コロナ禍前まで、母校テニス部の夏合宿に参加していました。近年は、山中湖に舞台を移していますが、ひと昔前までは軽井沢が定宿でした。基本的に、現役生が合宿所に着くと、直ぐ翌年の予約を入れますので、開催場所と時期が固定されます。必然的に、周囲のほかの宿にも、毎年同じような顔ぶれがそろうことになります。
近隣に、ライバル校Xの定宿がありました。学生時代に何度も対戦した旧知の先輩がいましたので、こちらから出向いて挨拶に行くのが定例になっていました。
朝食が終わり、練習が始まる直前の時間帯を狙って、X校の鎌田先輩(仮名)を表敬訪問しました。先輩は、現役時代よりもさらに強くなっていて、実業団の上位で活躍中でした。こういう実力者に鍛えられるX校の現役は恵まれていると思いました。
鎌田先輩への挨拶を済ませると、つい自分の母校の愚痴になってしまいました。
「昨日、練習後に風呂がやけに混んでるなあって思ったら、現役が先に入ってたんですよ。うちは、上下関係が滅茶苦茶ですよ」
自虐ネタだったのですが、鎌田先輩の反応がイマイチでした。どうやら、自分にも不愉快なことがあった様子でした。「参ったよ」と前置きしてから、珍しく、重たい溜息をつき、事情を説明し始めました。
「俺さあ。昨日の23時過ぎに宿に着いたんだよ。そうしたら、宿の様子がおかしいわけ」
「なにかあったんですか?」
「宿の従業員以外、人の気配がまるでなくてな。まさかと思って、ある部屋の前まで行ったら、そこからは、ぼそぼそ男の声がするんだよ。おい、出て来いよ、と大声を出したら、男子部員達が真っ暗闇から大慌てで飛び出してきたよ。全員女子部屋に潜り込んでたのさ。疲労のピークを迎えるはずの合宿3日目だぞ。あの時間に起きていられる時点でアウトだし、俺がくるのも分かっていたはずなのによ」
2人で、見つめ合ったまま、お互いにかける言葉が見つからず、唸り合ってしまいました。
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2023/09/12 07:04:56