年に二度ある「次年度新作展示会」(クルマ業界でいうモーターショーみたいなもの)の第一弾が今日やっと中日を向かえ、一息ついています。
やはりご他聞に漏れず、物販の状況はなかなか厳しいものがあります。
この一週間、「なぜモノが売れないのか」ということをずっと頭の片隅に置いて過ごしました。
詳細は触れませんが、私の所属する業界の商品はいくつかの点でクルマと似ています。
例えば、クルマが売れなくなった原因としてTVや報道などで目にするのが「趣味嗜好の多様化」「若者のクルマ離れ」「クルマの白物家電化」などといった事象です。
私の業界でもほぼ同様の事象が売れなくなった原因として、業界紙の紙面や取引の場での話題に上ります。
至極当然な理由にも聞こえますし、私もその通りだろうと考えていました。
しかしこの一週間で「なぜモノが売れないのか」の原因は実は言い古されたことですが、
「日本経済がデフレから脱却出来ていない」ただ一点のためである、との考えに至りました。
当たり前ですが「デフレ」とは物価が持続的に下落していく経済状態だと定義されています。
デフレギャップと呼ばれる、需要が供給を下回る状態が継続すると物価が下落するという図式はなんとなく理解できます。
その「需要が供給を下回る」大きな原因の一つは、消費者の消費マインドが停滞した状態、つまり「あぁ・・・給料も上がらないし、ボーナスも期待できない。おまけに老後も不安だから無駄なお金は使えないよなぁ。」というような気持ちだと考えます。
おのずと無駄なモノや、必需品でも高単価なモノは買い控えが進み、物販業界は販売数減少と単価下落のダブルパンチを被り、疲弊していきます。
クルマも軽自動車が毎年販売台数を伸ばす一方、大排気量車の販売が減少している様なので乗用車の平均販売単価は恐らく下落していることでしょう。http://www.jama.or.jp/release/news/attachement/20120404_jouyou.pdf
このことから「クルマの白物家電化」は生活必需品としてクルマを所有する消費者が、より低価格、低コストを求めた「結果」であると言えます。
同様に「若者のクルマ離れ」も平均年収が下落し続けている一方、自動車価格自体は上昇し続けているというギャップが起こした「結果」と考えられるし、「趣味嗜好の多様化」は仮に「バブル期」であれば、クルマはもちろんケータイもゲームも、スポーツや音楽、さらに飲み会etc・・・将来に不安が無ければ「多様化した趣味」をそれぞれお金が続く範囲で満喫できるはずです。
つまり、「原因」とされてきた事象は全て「結果」であったと言えるのです。
私はいわゆる「バブル期」に社会人になった世代です。
「バブル、バブルなんて騒いでいたけど、俺ら下ッ端にゃ何も恩恵なんか無かったよな?」と、バブルが崩壊した直後はバブルの恩恵とは何だったのか、20代だった私は全く実感出来ずにいました。
しかし昨今の長引く不況とデフレスパイラルの渦中に投じられ、ようやく理解しました。
バブル当時はかなりハードな仕事で、深夜まで残業し休みも月に1~2日でしたが、20代前半でクルマも普通に所有していましたし、(TVで観る様な)派手な遊びはしませんでしたが、やりたいことは金銭的にそれほど躊躇した覚えはありません。
当時は私を含め、日本国民の多くに「消費マインドの昂揚感」は多かれ少なかれあったと思います。
少なくとも私には現在とは真逆と言えるほど違って感じます。
(註:決してバブル経済が良いと言う訳ではありません。)
健全な経済状態は緩やかなインフレが好ましいという意見を聞きます。
(また逆に、日本がインフレになると現在の年金問題がいよいよ破綻するとの意見もありますが。)
昨日15日に消費増税の最終協議はまとまりませんでしたが、個人的には一刻も早くデフレから脱却する施策を政府には望みますし、デフレ脱却を果たして「消費マインド」が上向けばGDP自然増から税収は自ずと伸び、消費増税も不要(もしくは脱却した後に増税を検討すべき)だと考えます。
(仕事のことはさておき)このままデフレが続くと懸念されるのが、国産の「趣味性の高いクルマ」の企画開発が非常に難しくなると思えることです。
Roadsterのような本当に楽しいクルマに乗ろうと思ったら輸入車にしか選択肢が無い。
デフレ脱却が遅れるとそういう時代になるかもしれないと思うととても悲しくなります。
その前に失業してクルマ自体に乗れなくなるかもしれませんが・・・。
ちょっと疲れ気味のせいか暗くなってしまいましたので、今日はこれにて。
Posted at 2012/06/16 13:15:14 | |
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