
~マイフェイバリットなクルマたち Vol.9~
第3回は、ホンダのフラッグシップセダン『
レジェンド』(4代目・
KB1/
KB2・2004.10〜2008.9MC~2012.7)です。
駆動方式:4WD
搭載エンジン:前期型…3.5L V6 後期型…3.7L V6
5AT(前期型)/6AT(後期型の2010.10~)
<型式>
前期型…DBA-KB1(5AT)
後期型…DBA-KB2(~2010.10…5AT/2010.10~…6AT)
試乗したのは、みん友さんの愛車
前期型 (KB1・H19) です。(2017.9)
ホンダ・レジェンドというと、インパクトとしては 初代。
ホンダ初の高級車。ホンダだから前輪駆動。日本車初のエアバッグ装備。
個人的に レジェンドと聞いて目に浮かぶのは、4代目の前期型KB1である。
初めて見たのは 登場した2004年、首都高・箱崎で 9号線から環状線への合流渋滞にはまっていた時。
6号線(こっちへは空いてる)へと駆け抜けていった姿を今でも憶えている。
その時思ったこと…(新型、かっこいいなぁ。でも、売れないだろうなぁ…。)
<エクステリア>
以前から 日本車離れした(欧州車っぽくもある?)イメージを感じていた。
大きく化粧直しされた後期型KB2では北米向けっぽい雰囲気が強くなって、
カスタマイズ対象としてはこちらのほうが人気があるかもしれないが、
でも 自分にとっての4代目のイメージは 前期型KB1なのである。
初めて見た時に(売れない)と思ったのは、スタイルが悪いからじゃない。
モノグレード500万円超という トヨタ・セルシオにも迫るような価格でありながら、
ショーファーカーではなく ドライバーズカーに思えたからである。
<インテリア>
実際、今回 初めて乗りこんでみても、ドライバーズカーの印象は変わらなかった。
後席は ボディサイズからいって広いとは言えない。しかも、シートバック(背中)が硬い。
(ゴルフなどのVW車に乗った時ほどのガチガチさではなかったが)
角度は写真で見ると適度だが、沈み込まないから かなり立っているように感じた。
乗員を きちんとした姿勢で座らせるタイプだね。
ホンダの偉い人がこれにOK出したってことも興味深いなぁ。

ドライバーが 後方視界を確保したい時には…
↓
手元からヘッドレストが倒せる。(起こすのは直接手動らしい)

助手席ヘッドレストは、ショーファーカーでは 後席から前方の見晴らしを良くするための分割可倒式も多いが、このクルマのは そのために割れているわけではなく、前席乗員の頭をしっかり支えるため。(たぶん)
ヘッドレストがしっかりしたクルマは好きだ。
包み込まれるようなボルボのものは最高。日本車では、30系セルシオのが良かった。
(うちのクラちゃんの座席にセルシオのを付けようと思ったけど…棒の幅が合ったとしても 電動調整式だからポン付けはできないのねん)

コックピット
視認性の良い位置に 大型のナビモニターが備わる

電球? LED? 色温度の低い白色イルミネーションが 柔らかな雰囲気を演出している

美麗なメーター照明
内装で ひとつだけ気になったのは、ドア室内側の取っ手の位置が前の方にあること。
テコの原理が使いにくく、力のない人だと一寸キツいかも…と思った。
(オーナーのみん友さんにその事を話したら、後期型KB2では改良されたんだそう)
フラッグシップセダンなので、運転手さんにドアを開けてもらいましょう^^
<取り回し>
駐車場から左折で道に出たら… おっとっとっと!反対車線の端まで出ていってしまった。
小回りが効かない。最小回転半径は5.8m…トヨタ・センチュリーより大きいのだ。
たくさんの車種に乗った中で おっとっとっと!は3台目である。
1台目は、ジャガーXJ(同6.2m)。余裕ある左折を一回でできずに切り返した。
2台目は、トヨタ・FJクルーザー(プラドより曲がれないのかよ!な、同6.2m)。
絶対的に小回りが効かないクルマは他にもあったと思うが、
明らかにそれっぽいクルマは最初から覚悟してるから何ともない。
イメージと合わなかったという意味で、これ3台なのだ。
XJとFJクルーザーは 慣れてもけっこう苦労するかもしれないが(自分の場合ね)、
このクルマの場合は大げさに言うほどではない。大型のFF車なら、こんなもんだよなぁ。
ん?FF?(わざとらしいな…)
この4代目レジェンドは、3代目までのFFと違って 4WDなのだ。
(あまり小回りが効かないのは、FFベースっていうことからかな?)
調べてみると、ただの4WDではなさそう。SH-AWD。なんだ?SHって。
生活四駆じゃなくて、走りのための四駆のようだよ。
駆動力をバリアブルに配分してくれるらしい。凝ってるなぁ…。
<走り・乗り心地>
真骨頂はここ。これは驚いた。
自分の思い通りに動いてくれるクルマっていうのは 大きさを感じなくなるんだけど、この感覚は マツダの2代目MPV以来。あれ?いまオレ、軽自動車乗ってるんだっけ!?みたいなね。(それは大げさだろ)
ナチュラルで 適度にスポーティなステアリングフィール。
そのフィールで味わうライントレース性の良さ。フラットライドな脚回り。
モーターのようなスムーズさと 音の官能性を兼ね備えたV6エンジン。
これらが相まって、とにかく運転していて楽しくて気持ちがいい。
テンパータイヤ履いてても気付かない(気付けない・実話)自分が言うのもなんだけど、
いいクルマは乗って数十メートル走っただけでわかるっていう表現は本当でね、横に人が乗ってると思わず饒舌になっちゃう。そこそこの出来だったら無口(笑)
人車一体感ですよ、これは。
自分が憶えてるホンダ車で言うとね、
ステアフィール→初代・2代目フィット、初代フリードで経験あり
フラットライド→2代目オデッセイ、初代・2代目フィット、初代フリードで経験あり
スムーズなV6→2代目オデッセイで経験あり
乗り心地ガタピシ・ステアフィールどよ~ん じゃない、いわゆる“良い方のホンダ車”。
(いわゆる って…自分が勝手にそう思ってるだけなんだけどね、すんません。。
初代と2代目のストリームを乗り比べたりすると面白いですよ。)
Vol.3で紹介した日産・2代目ティアナも 想像と真逆で素晴らしかったけど、
このレジェンドは それをさらにスポーティにしたような印象だったな。
2代目ティアナは登場が2008年(200系クラウンの頃)だけど、このレジェンドは2004年でしょう?
ゼロクラウン(2003年~)の頃だったっていうのが また一寸驚きなんだよね。
あの当時…箱崎で見た当時に運転していたら、きっと今よりもびっくりしてたと思うよ。
一般的に名の挙がる高級車も間違いなく良いんだけど、また違った良さなんだよなぁ。
どっしりとした落ち着きの中に 身軽さを兼ね備えているかんじ。

国産乗用車280馬力自主規制の束縛から解かれた初めての車種が、この4代目レジェンド。
J35Aエンジンのパワーは300馬力。(後期型KB2のJ37Aは309馬力)
エンジンのこもり音と逆位相の音をスピーカーから出して こもり音を打ち消す「アクティブノイズコントロール」は、マイクを塞ぐと音がこもるので 違いがはっきりわかった。
機構が故障したら ずっとこもっちゃうのかなぁ?
最近のクルマには 人工的にエンジン音を出すものまであるけど(BMWのi8だっけ)、
このレジェンドのは 体感としては (良くなるんだったらいいじゃん!)でした。
ウインカー/ワイパースイッチのストロークの短さとか 細かい所からも感じたのだけど、
理想を追求してるよね。開発陣は、“お客様のためのクルマ”をつくったんじゃなくて、
“自分たちがつくりたいクルマ”をつくった、そういうのがヒシヒシと伝わってきた。
アルミ製ボディだけどドアだけ開閉時の質感重視でスチールだとか、ホイールのPCDが120mmだとか、
調べていくと 色々と気合いが入ってる事もわかって 面白い。
500万超の高級車がこれだからね、マーケティング失敗?不人気?だったのかもしれないけど、
そういうのはクルマ好きにとっては関係なくて、中古で買う時に手が届きやすいから むしろ有難いのだ。(うちのプログレ君なんかもまさにそんなクルマ)

文中で欧州車っぽいと書いたけど、後ろから見ると
実際にベンツと見間違えそうになることがある。
(左:Eクラス 右;Sクラス)
<その後のレジェンド>
後継の5代目KC2型(2015.2~)は、3.5 V6+モーターのハイブリッドになった。

街で見かけたKC2(前期型・~2018.2)
継承された「SH-AWD」の名のバッジが付く
※追記
5代目KC2型に試乗しました。見てネ↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/1680537/blog/42672213/
~マイフェイバリットなクルマたち~
Vol.1
トヨタ・ウィンダム2代目
Vol.2
トヨタ・エスティマ初代
Vol.3
日産・ティアナ2代目
Vol.4
ホンダ・フリード初代
Vol.5
トヨタ・ビスタ/アルデオ5代目
Vol.6
トヨタ・センチュリー2代目
Vol.7
VW・ゴルフ5代目R32
Vol.8
VW・ボーラV5
Vol.9
ホンダ・レジェンド4代目
Vol.10
スバル・インプレッサWRX初代
Vol.11
三菱・i / アイ