
自験の「実録」を「どぶろっく」バージョンでご紹介します。
蝉しぐれの季節になりました。公益財団法人の東京都公園協会が、セミの抜け殻を観測しており、棲息数をデータ化しています。
直近の調査結果は、次のとおりでした。
・アブラゼミ3,947
・ニイニイゼミ3,198
・ミンミンゼミ1,680
・ツクツクボウシ135
・ヒグラシ113
・クマゼミ35
体感的に、皇居周辺は、このデータどおりであり、3強の圧倒的優勢を感じます。変化を感じるのは、海に近い港区や品川区界隈です。昨年に続き、クマゼミの隆盛がものすごいことになっています。10年前に、真夏の倉敷市を訪れた際に、クマゼミの多さに瞠目させられましたが、その状態が山手線の周辺でも定着したようです。周囲を観察すると、植樹が多く、それが原因であることは、ほぼ間違いありません。
昔からいわれている「隅田公園の怪」は、続いています。隅田川の東岸にあたるスカイツリーの墨田区側は、アブラゼミの楽園です。なのに、全長169.45mの桜橋を渡って、浅草がある西岸の台東区側に入ると、アブラゼミとミンミンゼミの競演になっています。
この地は、1945年の大空襲で土中深くまで文字どおりの焦土にさせられたエリアであり、蝉は全滅したと考えられています。飛翔能力を含めた生命力が強いアブラムシは、みるみるうちに復権したものの、ミンミンゼミにはその能力がなかったということなのでしょう。東京湾、荒川及び隅田川に囲まれた三角地帯なので、なんらかの方法で川を越えないといけないのです。
ところで、時代小説の名手だった藤沢周平の「蝉しぐれ」のラストシーンは、なかなか印象的でした。――下級武士出身の主人公は、同じ身分の出から藩主の側室になった幼なじみで初恋の女性から呼び出されます。「今生に悔いを残したくない」という訴えに心を動かされ、再会を決意しました。幼少期とは違って、二人には歴然とした身分差があり、禁断の誘いでした。
主人公は、逢瀬のあと、「これでよかったんだ」と自分に言い聞かせながら、帰路についていました。黒松林で、ふと顔を上げると、いつの間にか、壮大な蝉しぐれに包まれていることに驚いたという話です。
藤沢先生の描写に驚嘆したのは、この部分で、蝉しぐれは、なんらかの重くて濃い意識が途切れた刹那に、自分を包んでいるものなのです。
――空想、妄想の話で、菊池桃子さんと蝉しぐれの森林浴を楽しんでいたとします。終始考えていることは同じで、「なんて美しいのだろう」と見つめ続けているはずです。「この世のものとは思えない美しさだ。もしかすると、妖怪なのか」という歓喜もあり、胸がいっぱいでしょう。
桃子さんが照れ屋なのは、ファン活動を通じて知っていますので、「そんなに見つめられ続けたら恥ずかしいよ」と訴えてくるはずです。そこで、なんと返すのか、男としての恋愛センスが問われる気がします。
「君を見つめるために生まれてきたんだから、許してくれよ」
「菊池桃子がどうやってできているのか、うんと近くでみてみたいんだよ」
きっと、そういう答えをすると思います。
「蝉達が必死に啼くのと同じさ。俺は、そのために生まれてきたんだ。啼かない代わりに、彼らと同じくらい必死に見つめている」
少しセンスがよくなってきた気がします。
気まずさが沸騰しそうになったときのセリフは、用意してあります。
――整いました。桃子をこんなに大好きな理由とかけて、江戸時代から続く老舗の鰻屋の味わいと説きます。その心は、いつもうんめーを感じることができます。
「よし、桃子、鰻食べにいこうぜ!」
実録は、以上です。
ここで、「どぶろっく」師匠の登場です。
――もしかしてだけど、桃子が俺に念を送ってきてくれているから、妄想が冴えてしまうんじゃないの~。
君だけを見つめて
君だけしかいなくて
Posted at 2026/08/02 17:45:48 | |
トラックバック(0) | 日記