トヨタの車にはろくなデザインの車がありません。
例えばクラウンは、稲妻グリルとやらを付けて、斬新"風"に見せて、保守的なイメージを崩そうとしています。
しかし、フロントの顔を除けば、基本的なデザインは旧型クラウンとほとんど何も変わっていません。
それでも、顔しか見ない人間はいとも簡単に騙されてくれます。
あるいは、全く似合わないピンクを塗って、トヨタという企業がこんな"大胆"なことをするなんて、と褒められもしています。
しかし、大胆とナンセンスは違います。しかし、そんな違いもわからないような人間が、喜んでトヨタ車を買っています。
レクサスは、例えばISはお話にならないくらいに不格好ですけど、しかしGSやRCはそれなりに調和のとれたデザインだと思います。もうそれだけでも、トヨタという企業の平均的センスを思えば満点をあげたいくらいなんですが、残念ながらこの車にも魅力はありません。
車としてマトモなデザインでも、アウディほどには洗練されていませんし、フーガほどには色気がありません。
もっとも、そういう中庸で凡庸なデザインを求める人間がいるのは知っていますが、少なくともそれは私ではありません。
高級車に限らず、トヨタのデザインセンスはおしなべて悪いです。カローラ。SAI。MIRAI。この辺は最悪です。
それ以外は凡庸です。悪いデザインだとは思いませんが、はっきり言って、あえて、どうして、これを選ぶのかという理由が私には分かりません。
まあトヨタというブランドだけで、あるいはハイブリッドというバッジだけで売れるのが現実なのでしょうが。
で、じゃあトヨタで格好良い車ってなんだろうって話になると、2000GTくらいしかないような気がします。
"悪くない"車はあっても、"これじゃなきゃ"な車はトヨタにはありません。
しかし、今回の主題。
新型シエンタ。
このタイプの車のデザインを褒めるなんて自分ですら思ってもいなかったのですが、よく考えればジュークを買う前もSUVなんて欠片も興味はありませんでした。
前提として、欲しいとは全く思いません。
私の車選びの基準は、一にデザインですが、そこに走行性能が伴っていなければオハナシになりません。
ともかく、それでも、新型シエンタは良いデザインだと思います。
デザインの方向性としては、日本車ではなく、フランス車的だと思います。
カングーとか、ベルランゴとか、その辺の。でもそれ以上に目を引きます。
ヘッドランプ後端からバンパーに至るコペンみたいなラインや後輪の前にある飾り物は正直いらないと思いますが、それ以外の点ではかなりいいところまで行っていると思います。
ヘッドランプは鋭く、アクア的ですが、アクアのようなのべっとした(だからといってスポーティではない)デザインよりもシエンタの方が合っていると思います。
サイドラインは、Cピラーまで一旦上がってから少し下がっています。その点については違和感を感じないわけではないですが、スライドドアの形状がまるでヒンジドアのようになっている点はなかなか巧いところだと思います。トヨタにこんな工夫ができるなんて、正直驚きです。
ただ、ドアミラーや樹脂パーツ(?)の色が変えられるらしいんですが…。
うーん…酷い。
こういうパーソナライズは、ミニとかDS3とか、最近だとジュークとかその辺の、欧州の流行りをまんま取り入れたのでしょう。そういう商魂たくましさはトヨタらしいですし、それをマトモに自分のものにできていないのもトヨタらしいんですが…。
ともかく、トヨタにしては超上出来な車だと思います。
クラウンの稲妻グリルみたいに小手先だけで奇抜を演じているわけではなく、MIRAIみたいに全体として崩壊させて奇抜にしてしまったわけでもなく、ちゃんと全体として調和した奇抜を生み出すことができていると思います。
スポーティーなデザインとはあまり言えませんが(ミニバンだから当然ですが)、それでも、「おっ」と思える車がトヨタから出ただけでも、私としては驚かされました。
Posted at 2015/07/14 01:40:09 | |
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新型車 | 日記