先日の地元紙の記事です。
「25日に災害ボランティアセンター本部が真備に移転」とあります。
西日本豪雨災害から100日が過ぎ、季節も秋めいてきて、日中の活動も熱中症の心配が無くなってきた今頃になってようやく、真備町に災害ボランティアセンターの拠点が出来ることになりました。
……100日経ってようやくです。
遅すぎると言われても仕方ありません。
だって、新たに真備町に出来る災害ボランティアセンターの場所って、この写真の左奥くらいに位置してましたから……
浸水のピーク時はこの泥水の海の中でした。
ちなみに写真の左右に走っているのは第三セクターの井原鉄道の線路の高架です。
高架の上にあるグレーの停留所っぽいのは「川辺宿」という駅になります。
その川辺宿という駅のすぐそばの「まびいきいきプラザ」という温水プールやトレーニング施設があった建物に、今度新しく災害ボランティアセンターの拠点が出来ることになりました。
もちろん温水プールなどの施設は全滅です。
屋根まで浸かったこの施設をキレイに片付けて、ようやく真備町に寄り添ったボランティアセンターが建ちます。
……じゃあ今まで100日間は、どのようにしてボランティアセンターを運営していたのか?
豪雨災害直後の倉敷市真備町は市役所の建物を含め広範囲に渡って浸水の被害を受けたので、とてもじゃないけどボランティアさんを安全に受け入れる拠点はありませんでした。
なので倉敷市は山陽自動車道 玉島インター近くの中国職業能力開発大学校にボランティアセンターの拠点を構えました。
ここはJRの新倉敷駅から約2kmに位置するので、県外からのボランティアさんもシャトルバスを使って受け入れることが出来ます。
ただ、このボランティアセンターのサイトの説明を見ての通り、JR新倉敷駅から出るシャトルバスの時刻表は午前8時半から9時半です。
県外から駆けつけて下さったボランティアさんを受け入れるには妥当な時間ではあります。
そして、ボランティアの受付時間はシャトルバスの到着に合わせて午前9時から10時。
受付とは言っても、名前を書いたり作業の注意事項を説明したり、ボランティアさんの能力に応じた仕事を割り振ったり、ボランティアさんも作業できる服装に着替えたりと大忙しです。
その後、ボランティアセンターの方で初めましてのボランティアさん同士5人一組のチームを作り、その中からチームリーダーを選出し、ボランティアを必要としているお宅の地域を担当するサテライト拠点に向かってもらいます。
そのサテライト拠点というのは、前述の地図の上の方に「吉備真備」とか「川辺宿」とか井原鉄道の駅名が書かれていたと思いますが、だいたいその辺りに設けられていて、中国職業能力開発大学校からサテライト拠点までバスで送ってもらいます。
距離にして片道約7kmほどあり、道が空いていてもバスの速度なら15~20分ほどかかります。
サテライト拠点でバスから降りたボランティアさんのチームは、ボランティアを必要としているお宅の場所を地図で確認し、スコップやバールといった道具を持ち、さらに自分の着替えや食料・水分を持った重装備でボランティアを必要としているお宅まで徒歩で移動するのです。
サテライト拠点から近いお宅もあれば500m~1kmほど歩かなければならないお宅もあります。
災害直後は酷暑の夏でしたし、真備町一帯で乾いた泥が土煙となって舞い上がり、仮設トイレも満足に設置されてなくとても過酷な行軍だったことでしょう。
朝一番でボランティアにお越しくださった方も、現場に着いた頃には早くても午前10時を回っています。
そしていよいよ本作業にとりかかります。
ただここで問題になったのが、ボランティアさんの熱中症対策です。
ボランティアを受け入れる体制が整った海の日の3連休では、全国から多くのボランティアさんが駆けつけて下さいましたが、熱中症危険レベルの酷暑の中、限られた時間にひとつでも多くの作業をして被災者を助けてあげたいとの思いでボランティアさんが休憩する間を惜しんで必死にがんばったので、毎日20人程度のボランティアさんが熱中症で倒れて救急車で運ばれていました。
忙しい日常の生活の中で被災地のために時間を作っていただき、真夏の酷暑の中お越しくださったボランティアさんがケガをしたり熱中症で倒れて命を落とすなんてことは決してあってはなりません。
そこでボランティアセンターでは、ボランティアさん同士で結成したチームの中の一人にタイムキーパー役になってもらい、現場で作業中に20分経ったらお知らせしてもらうことにしました。
悲惨な現場を前にすると、ボランティアさんは被災者の為にと張りきってしまい、自分の体調のコントロールを二の次にして時間を惜しんで頑張りすぎてしまいます。
そこでタイムキーパーは、作業開始から20分が経過すると「20分経ちました~」ってメンバーにお知らせして、オーバーワークになってしまう事を防ぎます。
そしてリーダーが作業の途中でもメンバーに声をかけて、10分間の休憩をとるように促すわけです。
一見、休憩をとりすぎなように思えますが、最高気温35℃以上の猛暑日の中では20分間の作業でもフラッフラでしたので、ボランティアさんの安全を考えると最善の策だと思います。
20分働いて10分休む…、20分働いて10分休むを繰り返し、お昼ごはんでエネルギーを補給した後に再び、20分働いて10分休むを数回繰り返すとボランティアさんはもう帰る準備をしなければなりません。
赤線で引いてある通り、中国職業能力開発大学校からJR新倉敷駅までのシャトルバスに門限があるので、ボランティアの現場からサテライト拠点までの徒歩の時間と、サテライト拠点からボランティアセンターまでのバス移動の時間を逆算すると、遅くても14時には後ろ髪を引かれつつも現場を後にしなければならないのです。
せめてサテライト拠点からボランティアの現場まで、5人ほどのボランティアさん達とスコップやバールなどを乗せて運ぶミニバンがあれば、ボランティアさん達の体力も消耗しないですし、移動時間が少し短縮出来るので作業時間を少し多目にとれます。
ただ、汗まみれ泥まみれのボランティアさんと大きなスコップやバールを快く乗せてくれるミニバン所有のボランティアさんはなかなかいません。
私が出来ることとしたら、徒歩でサテライト拠点まで帰るボランティアさん達のスコップやバールを軽トラで運んであげることくらいでした。
岡山豪雨から100日が経ちました……
こんなに厳しい環境の中、ボランティアに来て下さった全ての方に対し、倉敷市真備町の元住民として心より感謝申し上げます。
これからは倉敷市真備町の中にボランティアの拠点が出来るので、今までより長い時間活動が出来ると思います。
今度からはボランティアセンターに駐車場も用意されるので、自家用車で直接ボランティアに来ることも可能になりました。
また、JR新倉敷駅からの送迎バスも運行されていますし、井原鉄道も運転を再開したので直接「川辺宿駅」で降りていただいてもすぐボランティアセンターに到着します。
ただ、浸水被害を受けたまびいきいきプラザの建物がどれだけ復旧したのか不明なので、更衣室や荷物預かりなどのサービスや水洗トイレが利用可能かどうかはまだちょっとよく分かりません。
これから秋が深まり日暮れも徐々に早くなりますが、被災された方々が少しでも安らかに年を越せるよう、新しいボランティアセンターを拠点にして頑張ろうと思います(o^O^o)