~マイフェイバリットなクルマたち Vol.2~
第2回は、トヨタの大型ミニバン『
エスティマ』(
初代・10/20系
・1990.5~1998.1MC~2000.1)です。
のちに、ナロー版の『エスティマルシーダ/エスティマエミーナ』が追加されました。(1992.1~1999.12)
(ルシーダ⇔エミーナは、ディテール細部・扱い販売店が違うノア⇔ヴォクシーのような間柄です)
駆動方式:MR(床下ミッドシップエンジン・後輪駆動)(4WDもあり)
“スラントミッドシップアンダーフロアエンジンレイアウト”
搭載エンジン(エスティマ):2.4L直4(~1994.8)・2.4L直4スーパーチャージャー(1994.8~)
搭載エンジン(ルシーダ/エミーナ):2.4L直4・2.2L直4ディーゼルターボ
<型式>
エスティマ:TCR10W/TCR11W/TCR20W/TCR21W
ルシーダ/エミーナ:TCR10G/TCR11G/TCR20G/TCR21G/CXR10G/CXR11G/CXR20G/CXR21G
T…ガソリン C…ディーゼル
10…MR・8人乗り・リジッドRサス 11…MR・7人乗り・独立Rサス
20…4WD・8人乗り・リジッドRサス 21…4WD・7人乗り・独立Rサス
W…ワイド G…ナロー
合ってますでしょうか?^^;
ユニークかつ明確なコンセプト。独創性にあふれた優れたパッケージング。
それらを、発売に至るまでの様々な困難やせめぎ合い(勝手に想像)を乗り越え、
昇華させて 市販車として世に出された、奇跡のような一台ではないでしょうか。
奇跡とまでいうのは大げさかもしれませんが、
自分が運転したクルマの中では間違いなくベスト。No.1候補です。
第2回目にして早くも真打ちを登場させてしまいました。わっはっは。
(思い描いた物をそのまま形にする難しさという点、ディアブロのデザインでガンディーニが怒った話や ビークロスがプロトタイプではオーバーハングが削がれていた事を思い出しました)
ミニバンと呼ばれるジャンルが まだ商用車派生のワンボックスばかりだった時代、
主に北米市場向けとしてマツダMPV(先鞭をつけたのはこちら)とともに専用設計で登場。
今でこそ専用設計も当たり前ですが、当時はノアもセレナも 商用車ベースでした。
(ちなみに、この 後輪駆動時代のノアとセレナも 運転が楽しいと思わせるクルマです)
エスティマ(前期型・4WD・TCR21W)で、東京・青森間を往復
青森市にて
走行距離:約1460km
所要時間:約20時間
平均燃費:約8.7km/l
2001.7.23~24
エクステリアデザインは、30系ソアラなどでは賛否両論だったCALTY(アメリカ)の担当です。
加飾でごまかしたようなゴチャゴチャ感がなく、バタ臭くてオシャレに感じたものです。
大味なデザインだと風景に馴染みにくい日本国内においても、違和感は不思議となかったです。
トヨタで 面がキレイだなぁと感じる車種は、
20系ウィンダム,10系ハリアー,200系ハイエースあたりです。
昨今のミニバンでは 乗降性などに配慮された低床化が進んでいますが、
初代エスティマは 上げ底高床。視点が高く、見晴らしが良いです。
(上げ底っつーと、EVがらみで高床になった日産・ルネッサもありましたね)
ドライビングポジションは、3代目までのハイラックスサーフのような
脚を前に投げ出して座るスタイルです。他のクルマから乗り換えると一寸面食らうかも。
<インプレッション>
モノフォルム(ワンモーションフォルム)の見た目でありながら、運転感覚はかなり乗用車寄りです。
その点は マツダ・MPVもなんですが(2代目がとても良かった)、
初代エスティマのハンドリングは 並のセダンを凌駕しているかもしれません。
床下ミッドシップレイアウトにより 重心のバランスが良く、
どっしりとした安定感がありながら ハンドリングは素直で 軽快ささえ感じさせます。
スポーツカー的シャープな味付けではないですが
舵が切られ始めてからの車体の動きで良さはわかります。
ステアリングフィールも、センター付近の遊びはありますが スッキリとしていてナチュラル。
仕上げの良さというよりも、素性の良さがそのまま現れているかんじです。
2代目ですと 直4かV6かで鼻の重さが違い それはハンドリングにも影響するわけですが、
初代はミッドシップですから そこにエンジンが存在しないのです。
(エンジンは、1列目席から2列目席足元あたりの床下に 75度傾けて搭載されています)
母におつかいを頼まれて買いに行った10kgのお米を自転車の前カゴに乗せ
フラフラしながら漕いだことなど 微塵も思い出さずにすみます。
素質の良さの副産物なのか、サスもしっかり動いて乗り心地も良かった記憶があります。
少なくとも、ピョコピョコと突き上げるような安っぽさがなかったのは確かです。
一泊二日で東京青森間1460km(20時間)を往復しても
腰が痛くならなかったのは シートも良かったおかげかな。
疲れを感じさせないのには、自分の意のままの動きをしてくれることもあると思います。
ハンドリング、乗り心地、加速させていく時のトルクの出方、全てが溶けこんでくるように馴染む。
パーシャルスロットルで流している時の走りも このうえない心地良さ。
DA PUMPなら“Feelin' Good”、角松敏生なら“Feel So Good”、ってところです。
ねぶた祭りのうちわをあおぎつつ りんごジュースを飲みながらドライブ。
至福の時。
珍しい 対向タイプのワイパー
(ナロー版ルシーダ/エミーナは普通のタイプ。
ウォッシャーノズルがアームと一体化されていたのはどっちもだっけか?)
<ナロー版 ルシーダ/エミーナについて>
1992年1月に追加されたナロー版ルシーダ/エミーナは
本来の持ち味を損ねているとされた記事も目にしますが、
自分は そうは感じません。船に乗っているような大らかさはさすがに薄れますが、
“味”はしっかり残っていますし 日本の道路事情に合っているので扱いやすさでは上回ります。
昨今は 街に溢れるアルファードなどで大型ミニバンにも見慣れていますが、
当時としては エスティマはかなり大きい部類のクルマだったんです。
ルシーダ/エミーナであっても、5ナンバー枠いっぱいですから 小さなクルマではありません。
ナロー版である、ルシーダ(前期型)
ワイパーアーム、長っ!
ルシーダ/エミーナ前期型の判別点は、顔が
ルシーダ:ウインカーがヘッドライトと一体
エミーナ:ウインカーがバンパー部分に独立
いわき陸事にて
2001.2.22
ルシーダ(前期型)
リゾート施設「ルネス金沢」にて
2002.2.7
MRエスティマも ルネス金沢も なくなっちゃったよ…さびしいなぁ。。
ルシーダ(中期型・H8)
ルシーダ/エミーナ中期型の判別点は、顔が
グリル・バンパー・ヘッドランプの意匠が異なる(前期・後期に比べると違いがわかりにくい)
2009.3.25
ルシーダ(中期型)のコックピット
エアバッグ無し
オートエアコン
ナロー版のインパネは、2DINオーディオの場所が下の方なのがちょっとマイナス点。
カーナビをインストールすると、視線を落とさないといけないので見にくいのです。
ルシーダ(中期型)
オーソドックスなデザインのメーター
エミーナ(後期型X・TCR10G・H10)
ルシーダ/エミーナ後期型の判別点は、顔が
ルシーダ:丸目四灯
エミーナ:角目四灯
2010.9.30
この時代は ミニバンであってもバックカメラ装備車はまだ少なく、
このようなミラーで車庫入れ時の後方確認をするものが多かったです。
(ちなみに、2代目以降に比べると 初代タマゴは後方視界は良いです)
エミーナ(後期型X)のコックピット
エアバッグ付き
マニュアルエアコン
エミーナ(後期型X)
距離計が液晶デジタル化されたメーター
オーソドックスなグラフィックはそのまま
茶系内装車
<エスティマのその後>
エスティマの独特な床下ミッドシップレイアウトは 初代かぎりで消えてしまい、
2代目は エクステリアにはらしさを残しながらも
オーソドックスなレイアウトのFFタマゴに生まれ変わりました。
北米向け(現地名「プレビア」)は 同じくFFレイアウトの「シエナ」が後継車種に。
理由は、V8やV6エンジンが好まれる北米市場において
V6を搭載できるエンジンスペースがなく 対応できなかったからと聞いています。
それだけの理由だとしたら、もったいなさすぎる…
他にも コスト・整備性・安全性などの課題があったのかもしれません。
そうじゃなきゃ納豆できない。大粒だろうがひきわりだろうが。変換間違いを昇華させるなよ。
話しが脱線しますが、ここ最近 電動オフロードのラジコンカーでは、数十年前のモデルが
相次いで 現在的な進化も取り入れつつそのままの姿で復刻されています。
自動車でもそんなことができたらいいなあ。
安全装備快適装備は追加して、基本はそのまま みたいな。
初代タマゴは、単に懐かしかったと言うだけで葬るには あまりにもったいないレベルなんだよなぁ。
<エスティマのエンジン>
この“V6ではない” 直4エンジン、静粛性は普通ですが フィーリングは決して悪くないのです。
トルクの出方が良いし エンジン音排気音も低音が効いた心地良い種のもの。
直4というとガサガサしたノイジーさを想像してしまったりもしますが、これはそうじゃない。
(似てるところだと Y型エンジンのトラックの音も好きな自分なので、あてにならないかも?)
スーパーチャージャー搭載車では加わるメカ音も、リズムとして感じとれて不快ではないです。
燃費については、燃料計の針がおじぎしていくのが見ていてわかるようなかんじだったので
良くはなさそうと想像したけど、どうなんでしょうね。スーチャ付きだとさらに落ちるかも。
(※ディーゼルターボエンジンについては 乗った回数が少なかったからか記憶がないです。
フロアシフトのMTを運転したことあるような…あれは夢か幻か。)
マツダ・ランティス中古購入時 候補リストに直5アスコットを入れながら
傑作初代プリメーラを外してしまったマルチシリンダー好きの自分ではありますが、
心地良いエンジンにマルチシリンダーが多いから好きなのであって、
マルチシリンダーでなければ心地良くないということではないです。
エスティマ(後期型)
エアロパーツを纏ったグレード、「アエラス」
2010.1.6
初代エスティマには数多くのバリエーション・グレードが存在します。
ボディが ワイドかナローか。
リアサスが リジッドか独立か。
スーチャが ありかなしか。
エアコンが マニュアルかオートか。
エアロ(アメリカンビレットバージョンなんてのもあり)が つくかつかないか。
ホイールが スチールかアルミか。
ステアリングが ウレタンか革巻きか。
サンルーフが ありかなしか。
通常車両か福祉車両(ウェルキャブ)か。
何も関係ありません。どれに乗っても楽しいんです。
なぜならこのクルマは、天才タマゴだから。
FUN TO DRIVE トヨタです。
~マイフェイバリットなクルマたち~
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トヨタ・ウィンダム2代目
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三菱・i / アイ