• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2022年07月02日

物語A219:「王者コナン転進」

王者コナンは黒田大尉を難無く葬り去った後、あまりにも力が有り余り過ぎてしまい、不完全燃焼の闘魂を持て余してしまった。
この気分を晴らす為の獲物が居ないかとナイナイメー辺地を砂粒一つ見落とさずに眼光鋭く獲物である強者を探すの王者コナンであるが、周囲に見えるのは、大粒の涙をボロボロと流しながらも両腕を精一杯振り回して走り回る雑魚キャラや、前に縦に構えたピコピコハンマーを前後に揺すりながら他の雑魚キャラを追い回す同じ雑魚キャラなどぐらいであった。
どの姿にも王者コナンが思い描く戦士同士の力の限りに闘っている風というより、唯の子供の喧嘩・虐め、もしくはじゃれ合いとしか見えない光景しか見えなかった。
ついに、渋々とだがこの周囲に我が敵無しと受け入れた王者コナンは手近に寄って来るそのような手頃で運の悪い雑魚キャラを二張の張扇で弄び乍らワンワンセブン高地へと引き返し始めた。
暴走した戦車に引き摺りまわされボロボロになったベンとハーがその戦車を引っ張りながら、活躍の場も王者コナンへのしっぺ返しも出来なかったと悔やみつつ、とぼとぼと王者コナンの後に続いている。
その二つの口は雑魚キャラから奪った戦利品のスルメを齧っている。

ワンワンセブン高地頂上に辿り着くと、せっかく相まみえる事が出来ると期待の強者と思ってい黒田大尉の実力に落胆し落ち込んでしまっている王者コナンは高地頂上にある自分専用の床几にペタリと座り込む。
下草を揺する風が王者コナンの体を労わる様に一寸の間だけ包み込んだ。
その心地良さが闘魂のメルトダウンを防いだ。
期待値ゼロと確信しているが、次の強者が出現する事に儚い期待を込めて念押しに大乱戦の内と外を半開きの片目で眺めてみるのだが、その目の中にはやはり永続的な失望の光以外には何もなかった。

すっかり手持無沙汰となった王者コナンは暇潰しにベンとハーに賭け勝負を持ち掛けてみるのだが、あっさりとあしらわれた挙句に中指立てられて断られてしまう。
前回の卑怯な賭けからまだ立ち直っていないベンとハーなのであるからして、彼らの拒否権の発動は当然であった。
それよりも、戦車に引き摺られてボロボロになった体を王者コナンにこれ見よがしに見せつけながらも、眼は明後日の方向に向けて、その傷を癒すためにペロペロと長い舌で舐めているベンとハーであった。

ベンとハーのこの皮肉な対応でガン無視され、手持無沙汰になったうえに、強者出現も半分諦めて、力を持て余してしまった王者コナンは床几の上で両の足をブラブラさせ始めるのである。
それはまるで待合室の子供状態であった。

そんな王者コナンの元へゲルフォン・ルント中佐が率いるBB歩兵私団の伝令が転げる様に慌てて駆け込んできた。
このBB歩兵私団は、現在ここより東の地域で北方蛮族を相手にお山の大将を狙っての力比べをしているはずだったがと王者コナンは疑問に思い伝令を見つめて首を傾げた。
仲間同士の争いに今更に救援を請うでもあるまいし、何故にその伝令が慌てた走り込んで来るのだと疑問に思う王者コナンであった。

その慌てる伝令は間違ってベンに向かって深々とお辞儀をした。
それを見ていた王者コナンの方眉がピクリと上がり、ベンは胸を張って伝令の前に立ちはだかり、ハーはその隣で目を丸くして伝令の行動に驚きつつも内心でベンを妬んだ。
プライドの連鎖反応である。
伝令はベンに恭しく頭を下げて礼をした後に、その頭を上げて報告の弁を述べようとした時に毛むくじゃらの傷だらけの獣を目前にして、伝達すべき相手を間違っている事に気が付き、自分の大失態を伝令は自覚したが、既に後の祭りである。
暇潰しに恰好の獲物を得たという風にニコニコ顔の王者コナンがベンの影からニョロリと顔を出す。

遠方から駆けて来た汗とはかなり違う意味の幾筋かの汗を額に滴らせながら、改めて王者コナンに恭しくお辞儀をしてから報告を始める伝令であった。
だが、王者コナンは伝令に「くるしゅうない」、「もちっと近う寄れ、近う。」と声を掛けるのであった。
伝令が近くによると素早く背後に回って、無理矢理地面に倒し「疲れている様での、我が自ら揉み解して進ぜよう。」と宣った。

伝令の労をねぎらうかの様に疲れた伝令の筋肉を揉み解し、そのお肉もついでにヅコヅコと突き解し、額に拳を当ててグリグリとマッサージをし、骨の髄まで届くようにニギニギする王者コナンであった。
そして、その間、伝令は息も絶え絶えに王者コナン直々のマッサージに感謝しながらも、報告を続けるのである。
言葉では言い尽くせない必死のその報告を要約すると次のようになる。

北方蛮族の第1高歌猟犬兵軍を率いるワシタ・ブラックケトル酋長が此処ワンワンセブン高地より西方に位置するアラモフヶ丘にて奇妙な一団を発見した。
この時、その奇妙な一団は一夜にしてアラモフヶ丘に立派な一夜陣を築きあげ、明け方にいつもの縄張り巡回をしていたブラックケトル酋長はその一夜にして現れた堅牢な陣に度肝を抜かされてしまう。
昨日の巡回時にはその寒々としたアラモフヶ丘には、枯草以外には何も無かったとケトル酋長は認識していたのである。

ブラックケトル酋長は縄張りに建つその無粋な一夜陣に驚きと共に怒りを覚えた。
一夜陣を落とすべく、すぐさまに果敢な攻撃を加えるのだが、奇妙な一団は少数ながらも数に勝る第1高歌猟犬兵軍を相手に一歩も譲る事なく果敢に戦い、攻撃の事如くを退かせて陣を死守したのである。
ブラックケトル酋長はその一団の戦いぶりを観察しているうちに、守りを重視するあまりに本当の実力を出して闘っていない風に感じた。
それはつまり、逆を言えば余りにも手強い相手であるという事だった。
だからと言って、縄張り内の陣地に酋長は許せなかった。
酋長のプライドだけでなく、しのぎを削っている他の蛮族にこの事が知られると、侮られてしまい、盤石の我が身が危うくなるのである。
包囲されている奇妙な集団は地理的に後には引けないが、ブラックケトル酋長もまた後には引けないのである。

そして、第1高歌猟犬兵軍が一夜陣を包囲し、散発的な小競り合いを除いては、ほぼ硬直状態になってしまっているとBB歩兵私団の伝令は語った。
ここで終わりならばBB歩兵私団のゲルフォン・ルント中佐はブラックケトル酋長にそのまま任せておき、勝敗後に戦力の衰えた勝ち組に襲い掛かるだけであった。
だが、アラモフヶ丘の奇妙な一団の味方と思われるかなりの数の大部隊をルント中佐は平地で発見した。
アラモフヶ丘の一団と合流しようとして、包囲する第1高歌猟犬兵軍の背後を遠巻きに巡回しながらその隙を伺っていたのである。

その部隊はゲルフォン・ルント中佐率いるBB歩兵私団と、アラモフヶ丘を包囲する第1高歌猟犬兵軍を併せても互角どころかプラス・マックスαの規模で、武器装備も万全な大部隊であった。
ルント中佐は単独でその刺々しい部隊への攻撃に躊躇ってしまい、遠巻きにその大部隊の後を追従していた。
もし、これが北方蛮族であったならば、全滅も顧みずにすかさず手を出すであろうが、元D村の兵士であるルント中佐はその程度なのだなぁとこの話を聞いて王者コナンは思う。
この北方に勝ち負けは無く、常に闘いを求め、その闘いで自らの力を育くんで行く事がこの北方独特のルールなのである。
まだまだ、ルント中佐は勝敗に拘っている。

王者コナンは伝令のこの報告を聞きながら、アラモフヶ丘の一夜陣で戦う奇妙な一団に興味を覚えた。
一夜陣とやらも見てみたかった。
だが、あのワシタ・ブラックケトル酋長を驚かせたうえ、手こずらせている一団である。
それも数に劣る少数で包囲戦を闘っているのだという。興味が増すと共に「強者が此処に居る。」という確信が王者コナンの心内に強まってきた。
「行くべきだ。」、「否、行かねばならない。
それが運命なのだ。宿命なのだ。性だ。」心の声が大きく響く。

ここまでの報告が一段落すると、伝令は次に自分がいかにこの危険な戦地を強敵からの激しい攻撃をうまく躱しながら伝令としての責任を果たそうと危険な荒野を駆け抜けてここまでやって来たという自慢話を始めた。
その自慢気な伝令を前にして王者コナンは床几から急に腰を上げてすっくと立ち上がったのである。
言葉の詰まった伝令が下からそっと見上げると、王者コナンの眼は燃え盛る炎でギラギラと輝いていた。
誇張した自慢話をしていた伝令は王者コナンの他を押し潰す程の気迫に言葉を呑み込み込んだ。
調子に乗り過ぎてしまったと伝令は後悔して顔を蒼ざめるが、王者コナンの眼中には既に伝令の姿は無い。
伝令の姿は風に吹かれて眼に飛び込んだ煩わしい塵以下であった。

アラモフヶ丘の奇妙な一団の勇猛精進な戦いぶりを聞き、その姿を想像して身震いしている王者コナンであった。
だが、その反面ではそこから見えるナイナイメー辺地を含めたこの北方で起きている不審な動きの全体像を吟味していた。
そして、B村とその同盟村がこの北方の未開の地を利用して、D村を襲撃する作戦が行われていると見た。
とすると、この部隊に加勢して共にD村を急襲するのも有りかと王者コナンは考えた。
だが、アフェト・ラ将軍様の妬みで部下が辱められ虐められた事を思い出しはするが、自分は一切の危害を受けていない。
この点で王者コナンの心を動かすには足りなかった。
つまり、D村侵攻など眼中に無いどうでも良い事であった。

それよりも、全村制覇後にどちらの勢力が勝とうが、確実に北方へも進出するに違いないと考えた。
それも全村の大部隊を以てしての攻撃を仕掛けてくるはずである。
さすれば、その全村連合を相手に全北方蛮族を率いて戦うのも、これはこれで面白い事だと王者コナンは思っているのだ。
しかし、それはまだまだ先の事である。先の事は当たるも八卦外れるも八卦である。
期待しても無駄に終わる事がある。
なので無用に策を練らずに、今は目の前に吊るされた餌、アラモフヶ丘の強敵に当たるだけしか考えられなかった。
その他は些事である。

目の前のアラモフヶ丘に集中する王者コナンは「武者修行者である我が身」がアラモフヶ丘へ「行かねばならぬ。行かねばならぬのだ。止めてくれるな八兵衛!」と決意するに至った。
宝物の大半を不覚にも失って気落ちしているベンとハーに王者コナンは気合の一括を入れてて引き立たせると、此処を出立するべく戦車に括りつける。
王者コナンのオーラに共鳴するかのようにベンとハーも奮い立つ。
ベンとハーもある意味では北方の強者、戦う武者であった。
括り終えて戦車に乗り込む頃には、王者コナンは、果敢に一夜陣を守っている一団は押しも押されぬ猛者であり勇者であると決めつけ、理が非でも我と闘わずにしておくものかと勢い込んだ。
王者コナンを乗せた戦車は鞭の一鳴りに反応したベンとハーによって力強く曳かれてアラモフヶ丘へと駆け出した。
ベンとハーもすでに乗り手の熱情を肌で感じ取っており、行く先にはベンとハーの求める何かがあると強く感応し、土煙を揚げて地を蹴る足も力強くなっていた。

-- 灰色猫の大劇場 その26 ----------------
灰色猫が玉座に座っている。
黒田大尉が柱の影から玉座を狙っている。
玉座を前に新米村民兵達が居た。
新米村民兵は興奮気味して改造ピコピコハンマーを楽しそうに振り回している。施した改造を自慢しあっているのだ。
本編で滅せられた黒田大尉の大劇場乱入の図であった。
マクレン大佐に見切りをつけた右河飛足軍医の奸計に誘われ、黒田大尉は軍を再編成したのである。
「其の疾はやきこと風の如ごとく、其の徐しずかなること林の如く、侵掠しんりゃくすること火の如く、動かざること山の如し」
新米村民兵達は動かずに灰色猫を睨み付けている。黒田大尉の突撃の合図を待っているのだ。
危うし!灰色猫の図である。

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2022 Freedog(blugger-Name)
ブログ一覧 | 物語A | 日記
Posted at 2022/07/02 01:32:02

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

未会員でも㊗️🔰 SOCJ八ヶ岳 ...
regnさん

SUBARU レヴォーグ VN系の ...
ハセ・プロさん

赤城オフ行ってきました!!(202 ...
RA272さん

いろいろな意味で濃い方々
SNJ_Uさん

5/31-6/1自動車関連ニュース ...
かんちゃん@northさん

バリバリ⑩。
.ξさん

この記事へのコメント

ユーザーの設定によりコメントできません。


プロフィール

「プリウスミサイルというが・・・ http://cvw.jp/b/1467453/47466114/
何シテル?   01/11 12:41
FreeDog(寒;)です。よろしくお願いします。 好きな言葉「笑う門に福あり。」 さぁ、みんなでブログ読んで笑いましょう! 嫌な真実「My JOKE...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/6 >>

      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      

愛車一覧

ホンダ フリードスパイクハイブリッド ホンダ フリードスパイクハイブリッド
フリードスパイクハイブリッドに乗りました。
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation