
~マイフェイバリットなクルマたち Vol.6~
第6回は、トヨタのショーファードリブンカー『
センチュリー』(
2代目・
1997.4~2017.2)です。
駆動方式:FR
搭載エンジン:5L V12
<型式>
GZG50(5AT/6AT)
・はじめに・
2代目は、30系ハリアーの3.5Lだとか 年度モデル単位で新エンジンまで載せてくるトヨタにしては、
フラッグシップにもかかわらず 新しい装備の導入に慎重だった印象があります。
(勿論、安全性に関わるようなデバイスは惜しみなく投入されています)
明るいディスチャージヘッドランプが普及してきても、ハロゲンバルブのまま。
身体乗り出しても後端が遠くに感じるほど長いオーバーハングなのに、バックカメラは無し。
確実な信頼性が確認できてからでないとゴーサインが出ないのか、生産上の都合なのか。
ミラーにヒーターがないと思っていたのは独立スイッチがないことからの勘違いでしたが、
色々ひっくるめて、大雨の夜 どーして!どーして!と小松政夫状態で運転したことを思い出します。
(2005年3月の話)

カーナビの画面は小さく、フォントもギザギザ。
ゼロクラウンの高精細VGA8インチワイド大画面のナビに魅せられたのが2003年の冬。
写真は それから6年以上経った2010年2月のセンチュリーの新車のもの。2010.2.24
そんな2代目センチュリーですが、のちに 6速ATが搭載され、
ディスチャージランプも採用され、バックカメラも標準装備されました。
ナビはあまり進化しなかったけど…。
細かいグチはこのぐらいでおしまい。
<センチュリーの唯一無二>
☆エンジンの始動音☆
どのぐらい唯一無二かっていうと、3ローターのコスモが向かってくる時の音ぐらい。(通じねーよ)
スターター音 そしてそこからエンジンがかかる"すぉぉぉ~ん!"という音は、
他の車にはない 何ともカッコいい迫力のあるものです。
V8セルシオのそれも高級なんだけど、センチュリーのは特別な儀式のようなかんじ。
☆静粛性☆
1万台以上のクルマを運転してきた中でもっとも印象に残った一瞬。
静か…というより、音がしない。無音ではないけど、無音に感じる。
エンジン音・排気音・風切音…ほんの僅かに音がするから逆に静けさが際立つのかもしれません。
源流対策が施された初代セルシオ、エンジンが停まってる状態のプリウス、
無論オムロンそれらとも別次元。(ここで無論オムロンはやめなさい)
目の前でV12エンジンが動いているというのに、エンジンは黒子に徹して
その黒子がどこにいるかわからないぐらい静かです。
新車ですと、走り始めても ほんとに無音といっていいぐらい音が侵入してきません。
その無音に近い中で 唯一聞こえてくるのが、ギャップでタイヤがたたかれる音。
言葉にすると こんなかんじ↓
「。。。。ぽこぽこ。。。。。。。。。。。。。。。。ぽこぽこぽこ。。。。。。。。」
他の車種だと、メカニズムの音・周囲の音が 室内に多く侵入してくるから、
逆に ぽこぽこ音には気が付きにくいかもしれません。
クルマの“静かさ”のレベルを 大まかに分けると、
1:出す音が大きくて、入ってくる音も大きい(走りゃいい的クルマ)
2:出す音は静かだが、入ってくる音は大きい(電気自動車やハイブリッドカー)
3:出す音は大きいが、入ってくる音は小さい(遮音対策がされた一般的な高級車)
4:出す音も静かで、入ってくる音も小さい(センチュリー、セルシオなど)
うちのプログレ君(前期型)とGXS12クラちゃんは、どっちもそこそこです。
強く加速すればエンジンの音が大きくなるし、街中を走れば 騒音も普通に入ってきます。
(音が心地良いものであれば レベルが大きくても気にならないけど、それはまた別の話)
センチュリーの静粛性は 究極のものづくりから生み出される賜物であって、
一般的な高級車を含め 他のクルマでは成し得ないものだと思います。
☆大トルク☆
エンジンかけます。Dレンジに入れブレーキを離すと、クリープで動き出します。そこからがですね、
アクセルペダル踏んでないのに そのままコンビニまで行けそうなぐらい力強く進んでいくんです。
2代目センチュリーは、国産車で唯一 12気筒エンジンを搭載しています。
排気量も 国産最大級の5リッター。
パワーは自主規制だった280馬力に抑えられていているものの、
さすがに余裕があります。そして、とても静かで滑らか。
アクセルをラフに踏んでも 電子制御でしつけられるためか荒っぽい加速はしません。
でも、大トルクの恩恵は十二分に受けられます。5ATモデルでも無問題。
仕事で疲れきっていた夕方に 湾岸高速を横浜から千葉まで走った時、
トルクだけで走れることがどんなに楽か 身に染みました。
もちろん、このクルマの全てが合わさった上での楽さ、なのですけど。
<乗り心地>
乗り心地は、170系までのクラウンのフィールが好きな人なら
運転感覚も含めて気に入るのではないでしょうか。
ベースと聞く20系セルシオが持つ重厚感に、ならではの味付けを加味して昇華させた印象です。
“車輪だけが上下動・ボディは水平”と謳われるスカイフックTEMS/インフィニティTEMSを
採用したエアサスは 同じ名の機構を使う当時のセルシオやウィンダムの挙動と
似たところもあるかもしれないですが、センチュリーはよりソフトな指向。
フワフワとした心地良さでありながら 芯が通っていて ヤワではない、そんな感じです。
サスペンション形式は、前後ともダブルウィッシュボーンです。
<ドライビング>
運転は、かなり大きなボディサイズで 車幅も1890mmありますので、
片側2~3車線のような道路であっても 一車線ごとの幅が狭い所ではそれなりに気を使います。

ドアミラー仕様車
2010.3.15
フェンダーミラー仕様ですと 車幅感覚がつかみやすくなり
ドアミラー仕様よりも張り出しも少ないぶん運転しやすいです。
ただし、うちの10系クラウンなどに比べると ボディ側の膨らみがあって
相対的に張り出しも小さくなっていますので、逆に注意して
ミラーに当てなきゃボディ擦らねーから的運転をしないよう心がけていました。
最小回転半径は、ホイールベースが3mを超えるわりには小さい 5.7m。
街中での取り回しは、モデルによっては最小回転半径が6.2mあったりする
ジャガーXJ/デイムラー(ホイールベースはセンチュリーより短い)のようには
手こずった記憶はありません。ただ、絶対的なサイズは大きく リアオーバーハングが長いので、
狭い場所での車庫入れは難しかったです。自在に操れるオーナーさんを尊敬します。

フェンダーミラー仕様車
2008.10.2

上:JPNTAXI(張り出し幅…特大?)
左:GXS12クラウンセダン小型(張り出し幅…中)うちの
中:TSS10クラウンセダン大型(張り出し幅…大)LPGタクシー
右:GZG50センチュリー(張り出し幅…小)みん友さんの愛車
<ハンドリング>
誤解を恐れずに言えば、ルーズ&デッド。(意図されたうえでのものでしょう)
オーナーカーとしては、走りはもとより 装備でもいたれりつくせりの
セルシオ/レクサスLSのほうが 充実している部分もあるかもしれません。
しかしながら、センチュリーはショーファーカーだから運転はつまらないかというと
決してそんなことはないです。
精巧なメカニズムを操る歓びがあります。ステアフィールも上質です。
<外装>
新車納入時、リアのナンバー下側の受け(メッキのフック)だけ別体でした。
(なんでだろう?)と思いながら 手でパチパチはめていました。傷付き防止かな?
ボディ色は、個人的には「精華」と名の付くシルバーメタリックが好きです。
ホワイトも見たことあるけど、あれは特注なんでしょうか?
どちらも中古車市場では少なそうですけど…。
<内装>
1000万円超(登場時は900万円台~)のクルマではありますが、
内装は意外とあっさりした印象です。
本木目をふんだんに使用してはいますが、華美ではないんです。
外国車はもちろんのこと セルシオ/レクサスとも異なり、
昔ながらの“日本の高級車”の雰囲気を踏襲しています。
シートは、本革も用意されますが、ウールファブリックのモケットシートも上質です。
後席のリフレッシング機能(バイブレーター)は、叩かれているというか
自分の身体にはあまり心地良くなかったような記憶があります。

この個体は、EMV非装着車。
ナビのスペースには 大きなアナログ時計が配されます。
黒い革手袋はかっこつけているわけではありません。この日が寒かったからです。
あ、でも運転してるのがセンチュリーじゃなかったらはめてなかったかも。
2004.1.16

2004.1.27
・2002.6当時メモ
車線が狭くなると、ちょっと気になる車幅。
15万km走った車だったけど、V12エンジンはいたってスムーズ。
新車で感じた無音ともいえる静かさに比べると、音はしてたかも。
フル加速時には、遅れるかんじで低音も響いてた。
・2002.8当時メモ
平成9年式の初期モデル。走行15万km。エンジン快調、見た目もピカピカ。
<2代目内での改良点>
登場時から外観はずっと変わりませんでしたが、細かな改良はされています。
2005年1月一部改良:ATが 5速から6速(フロアAT車はシフトマチック付き)になりました。
2006年1月:テール/ストップランプがLEDになりました。
2008年1月一部改良:明るいディスチャージヘッドランプが装備されました。

ディスチャージになったヘッドランプ
バイビームではなく、四灯式で ハイビームはハロゲンHB3です。
そのHB3バルブは球状でした。HIR(ハリソン東芝の赤外反射膜付ハロゲン)かな?
(HIRバルブは、うちのプログレ君のハイビームにも後付けで使用しています)
2008.11.4
2010年8月一部改良:バックモニターが装備されました。
(1997年式の初期モデルから2011年9月のものまで乗ったけど 記憶がない…一度体験したかった)
・こぼれ話・
知人女性から 「父から譲ってもらった車なんだけど、トランクが暗くて…明るくできる?」
と聞かれたので 「とりあえずLEDに替えたら?」と言ったら、熱くて球が取れないとのこと。
トランク灯は常時電源だし、白熱球のバルブはあっという間に熱くなるからね。。
で、車種を聞いたら、なんと2代目センチュリー。
長いトランクなので 根元からだけだと光が届きにくいのだろうなと思いました。
その際パーツリストを調べたら、CNG仕様はトランク内の側面にランプが配置されているのですね。
これを流用して明るいLEDで照らしたら少し改善できるかも?と思いました。
(大した話じゃなくてすみません)
<歴代センチュリー>
・初代(1967.11~1997)
数回乗ったことがあります。
V8・4リッターエンジンは、近年のトヨタV8やV12のスムーズさとは違うかんじ。
このクルマで 旧車ではお馴染み サイドの三角窓(電動!)を初体験したのですが、
真横に向くまで開けると 風がモロに手足に吹きつけてきて寒いぐらい。すごく新鮮でした。

VG45 Lタイプ(平成8年式・最終型)(2004.7.9)
・3代目(2018.6~)
新型、出ましたね。
GZG50から、UWG60へ… UWFプロレスのテーマが聴こえてきそうな型式。
フェンダーミラー仕様はついえてしまいました。
トヨタのサイトで試乗車検索しても、どこにも置いてませんでした。
V8ハイブリッドで V12同等の満足感が得られるのか…
あくまで 運転してみてどうか?と考える自分は、ここに興味があります。
白のGRMNにも興味ありますけどね。ふっふっふ。
2代目は、チーフエンジニア野口満之氏が 同時期に うちの愛車プログレ君も手掛けている
(三本和彦氏のぶしつけ棒番組「新車情報」にも出演されていました^^ )点で、親近感があるんです。
エンジンも、プログレ2.5L 1JZ-GE×2=センチュリー5L 1GZ-FEと考えられなくもないし。
また、もう一台の愛車GXS12クラウン…フェンミ・オットマンシートの親分みたいな存在でもあります。
いつの日か所有してみたいクルマです。

「そのサングラスの形じゃ全然こわくない」と言われますた
2008.7.30
~マイフェイバリットなクルマたち~
Vol.1
トヨタ・ウィンダム2代目
Vol.2
トヨタ・エスティマ初代
Vol.3
日産・ティアナ2代目
Vol.4
ホンダ・フリード初代
Vol.5
トヨタ・ビスタ5代目
Vol.6
トヨタ・センチュリー2代目
Vol.7
VW・ゴルフ5代目R32
Vol.8
VW・ボーラV5
Vol.9
ホンダ・レジェンド4代目
Vol.10
スバル・インプレッサWRX初代