最近、都内を中心に増殖しているジャパンタクシー。
皆さんはもう乗ってみましたでしょうか。
私もついに、ジャパンタクシーに試乗いたしました。
試乗と言っても、決してタクシーの客としてリアシートに乗ったわけではなく、メガウェブで試乗車のステアリングを自分で握って試乗をしてきました。
今回は、その感想を書いてみたいと思います。
…が、その前に、やはり客としてジャパンタクシーに乗った感想をまず最初に書きたいと思います。
そもそも、タクシーを運転した感想が誰の得になるのか…という気もしますし。
まずはっきり結論から言ってしまうと、都内でタクシーに乗るなら、ジャパンタクシーに乗るよりもクラウンセダンを選んで乗るべきだと思います。
ちなみにクラウンセダンは上の画像のように、テールランプが繋がっているタイプのモデルです。
こちらのクラウンセダンは、通常のコンフォートやクラウンコンフォートのタクシーと比べて、静粛性が明らかに、圧倒的に優れています。
静粛性では、個人的な印象として
クラウンセダン>JPNタクシー>コンフォート
という図式が成り立つように感じました。JPNタクシーも外と車内を隔てる遮音は優れているのですが、エンジンやモーターの音、それにロードノイズが気になります。窓等の遮音はしっかりしているのでしょうが、バルクヘッドやフロアあたりの遮音がまだ甘いのかもしれません。
続いて、乗り心地の話に移りましょう。
低速域においては、クラウンセダンとJPNタクシーを比較した場合、クラウンセダンのほうが優れているように感じました。JPNタクシーの乗り心地は、はっきり言って国産コンパクトカー並みの乗り心地といった感じで、一方クラウンセダンは、設計が何十年も前とはいえ、腐ってもクラウンですので、ソフトな乗り心地です。
とはいえ、クラウンセダンの昔懐かしいふわふわした乗り心地が苦手という人もいるでしょうし、このあたりは好き嫌いもあると思います。
高速域においてはJPNタクシーに軍配が上がるように思いました。言うまでもなく、クラウンセダンにしても(クラウン)コンフォートにしても、設計が何十年も前ですので、高速道路を走ると嫌な浮遊感があります。一方、JPNタクシーは、まあはっきり言って高速道路でも国産コンパクトカー並みの乗り心地ではあるのですが、それでもコンフォートよりはずっと現代的な乗り心地を実現しています。
続いて、車内の広さですが、はっきり言ってクラウンセダンやコンフォートのほうが広いです。コンフォートはクラウンコンフォートやクラウンセダンと比べた場合、若干ホイールベースが短く狭いのですが、それでもリアシートに座った場合、前席の下に爪先を差し入れることができます。
一方、JPNタクシーは前席の下に空間が存在せず、爪先を差し入れることができません。結果、そこそこ脚の長い成人男性程度だと、JPNタクシーの場合、足元に狭さを感じてしまうかもしれません。
JPNタクシーの助手席にも1度乗ってみたのですが、ダッシュボードが切り立っていて位置が低く、まるで軽自動車のような印象でした。助手席の広さでも、やはりコンフォートとその仲間たちに劣っているように感じます。
それから、これは余談なのですが、JPNタクシーに乗車し、一度スライドドアが完全に閉まり切る前に運転手さんが車を出してしまったことがありました。スライドドアが閉まる速度はセダン型タクシーの自動ドアよりもゆっくりなので、急いでいるときには苛立たしいかもしれません。
ここまで、さんざんJPNタクシーをこき下ろしてきたので、少し褒めてもおきたいと思います。JPNタクシーには充電用のUSBポートが2つ用意されておりますので(ちなみに私が乗ったタクシーにはmicroUSBおよびlightning用の充電ケーブルが付いていました)、スマートフォンを酷使する現代人には嬉しいところだと思います。
また、外装を見れば一目瞭然ではあると思いますが、頭上に
意味のない広大なスペースが広がっていますので、
胴長短足の方開放感を求めている方にはぴったりだと思います。
さて、最後になりましたが、私が実際に運転した感想も書いてみたいと思います。
メガウェブの試乗コースは制限速度40km/hですので、はっきり言って、車の限界性能とかそういったものはさっぱり分かりません。しかし、それでも分かることはありました。
まず、致命的であると感じたのがブレーキフィールです。はっきり言って、悪いです。ちょっとでも雑に踏んでしまうと、ガクッとショックを伴って車が減速します。なのでブレーキ操作には気を使う必要があります。
もちろん、これを運転するのはプロのドライバーですから、そんな部分に文句を言う筋合いはない…なんて思う人もいるかもしれませんが、タクシーの運転手にもいろいろな人がいます。
現在運行されているJPNタクシーのドライバーは調べたところによると優良乗務員ばかりらしいです。実際、私が客としてJPNタクシーに乗って、制動時の不快感などまったく感じなかったのですが、今後JPNタクシーが普及し、さまざまなドライバーが運転するようになると、どうなっていくのかは私にも分かりません。
それから、ステアフィールがチープに感じられたのですが、これに関しては乗客には関係ないので詳しいことは割愛します。
続いて感じたのが遅さです。これまで、メガウェブの試乗コースを何度か運転したのですが、JPNタクシーに乗って初めて、この試乗コースに勾配が存在することに気づきました。JPNタクシーに搭載されるのは1.5L+モーターのハイブリッドシステムですが、車重は1,600kgを超えてしまうのでやはり力不足な感は否めません。
もちろん、タクシーの乗客にとっては車が50馬力であろうと500馬力であろうと関係はないのですが、上述の通りエンジンやモーターの音がそれなりに車内に入ってくるので、ちょっとした坂道でもエンジンがバンバン回ってしまうようなJPNタクシーの性格はちょっと問題なように思います。
試乗で感じたのはこれくらいです。使い所のよく分からないEVモードというものもありましたが、使おうとしたらバッテリー残量が足りずにEVモードを試すことはできませんでした。
いずれにしても、JPNタクシーは決して運転して特段楽しい車ではなかったのですが、少なくとも外界と車内を隔てる遮音はしっかりしていますし、なにより天井が高いので、大多数の日本人は足元の狭さになど気付かずに「広い!」と感激してJPNタクシーを褒め称えることでしょう。
東京オリンピックに向け、都内のタクシーがJPNタクシーにどんどん入れ替わっていくらしいのですが、脚の長い海外からの観光客がどう感じるのかは、私には分かりません。
とはいえ、おそらくは喜んでくれるのではないでしょうか。
日常の足ではなく、観光に訪れた場所で乗るタクシーなのですから、快適なセダンよりも、変な形の変なクルマだったほうが、受けは良いのかもしれません。
Posted at 2018/05/08 20:57:48 | |
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