ理由をつけて止まらないことは、自身も止まらない車両の1台となり、
横断歩道で車が止まらない風潮を助長することになってしまいます。
そこで、この動画を振り返り、
『より安全に横断歩道手前で停止するにはどうすればよいか』
について、考えていきたいと思います。
1.事故状況の振り返り(映像から)
上の事故までの状況を記録した50秒間の動画、追突された瞬間は44秒のところです。
木々の中を通る片側1車線の道。前のバイクに続いて走っていきます。
事故の10秒前 動画 0:34 メーターはおよそ 54km/h を示しています。
事故の8秒前 動画 0:36 前方の路面に◇マークが見えます。
人影はあるような、ないような……。
事故の6秒前 動画 0:38 横断歩道およそ50m手前にある◇マークに到達。
横断歩道脇に人影のようなものが見えます。
事故の4秒前 動画 0:40 2つめの◇マーク(横断歩道手前30m)を通過したところ。メーターはおよそ 56km/h を示しています。
事故の2秒前 動画 0:42 減速して速度は徐行に近い速度になっているようです。位置は停止線の手前あたりを進行中。
事故の1秒前 動画 0:43 バイクが停止しました。
ほぼ同時に後続車と思われるタイヤのスキール音が聞こえます。
事故の瞬間 動画 0:44 スキール音に続いて衝撃。画面が揺れました。
2.横断歩道手前での減速について
横断歩道手前、30mのところには2つめの◇マークがあります。
ここを通過したあたりで、56km/h ありました。これはその前の巡航速度とほぼ同じです。
横断歩道脇には歩行者の姿が見えます。
ここから減速して、3~4秒後には横断歩道手前で停止しました。
56km/hから30mで停止する。
単純な等加速度(等減速度)として考えると、減速Gは0.4Gあまり。
単独で走っている時なら少し強めの減速Gといった程度ですが、
後続車がいる場合には、注意が必要かもしれません。
特に、減速だけでなく停止までする場合には、後続車の運転者が「横断歩道手前で一時停止して歩行者優先する」という概念を持っていない場合、
「前の車が停止している→自分も停止しなければいけない」と理解するのに時間がかかり、追突されるリスクが高まるのではないかと思っています。
総じていうと、
後続車がいる状況で、渡ろうとする歩行者がいる信号のない横断歩道の手前30mで、56km/hというのは、速度が速すぎる=減速を始めるタイミングが遅いという印象です。
そもそも、横断歩道では、横断中や横断しようとする歩行者がいる場合の停止義務(道路交通法第38条第1項 後段)だけでなく、
『横断しようとする歩行者がないことが明らか』でない場合の減速義務も定められています。(道路交通法第38条第1項 前段)
道路交通法第38条第1項 前段 抜粋
横断歩道に接近する場合には、横断歩道を通過する際に横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除き、横断歩道の直前(停止線の直前)で停止することができるような速度で進行しなければならない。
横断歩道に接近時、横断しようとする歩行者がないことが明らか』でなければ、
徐々に減速していき、横断歩道の直前で停止できるような速度で進行するのが、横断歩道での運転方法です。
3.こうすればよかったのではないか
とまるん流 信号のない横断歩道での止まり方(参考例)
動画 0:36
前方に◇マークが見えます。このとき◇マークまで30mくらいはありそうです。 すなわち横断歩道までは80m程度あるということです。
ここで、横断歩道付近に横断しようする歩行者がいないか確認します。
分からなければ、
後ろの様子を確認して減速の準備をしますが、もし
後続車がいるようなら、ここでアクセルを戻して後続車との車間距離が詰まるようにします。これの意図は、後続車にブレーキを意識させることと、車間距離を詰めることで追突される場合の相対速度(速度差)が小さい状態をつくることです。
動画 0:38
ちょうど一
つめの◇マークに到達。横断歩道手前50mです。
ここでは、
横断歩道脇に歩行者が見えます。
渡ろうとしているのか、ただ立っているのかは明確でなくても、
『横断しようとする歩行者がないことが明らか』でないので、
横断歩道直前で停止できるような速度で進行するモード発動です。
徐々に減速していきます。
この時、横断歩道直前で停止するように減速するのではなく、
横断歩道の少し手前(横断歩道の手前15mほど)で徐行できるように
減速していくといいと思います。
後続車がいる場合は、ここで後ろで一緒に減速していくイメージです。
その後、
横断歩道手前15mでの徐行から極ゆるやかに横断歩道直前で停止します。
一般に車の運転者は「止まる」のが苦手だと思っています。
世の中の「一時停止」標識があるところで観察するとよくわかります。
徐行までは減速できても、完全停止することを多くの運転者は嫌がります。
横断歩道手前での停止、後続車がいる場合は、しっかり後ろに引き付けて、
「徐行から極ゆるやかに」停止するのが、
後続車に追突されずに、後続車と共に安全に止まるコツだと思います。
これは、この10年間、特に信号のない横断歩道で渡ろうとする歩行者がいた時には、後続車がいても、周りが流れていても、片側2車線の60km/h道路でも、100%止まろうと試行錯誤してきた経験を元にした考えです。
10年以上前は後ろでスキール音を聞いたこともありましたが、最近は(幸運にも)追突されそうになることもなく止まれるようになりました。
異論もあるでしょうが、一例として参考になれば幸いです。
最後になりましたが……
お怪我をされたバイクの方の一日も早い回復を願っています。
また、貴重な動画の共有、ありがとうございました。