パチンと言う音と共に、クラッチワイヤーが切れたのが朝の9時半頃。
直前には談合坂で休憩を取りながら、デザインワークやモックアップのための材料を仕入れ、午後4時くらいにはカミさんの実家に遊びに来て居る子供たちをピックアップできるよう、最も効率の良いルートをナビで検索。
都内の流れも望外にスムーズで、最初の立ち寄り地の代官山には11時前には楽勝で到着予定。
本線への合流を終えて、5速に入れるタイミングでバチんと、まるでクラッチペダルの存在が無くなったかのように奥まで踏み込まれた状態で戻って来ません。
「上野原で一般道路に降りるか・・・?」とも考えて、エンジン回転を合わせながらシフトダウンを試みるも、ディーゼルのピックアップの悪いエンジン特性では思うようにシフトダウンも出来ず・・・
「このまま進んで渋滞なんかにはまったら最悪だし・・・」
「談合坂の手前だったら良かったけれど、次は藤野のPAか・・・」
などと逡巡しているうちに、藤野PAのサインが・・・
幸いPA内も混んでいなかったので、5速のまま減速をしながら停止直前にニュートラルへ・・・
駐車枠の一番手前に滑り込ませることに成功しました。
PAからはいつもムルの重整備を担当して頂いている某社へTEL。
振替休日の今日は休業日で、社長さんの携帯に転送されてしまいました。
故障内容を伝え、「これから保険会社に故障の報告と、レッカーと代車適用の交渉をする」旨伝え、保険会社にTEL。
休日の為か電話が繋がるまでに十数分!!
某社の積載車で代車を届けてもらい、そのままムルを工場へ運ぶことの了承を得て、社長さんにTELすると・・・
「もう台車の積み込み終わって出発した」との返事。
なんとも素早い対応に感謝。
しかしここからが大変なんです。
某社から藤野PAまでの距離は約320km
!
通常ならば所要時間は4時間弱。
ナビ検索をしても渋滞考慮でほぼ同じ回答。
上り渋滞を見越してプラス1時間か?
社長さんの「今日すごく暑いけど何処かで5時間待っとって〜」と言う言葉に、「死なないように待っていますから宜しく」と答えたのが10時丁度くらい。
“ブログネタができた”とばかりに奥まで引っ込んだペダルの写真を撮ったり、スマホからみんカラブログをupしたりしてとりあえず1時間くらいはすぐに過ぎ去った・・・のだが。。。
地図検索をするとPAから裏道を通り、国道20号に降りたところに蕎麦屋が♡
休みでした・・・(定休日火曜って情報載ってるのに)
もう少し行った所に公民館が・・・
やった、中に図書館が♡
休みでした・・・
公民館受付のおばちゃんと目が合っちゃったので「今日は図書館は休みなんですね」とわかり切ったことを聞いてみた所・・・
「ロビーで良ければ新聞や冊子の閲覧をどうぞ」と、おばちゃん天使に見えたわ。
穴が開くほど新聞を読み返し(本当に指で穴を開けてしまいました)、無量の冷水機で喉を潤し、ロビー横の集会室でなんちゃら始まる午後1時前に、天使のおばちゃんにお礼を言って退散。
その間には何度か社長さんから、「今○○JCTを通過〜」とか「今○○SAを通過〜」とか逐次報告のTELが入ります。
この分だと予想よりも早く着くかもしれない♡
藤野PAの上り車線はモスバーガーしか無く、ハンバーガー買わないと中に居られない感じなので、反対の下り車線のPAに行って、ファミマでちょっと涼みながらお茶とおにぎりでお昼ご飯。(本当は都内某所で美味しい奴行く予定だったのに)
上りPAから外に出た時には、ちょっとだけ流れが悪くなりかけていた感じだったのに、下りPAから見える車線は大渋滞。
ほとんど車が動いていません。
そうしていると社長さんから「今○○インターを通過〜」と連絡が・・・
「あれっ?」「もう双葉SAの近くまで来ているかと思ったのに・・・」
諏訪湖SAを過ぎてから随分と時間が経過したのにあまり進んではいないようです。
下りPAの日陰が少なくなって来たので、上りPAまで戻るとしましょう。
「あっ、こんな所に散髪屋さんが・・・」
「涼しいだろうな〜」「シャンプーしてもらったら気持ち良いだろうな〜」
でも私、もう30年近く床屋さんには行っていないのです。
何故って・・・
切ってもらうものが無いから・・・(これ以上は言わせないで)
後ろ髪を引かれつつ(無いけど)、散髪屋さんのグルグルの前を通り過ぎ・・・
あっ、あれは何だ!
墓場の向こうに聳え立つのは・・・
こんな所にも“ゲゲゲハウス”が・・・
ちょっと角度を変えて見ると・・・
てっぺんに風見が付いてる。
近くまで行ってみたいけど、この暑さじゃどうにかなっちゃいそう。
近くまで行ったらそのまま倒れて“ゲゲゲハウス”の仲間たちになっちゃいそうな
妖気 陽気です。
以前見つけた“ゲゲゲハウス”よりもひと回り大きな感じです。
また何かの機会に近くまで行ってみたいですね。
って、これを発見したのが午後2時過ぎ。
もうそろそろかな?
車のエンジンは普通にかかるしエアコンもバッチリ効くんだけれど、水温計の無いディーゼルムル。
炎天下でエンジンを掛けっぱなしにすると、水温の異常上昇が懸念され、ヘタをするとオーバーヒートとか・・・
隣に停まっているトラックは、カーテンを閉めてエンジンを掛けっぱなしにして渋滞解消まで一眠りするつもりらしい。
でも、ムルだと心配でそう言うわけにも行かない。
「あと2時間くらいで・・・」と、社長から。
今、大月にいるらしい。
大月から2時間・・・20分の間違いじゃない?
「あと10分くらいで・・・」
PAの入り口は見えているのに、10分どころか30分経ってもまだ来ない。
PAの誘導員に、「間も無く積載車が来て代車を下ろし積み込みをしたい」と伝えると、「ここの広いところを使って頂いて結構ですよ」とニッコリ。
えっ? 真っ黒いおじさんだと思ったらおばちゃんだったの?
笑顔が天使に見えたわ。
ようやっと到着した積載車には、シトロエンのDS4ディーゼル。
到着までに何と8時間弱!
ざっと計算して(計算線でもわかるが)、順調に流れている時の倍の時間を要しました。
社長、休日返上で大渋滞の中、遠いところまで有難うございました。
「保険のレッカー費用じゃあ全然足りんから、高速料金だけは請求させて」と社長。
えっ?
社長が神様に見えたわ。
ムルの荷物をDS4に積み替える際・・・
トランクの中から何やらトグロを巻いたものが出て来ました。
これって・・・
ムルティプラのクラッチワイヤーじゃ・・・
モノさえあれば近場の修理工場だって楽勝だったはず・・・
JAFや最寄のレッカー業者だって・・・
社長・・・
「ごめんなさい」
それにしても、子供たちを乗せる前の出来事で助かりました。
子供たちを乗せた状態でトラブって、炎天下で8時間待たせる事を思うと・・・
ムルちゃんありがとう。
今回はいつもと違って、家の敷地内や徒歩圏内の故障じゃなかったけれど、子供たちの乗っていないタイミングで、しかも渋滞の始まる前の流れている時間を狙ったかのように・・・
やっぱりいい奴だ。
積み込みも終わり、PAを出発する時に、真っ黒な誘導員のおばちゃん「お気をつけて〜」と天使の笑顔で送り出してくれました。
「炎天下に立ちっぱなしで大変だったでしょうけれど、とても素敵な天使の笑顔でしたよ〜」
「ありがとね〜」
さて、カミさんの実家に到着したのは午後7時。
家を出て到着までに要した時間はなんと13時間。
滞在時間は30分。
とんぼ帰りです。
反対の上り車線は、この時間でも大月あたりまでノロノロで所々完全に止まっています。
対面通行の須玉辺りでも車は完全に止まっています。
下り車線は交通量も少なく、自宅には午後10時半前には帰っていました。
何もしない時間を楽しめる私は、トラブルから積載車が到着するまでの約8時間半の間、嫌というほど楽しみましたとさ。
8時間半にも及ぶ立ち往生の顛末記、最後までお付き合いいただきまして有難うございます。