
日本のM&A市場はこの10年で大きな変貌を遂げる成長をしてきており、

2010年以前は、大きなMAは銀行や投資銀行、次いでミドル級でレコフ社あたりが存在感があったように思い、市中の庶民スモールMA仲介ビジネスはまだ小規模ブティック系やブローカ-系ばかりで、M&Aセンター社が少しずつ大きくなり出したころだったか、ストライク社がとりあえずネットで出て来るけど案件は期待できないような状況程度な頃、

クロージングや数値管理まで営業部隊の乗りな正規メンバー、準メンバー合わせ15名ぐらいのMAチームで方々リアルネットワークを構築し張り巡らしながら案件を一所懸命に定量的に発掘していたものでしたが、それを吟味して常時100社ぐらいの買収候補先リストがありました。会社を売ることはおおっぴらにできず情報のキャッチが容易ではないこと、また会社の売却がイグジットの一つとして一般的とは言えなかったゆえ案件数というものがかなり少数に限られおり、市場そのものが小さい中に若干売り手市場だったと思います。

それが今では高齢化と後継者難、先行きの不透明感を背景に売り物が激増し、これにITの時代と相まって
M&Aサイトを一つ見てみるだけでたとえば某サイト16,000件以上の売り物が掲載されている時代となりました。

大型案件、有名企業、優良企業の売り物は一般に出回ることなく話がまとまっていくのは今も変わりない中、MAサイトには売り上げ数十億レベルも散見されながら、債務超過破綻必至であろう不動産所有をしている会社の売り物、youtubeのアカウント売り物、英会話教室、工場、社員3名の小さな会社など、玉石混合で売り物が16,000件以上。本日現在カーセンサーで売りに出されている
全国の全カローラが5,117台となりますので、最量販帯の代表格カローラの三倍以上弾数が多いわけです。

不動産という実体が残るものとは違い、会社というものは中身がいつなくなってもおかしくない、業績があっという間になくなる可能性があり、あるいは簿外債務があったり、買収する前の事象につき後年訴訟を起こされるリスクもあるわけでありまして、もしくは労使関係が聞いていたよりも悪い状況や近年では人繰り不可で継続が難しそうだと買った後分かった等、買うのは色々とリスクが広くかつ高く、また買った後運用やメンテが必ず、しかも細やかに必要で、そもそも存続させることだけで莫大なストレスと手間暇がかかり、

人間が介在するわけですので、裏切りや騙しあい、主導権争いと常に隣り合わせであり、あるいは反社分子がサイレントに入り込んでいた、頑なな反乱分子を幹部として取り込んでしまった、などということもあり、

という意味で一定のハードルがある上に、

サラリーマン大家さんのように、銀行融資で多くの個人層が買えるという市場環境でもなく、

買える企業というのも案件サイズが大きくなるに従いおのずと一定数に絞られてきますから、

これだけ膨大な売り物があると、買い手市場になることが想像されます。

いくつか問い合わせをしてみますと、NDA(守秘義務契約)なしに、ネーム開示は当然に財務諸表や売り上げの細目まで資料が届くことに驚きました。

以前はNDAを交わしてからネーム開示と財務諸表の開示、会社によっては面談などやり取りがあってから初めて財務諸表の開示など、かなり慎重なフローでしたが、今はネットで請求するだけでいきなり開示ときたもんだ、でこれも時代を思います。

旅館に着くや、ママの具合悪いのが再発気味だったので、まずは我が子と二人で食事をスタートしました。

このときも不動産スキームの話をしながら「おれ、それやりたい」と聞きき、

マスカットジュースの飲み比べをして、

CCDカメラで撮りつつ、

汁物はパパの分も平らげ、料理全般ママの分も二人で頂きます。旅館の食事を二人で頂く時間。以前、磐梯山方面で大きく至極素敵なお宿、男2人旅行の道中、
たった2人で貸し切りだったのを思い出します。

チャート式スタート地点でいえば、MA案件「検討に値する・値しない」がまずほぼ直感で決まり、換言すれば資料を見る価値があるかどうかの峻別を事業と会社の状態概容で即座に行い、

次に「高いな」と思う案件であっても、私なりの値付けと勝敗ラインを決めて、

たとえば売値3,000万円の希望であっても「これは勝敗ラインが1,700万円だな」という線引きをして、歩み寄って2,000万までなら検討に値するな、のように二段のラインを作り交渉に臨みます。

メインとなったあたりでママが来て、

ご飯を整えてくれて、

デザートを頬ばって、

出会ってからだと28年ぐらい、一緒に祝う27回目か28回目となるママ誕生日のお祝いです。

勝敗ラインの定義としては、「この案件は高いからやめよう」ではなくて、勝敗ラインという損をしない価格を見つけて、この値段で買えるなら「買いだ」というラインです。

さらにのれん代のようなプラス価値を思えば、ここまでなら出しても「まぁ買いだろう」という最終ラインも始めにイメージを作ります。

一つとして同じ条件や状態の会社はないわけですので、ケースバイケースなのですが、

概ねそうやってテーブルに載るかどうかが決まることが多いです。

不動産だけでなく、改めてMA案件を見て、先のような初動プロセスで検討もしてみて、一つ同業についてアプローチをしてみることにしました。

サイズ感は先ほど例記したような様相ですが、検討してみることにした案件はまず在庫の資産性を考えて、次に自社で同じ業績を作ろうと思った時にかかるコストを勘案しつつも割り引いて、勝敗ラインとしてみました。

このMAの目的としては業績向上ではなく、同業であり同一顧客のアカウントがあるアクティブな社を、ビジネスモデルアップデートテスト用として、かつ緊急時のセーフティーネット機能として備えておくこととして、もう一つ同業を保有しておきたいことが狙いなのですが、それでも損がないようにと考えています。

「Hちゃんのタイヤあれ中古?」と聞かれ、「よくみてんなぁ」と思い「ママいないと寂しいね」と聞きながら、朝ごはんもママ体調不良のため、まずは二人でスタートです。

その折衝をスタートしたいと思っている企業様からの開示情報に基づいて直近数カ月売上推移と顧客別売上構成を見ると、

とある取引において当該顧客1社の方針を考えますと、向こう半年から1年内に当該売上が大きく毀損していくことが予見されました。

ばぁばとおもちゃ買ってもらうアポイントの電話。

と何を買うかの下打ち合わせ。

当該顧客の売り上げ減はかなり確度が高いものと情報を得ていますので、

当初想定した勝敗ラインを大幅に下げることになる交渉材料であり、

また売り手としてのもっとも不安に思い恐れている点であると思うので、この辺りを指摘していくことになりそうです。

この会社様の様子や状況を見るに、急いであるいは短期で決めようとせず、一度「この価格ならいつでも買わせて頂きます」というボールを投げて、ステイ作戦を考えています。

私にとっての勝敗ラインを越境した価格で買うところがあれば、それは元が永遠に取れない捨て銭をすることになり、それを競合がしてくれれば万々歳にと考えて、

テーブルに着かせてもらいたいと考えています。

M&Aは成功しましたか、というアンケートを企業に取ると、譲受企業の回答として3割がうまくいったというアンケートや、7割がうまくいったとネットに載っています。

10年以上前の同様な日経だったかのアンケートで、譲り受けた大企業がうまくいったと答えた比率は3割、その後の運営まで含めうまくいったと答えた企業は1割、というアンケート結果があったように記憶しています。対外的・対内的にMAは失敗だったとは言いにくいでしょうから、あるいは「これは成功しているんだバイアス」もあったり、実際の成功確率はもっと低いと見てもいいかもしれません。

原則としてはMAはその後の運営まで含めて、うまくいかなければ意味がありませんから、

その後の運営までを考えた時、うまくいったといえるケースは先のアンケートが示唆するように、ほんの一握りな難しい領域のようにも思います。

M&Aというものも、他の多くの遊びや経験と同様に、

初めては高揚するものだと思います。しかもかなり。

M9-Pとノクチの組み合せ「うわ、ピントわかんね」と聞こえてきながら、

ピントが合いました。

高揚を越えて、大興奮に達成感や、営業部門がその会社における大型案件を決めるよりも何倍では利かない成果を一気にもたらし、あるいはうまくやれば、100名以上が一年かけて稼ぐより、たった一人が短期間でもっと多くの利益を生み出し人材や取引先、技術の獲得などのリソースを一気に増やしますから、

特別感溢れる仕事にも感じ、有頂天の天狗にもなりやすく、

物事が見えなくなり、あるいはMA頼りになりかねないという、恐ろしい副作用もあるのがM&Aに思います。

という中に、一点注意が必要だと思うのが、

負債の引継ぎです。

あえて言葉悪くいいますが、買収するその会社の赤の他人であるおっさん達が過去遊びに散財したお金、つまりはゴルフや女、お酒に下手糞でセンスなき悪趣味レベルな新規事業投資、旅費など、これらおっさんの遊興費を遡って面倒を見ることと同義であり、

社員はそれを返すために未来永劫がんばっていかなくてはならなくなる、という点を入り口の高揚感で見失わないように気を付けることが大切なような気がします。ということも戒めながら、不動産だけでなくMAでもちょっと遊んでみるかもしれません。

ライカM9な上に極薄被写界深度のレンズゆえ「あまり撮らないから」「やったー」と言っていたのにたくさん撮ったママのバースデー旅行もした7月が終わり、さらに暑さ本番を迎えます。が、あっという間に秋風を感じそうです。
leica M9-P + NOCTILUX-M 50 mm f/0.95 ASPH