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● カトリック教会と住宅遺跡
オールドハーバーでのパフィンウォッチングと昼食を終え、レイキャビック市内散策を開始。
以前にも書いたことなのだが、ここレイキャビックは世界最北に位置する首都であり、人口は約20万。
アイスランド全体の人口が約30万であり、2/3がこのレイキャビック近辺に集中している。これは北海道十勝支庁の人口が約30万、そして帯広近辺に20万程度であることと符合している。
しかも街の雰囲気など、帯広とそこはかとなく似た雰囲気があり、初めての街なのに、何だか懐かしい。
そんな街をしばらく歩いていくと、第一の目的地であるカトリック教会が見えてくる。港から10分も掛かっていないだろう。
到着したカトリック教会。
アイスランドはやはり北欧の国と言うこともあって、どちらかというとカトリックはマイナーとのことで、首都近辺ではこの教会が唯一のカトリック教会なのだとか。
内部の見学に特に制約はないようなので、覗いてみる。(もちろん一般的な常識に基づいて、であるが)
また広い前庭が、ノンビリとした雰囲気を醸している。先ほど港から歩いてきた道を振り返って。
そしてカトリック教会を後に、大使館(?)が並ぶ住宅地を歩いて、レイキャビックの中心街へと歩いていく。
途中にあった公園(?)
そしてほんの数分でレイキャビックの中心街へと到着。
そして目に付いた「Reykjavik 871±2」という博物館へと入ってみる。(入館料ISK600≒\420)
北欧らしいお洒落な館内。
この博物館はAD871年頃にアイスランドに住んでいた人の家の遺跡を保存・展示している施設。
このAD871年というのは、この年に爆発した火山から噴出した火山灰層に埋もれていた遺跡、という意味なので、実際はもう数十年前に建てられていたの家の遺跡ということになる。
発掘された遺跡を、そのまま地下に保存しており、階段で地下へ下りて、遺跡を間近で見学することが出来る。
そして遺跡そのものだけでなく、当時の生活などを発掘物などの展示物やバーチャルリアリティ(死語?)を駆使して解説している。
更に日本語の音声ガイドも用意されており、辿々しい日本語が吹き込まれたiPodミニを無料で貸し出してくれる。
所々に太陽光が差し込むスペースも設けられている。
しかしこの採光窓…実は道路上の歩道に空いた天窓なので、うっかり見上げたりすると…
(写真は上に誰も居ないときに撮りました)
● レイキャビック中心部へ
そして博物館をあとに、ほんの2~3分歩く。
するとレイキャビックの中心に位置するオイストトゥヴェトリル広場へ到着。
平日だと、ちょっと寂しいようにも思えるのだが、休日はこのように多くの市民が集まってきて、憩いの場となっている。(後日撮影)
そしてこの広場に面して、重要な施設がいくつも立地している。
先ずはルター派教会
そしてアルシングと呼ばれる国会議事堂
この「アルシング」という言葉については、旅6日目の旅の報告で紹介することにしたい。
そしてこの国会議事堂の裏手にはレイキャビック市庁舎も立地しているのだが、こちらはあとで紹介したい。
そしてオイストトゥヴェトリル広場(アイスランドの地名は舌を噛みそうなものが多い…)から2~3分歩くと、首相官邸。
警備など一切無く、あまりに開けっ放しで、とても首相官邸とは思えない。
…思いこんでいたのだが、これは間違い。
本当の首相官邸は北へ数十m行ったところに存在している。
(後日撮影)
…いやいや、本物の方が一層質素である。
普通に首相の家族(?)が出入りしていたりと、あまりに無防備で驚いてしまう。
そして散策を継続。
ほんの数十m歩くと、チョルトニン湖へと到着。
まあ湖と行っても池程度の大きさ。…というか、「チョルトニン」とはアイスランド語で「池」という意味なのだとか。
で、左奥に見えている、池にせり出した建物がレイキャビック市庁舎である。
このチョルトニン湖は市民の憩いの場になっており、昼寝をする人、新聞や本を読む人、水鳥に餌を与える家族連れなど多く見られ、ほのぼのとした空気感が漂っている。
そして雰囲気の良い湖畔を歩いていく。
街の中心からほんの10分程でこの光景。
とにかく「首都」とは思えない、恐ろしいほどに長閑で良い雰囲気の街である。
● 国立博物館を見学
チョルトニン湖を半周程度歩き(と言っても、歩いたのは15分程だろうか)次なる目的地、アイスランド国立博物館へ到着。
外観工事中で、ややゴチャゴチャした印象であるが、内部は通常営業中。
地下のロッカーに荷物を預け、見学開始。
この博物館は9~10世紀にバイキングが移住してきて以来のアイスランドの歴史を時系列に従って展示している。(ちなみにそれ以前のアイスランドは無人島であった)
その後の直接民主制の時代、ノルウエーやデンマーク王国の一部として支配された時代、そして1944年の独立に至るまでの歴史がわかりやすく展示されている。
更に戦後に関しては、懐かしい品々や写真を多く展示し、今流行の「昭和ブーム」的な楽しみ方も出来るようになっている。
私はこの博物館を「わかりやすい」と評しているのだが、これはその展示方法はもちろんなのだが、英語表記のわかりやすさという要素も大きい。
この博物館の展示解説はアイスランド語と英語の併記になっているのだが、英語表記が非常に平易な文章でわかりやすく書かれており、英語を母国語としない人でも理解しやすいように配慮されているように感じられる。
更に説明文は全て上から重要なテーマや概要、そして下に下がるほど詳細な説明が書かれるようになっており、上の方を読めば大凡の概要が掴め、興味があるなら更に下へ…といった具合に読んでいけるので、「先ずは展示物の概要を」「関心のある展示はじっくりと」と言った具合に効率的に理解することが出来る。
この博物館に限らず、アイスランドは英語が完全に通じるだけでなく、平易な英語を用いたり、言葉だけでなくイラストやデザインでも理解できるよう工夫するなど、非英語圏からの訪問者への配慮もなされており、英語が得意でなくてもでも比較的旅しやすい国だとも言えるだろう。
(但し英語以外の外国語はほとんど通じないので、「英語が全く無理」というのは厳しいかも知れないが、義務教育終了程度の英語力と辞書があれば最低限旅できるだろう。)
● ハットルグリムス教会へ向かう
国立博物館をあとに歩き始める。
博物館の隣はアイスランド大学。
広々した敷地であるが、日本の大学のように木があるわけでもないので、何だか殺風景。
そしてレイキャビック空港(国内線空港)
昨日到着したケプラヴィーク国際空港は、市内から小一時間もかかる国際空港だが、こちらの国内線空港はその気になれば市内の中心から歩いても行ける距離。
以前の報告で「成田と羽田のような関係」と書いたが、羽田以上に利便性の高い空港である。
そして航空券などには「REIKJAVIK DOMESTIC」と表記されるが、実際はフェロー諸島やグリーンランドへの短距離国際線も就航しており、明日のグリーンランドへのフライトもこちらからの出発となる予定である。
この空港はアイスランド各地への定期便、近距離国際線、そしてチャーター便やプライベート機の発着も多いようで、レイキャビック市内を歩いていると、頻繁に頭上を飛行機が通過していく。
写真は明日搭乗予定のエアアイスランド(NY)のフォッカーF50
市街地から徒歩15分ほどの郊外を歩いているのだが、沿道の景色は至って長閑。
そして次なる目的地であるハットルグリムス教会が見えてくる。(写真左端)
歩道橋で幹線道路を横切る。
一歩郊外へ踏み出すと、土地にゆとりがあるためか、至って贅沢な作りの道路である。
なお正面に見えるのが天然温水配給施設「ペルトラン」、右手に見えているのがレイキャビック国内線空港の滑走路である。
そして再びレイキャビック中心部へと入っていく。道は上り坂になり、いい加減疲れが見え始める。
とは言え、お洒落な民家を眺めて歩くのは楽しいのだが。
● ハットルグリムス教会から眺めるレイキャビック
そしてようやくハットルグリムス教会が見えてくる。
先日アップした海からの写真でもわかるように、レイキャビックのシンボルといっても過言ではない建物である。
あらためてハットルグリムス教会を眺める。
設計開始が1937年、着工が1945年、そして完成が1986年という、サクラダファミリアを彷彿とさせる(もちろんサクラダファミリアの方が規模・工期ともに数段大きいのだが)大事業である。
先ずは内部を見学。クリスチャンではないので、お参りが目当てではないので、信徒の邪魔にならないようそっと見学させていただく。
そして展望台へ。このハットルグリムス教会は、高さ74.5mというアイスランドでも屈指の高層建築である。(今までの写真からもわかるように、そもそもアイスランドにはほとんど高層建築は存在しないのだが)
しかも小高い丘の上に位置しているので、展望台からの光景は期待できそうである。
チャーチショップ(要はミュージアムショップ的な売店)で、チケット(確かISK500≒\350)を買い求めエレベーターに乗り込む。
ここアイスランドはクレジットカード社会なのだが、教会のような場所でもクレジットカードが使えるのが凄い。
(アイスランドがカード社会なのは、インフレを経験し、物価の上昇に高額紙幣の発行が追いつかず、現金での決済に困難を来していた時代があったから…という理由なのだとか)
エレベーターを降り、更に階段を登って到着した展望台はこんな感じ。
恐ろしいほど殺風景である。そして窓には鉄格子が掛かっているものの、基本的には吹きっさらし。まあカメラで撮影するには目の粗い鉄格子だけというのは有り難くもあるのだが。
まずは先ほど歩いてきたアイスランド大学~国内線空港付近の景色。
左手の空港滑走路がわかるだろうか。その右側、写真中央の交差点が先ほど写真を撮っていた歩道橋のある交差点。そしてその右手にある半月状の庭のあるあたりがアイスランド大学である。
そして今度は空港の全景。
いかに市街地に近いか理解できると思う。
次は午前中訪問したオールドハーバーからレイキャビック市街地方面。
このあたりも今日、自分が歩いてきた場所であり面白い。写真左側の池がチョルトニン湖である。
更にオールドハーバーをアップで。
しかし世界最北の首都の風は本当に冷たい。あまりのんびり眺めていると、だんだん体が冷えてくる。
もう少しゆっくりしたいところなのだが、いい加減寒くなってきたので、諦めて降りることに。
ただここの教会…一般客向けお手洗いが無いので、あまり体を冷やしてしまうと、ちょっと大変なことになってしまう。
美しからざる話なので隠し文字とするが…
実はすっかりお腹が冷えてしまった私は、お手洗いを求めて大急ぎで繁華街を駆け回ることに。よく考えると日本時間でちょうど朝方であり、しかもまだ2日目ということもありアイスランド時間に体が適応しておらず、生理現象は日本時間で催してしまっていたのである。[隠し文字ここまで]
そしてレイキャビクの繁華街をあるいてホテルへと向かう。
ホテルは市街地から2kmほど離れているが、まあ散歩がてら歩いてみるのも悪くはない。
途中で見かけたスーパー
スーパーの籠。車輪付きでユニーク。
店内はと言うと…やはり生鮮品(特に野菜)が手に入りにくい地理的条件からか、冷凍食品や乾物などが幅を利かせている。
特に売り場が丸々冷凍庫になっており、客がその中に入って(当然寒い)買い物をするという売り場まであるほどである。
またこの国のスーパーにも「SUSHI RICE」と呼ばれるジャポニカ米をはじめ、いくらか日本食の材料も揃っている。
日本人を見かけることは少ないが、海に囲まれたお国柄か日本食はよく普及しており、日本食専門店はもちろん、普通のレストランでも日本食を取り入れたメニューを用意していたりと、意外と身近に日本食が存在している。
但し“日本人のための”日本食という要素は薄く、あくまでアイスランドで作られた“日本風”料理なので、ちょっとズレていたりして面白いのだが、これらはまた追々紹介していくことにしたい。
そして散策再開。
最後はホフジと呼ばれる迎賓館。
迎賓館と言っても、警備はおろか、塀すらなく、海辺の草地にポツンと経っている。
まるで廃墟のようだが、これでも歴とした現役の迎賓館。従って内部は一般公開されていない。
そしてこの建物こそが、1986年にアメリカのレーガン大統領と、ソ連のゴルバチョフ書記長が会談し、冷戦の終結が図られたレイキャビック会談が行われた建物である。
そんな歴史的な建造物が、あまりに無防備に佇んでいることに違和感を感じずにはいられないのだが…。
建物の裏手から
なおこの迎賓館は1909年の建築で、フランス領事館として使われた後、迎賓館として使われているのだとか。
そんなこんなでレイキャビック市内中心部を歩き回り、ホテルへと到着。
休憩がてら、明日のグリーンランド行きに備えて荷物を整理していると、疲れがどっと出てきてダウン。
本当は夕食を食べに行く予定だったのだが、それはキャンセルとなり、そのまま眠りについてしまった。
やはり日本から一気にアイスランド入りして、昨日の今日でいきなり歩きまくりの一日だったのだがら、それなりに疲れも溜まっていたのだろう。
<つづく>次回はグリーンランドへ向けて出発します。
撮影機材
・SONY α200 + SONY CarlZeiss T* Vario-Sonnar 3.5-4.5/16-80(24-120)[SAL1680Z] and SIGMA 10-20(15-30)mm F4-5.6 EX DC and TAMRON SP AF 18-250mm Di II LD Aspherical [IF] Macro [Model A18]
・SONY CyberShot DSC-TX5 (CarlZeiss T* Vario-Tessar 3.5-4.6/4.43-17.7(25-100))
・MINOLTA αsweet II + MINOLTA AF 24-105mm F3.5-4.5 + FUJICHROME PROVIA 100F or VELVIA 100F