前回記事に書いた、ショーン・コネリーの
主演映画「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(1983)。
その主題歌を歌ったのが、ラニ・ホール。
ラニ・ホールは、1966年から1971年までの間、
「セルジオ・メンデス&ブラジル'66」のボーカルを務めた。
音楽に造詣が深くない私が、探し求めて彼女を見つけたわけではない。
なのに出会えたのは、近藤等則氏のトランペット曲がきっかけ。
(近藤等則氏は今年10月に71歳で亡くなられました…。)
【ラニ・ホールとの出会い】
近藤等則氏のCM曲をカセットに録音したくて、FMラジオ番組から探していた。
1990年代のアサヒ スーパードライのCMではない。1980年代なかば。
♪ぱぱぱぱぱぱらぱぱぱら、ぱぱぱぱらっぱ!
ぱ〜〜 ぱらぱっぱっぱ〜〜〜
(いまだに見つけられない。パラッパラッパーでは勿論ない。)
ラジオのエアチェックは、目的の一曲だけを抜き出すようには録れない。
オンエアされそうな匂いがする番組があれば、父のステレオを借りてタイマー予約。
22時30分からテレビ東京のスポーツニュースを見て、
23時 明治屋提供テニス番組の始まりを合図に 良い子はお風呂入って寝る。
翌日、番組を丸々録音した120分テープを頭から再生して確認作業。
(目的の曲が何曲目に流れるかはわからないので、
もし入っていなければ120分丸々聴くことになる)
幸い 近藤等則氏のトランペットの音色が聴こえてきた。
自分が録音したい曲とは違う曲だった。
丸々聴いたが近藤等則は一曲だけだった。
番組の外国人DJ、リが言えてなかった。「コンドォトシノォ?」
だが、薄くて絡まりやすい120分テープに丸々録って丸々確認する
非効率な作業には、副次的な効果がある。
確認次第消去予定の“その他大勢 ”の中に、思わぬお宝が埋もれている事があるのだ。
自分の欲するものだけチョイスすると、ピンポイントでしかセレクトしなくなる。
昼から一人焼肉なら 豚ロース。パスタなら ボロネーゼ大盛無料。
(おいおい日替りは焼魚定食かよ… 骨取るのめんど… うまっ!!)みたいな
偶然の出会いがあるのが ラジオ番組で聴く音楽の良いところ。
ある程度嗜好に合う番組に絞って聴けば、
るっせーTVCMのようなごった煮シャッフルの騒音を浴びる心配もない。
この120分テープに入っていた他の曲は…
スタイル・カウンシル。名前も知らない人だ。
近藤等則録音失敗残念でした的嫌がらせにしか最初は思えなかったこの曲が、
聴いているうちに なんだか面白くなってきた。
♪ ぴちゅぱいゃ〜 ぴちゅぱいゃ~
ぴちゅびちゅぴちゅぴちゅぴちゅぱいゃ〜 ほれっ!ほれっ!
おんりぃ〜ひゅ〜ひゃふぉ〜ふぃへぇ〜 ひゃおっっ!!!
エロ漫画の擬音ではない。聴こえたままを文字に変換して書き起こしただけだ。
毎回ふざけた長文野郎だなコイツは!と思っても、オレに言わないでくれ。
文句言いながら耐えて読んでくれる偏愛も 友人の少ない私には有難いが、
そこはスタイル・カウンシルさんに直接言ってくれ。
…あ、違ったごめん。スタイル・カウンシルは普通にカッコいい曲だったかも。
たぶん別の人だ。テープにカビが生えるぐらい昔のことだから間違えちゃった。
テープが見つかったら、ぴちゅぱいゃのアーティスト名を必ずやここに刻みます。いずれ。
だめだ、ぴちゅぱいゃが誰だったか気になり始めて集中できない…
※追記 2021.3.21
ぴちゅぱいゃ、思い出した!
↓
VIDEO
『The Lodgers』 THE STYLE COUNCIL
TheLodgers (Or She Was Only a Shopkeeper's Daughter)
やっぱ スタイル・カウンシルだった!
(2:48〜あたりが、ぴちゅぱいゃ部)
U.K. 1985
そして もう一曲。
なんとも綺麗な宝石が埋もれていた。それがラニ・ホール。
【ベストオブメドレー】
無料で宝石GET。人生でのハイコスパな出会い第1位。コスパ言うな。
古今東西 洋の東西問わず シエンタのCMに使われたぐらいポピュラーな曲も入っているから、
大人が聴けば どこかしらに聴き憶えのあるメロディーが登場するはず。
ブラジル66って何? ラニって何?ってぐらい予備知識ゼロで聴いて感じたのは、
すごい! すごい以外に表現できる語彙力(ごいりょく)ほしい!
ふりがな振ったとこ、韻を踏んでるから気づいてほしい!
まぁ メドレー曲というのは どれもそうなのかもしれないが、
短く凝縮して盛り込んで わんこそばのように次から次へと…
そう 一言で伝えるなら、サンバのわんこそば。…違うな、そうじゃない。
原曲を忠実につないだオーソドックスなメドレーも
懐かしんで聴くには良いけど、この曲のアレンジは テンポからして違うね。
原曲をロクに知らない時点で語るなと言われても語るよ、曲として秀逸だから。
彼女がブラジル66のボーカルを離れて11年後の作だから、大胆にアレンジできたのかもねん。
『BRASIL66MEDLEY』 (1982)
ラニがボーカルをしていた「セルジオ・メンデス&ブラジル'66」時代の
レパートリー8曲のメドレー。
おいしい水~マシュ・ケ・ナダ〜ガチョウのサンバ~ワン・ノート・サンバ~スパニッシュ・フリー~祈り~フール・オン・ザ・ヒル~デイ・トリッパー
曲の締めは、ビートルズのカバーでもある
「フール・オン・ザ・ヒル」と「デイ・トリッパー」。
締めの締め、日本ではYMOもカバーした「デイ・トリッパー」を
最後の最後に持ってきて二小節だけくっつけるあたりは贅沢で粋だね。
それともカバーだから遠慮したのかな?
その手前の「フール・オン・ザ・ヒル」の方はけっこう長くて、
ダブルボーカルっぽいハーモニーも入ったりして凝っている。
そして、ラニの美しい歌声の特徴もここに表れているように思う。
VIDEO
※この動画は再生しなくてもいいです。できたらしないで下さい。理由は後述。
1.音のみ1:https://youtu.be/DqYR-xEOTWo (上のサムネイル動画)
2.TV番組?(1982):
https://youtu.be/H5F0w9dnMFI
3.音のみ2:https://youtu.be/VTHGc3bvv9A (下のサムネイル動画)
YouTubeの音楽動画は PCやスマホからだと
音質(ビットレート)のよしあしがわかりにくいので、
どれ聴いても全く同じだけど とりあえず3つリンクした
※全く同じではなかった。理由は後述。
カセットテープで聴いていた時は長〜い曲だと感じていたけど、
実際はそうでもないんだな。CD盤面記載のとおりで5分57秒。
前々回記事のカプースチンのエチュードが2分なのと同様、濃密濃縮120%!
自分がラニ・ホールに感じる魅力は、高音の出し方歌い方の美しさ。
無理してそうなキツさがなく、かといって 技巧による押し付けもない。
いやらしい意味ではない、女性の爽やかな色気。
1982年「ブラジル66メドレー」と 翌1983年「ネバーセイ・ネバーアゲイン」、
ラニ・ホール 20代後半の頃の歌声だ。
※追記
いやいやいや、3つリンクしといて良かったよ…
なんか急いでるんだよ、ラニが。なーんか急いでて せわしない。
動画の長さ見たら 5:46しかねーじゃねーか、
オレの国内正規品CDには5:57って書いてあるのに!
いくらサンバの国だからって、サブリミナル仕込まれて気付かないほどオレもバカじゃねぇ。
朝も早よから実験すっぞ。
左手にiPhone6sPlus持って1個目の動画(5分46秒)、
右手にiPhoneXSMax持って3個目の動画(5分59秒)。同時に曲スタート!
やっぱり違ってたわ。全然違う。XSMaxの方が段違いに音がいい。
6sPlusのスピーカーが モゴモゴこもる安物ミニコンポだとしたら、
XSMaxは ヤマハNS-1000MMかよ ってぐらい 中音高音が粒立ってる。
わかってます 曲の長さですよね、今から説明します。
3個目動画の「デイ・トリッパー」が始まる時点で、
1個目動画はもうゴールしてる。ドーピングしてるわ、こいつ。
中学校の1500m走で、大会に出て他校女子と交流したいがためにドーピングか?
お父さんはな、そんな事するためにお前にオニツカタイガーのシューズ買ってあげたんじゃない。
5分46秒じゃ大会どころか補欠も無理だぞ、せめてお父さんのように4分台出さんと。
再生回数1.5万回なら間違いないよな と信用してしまう、そこに落とし穴があった。
心理学まで学んじまったよ、まったく。
(2020.12.26 AM6:41)
VIDEO
これ、上でリンクした3番目の動画。やっといつものラニに会えた。
【シカゴの女性 ラニ】
ブラジル'66のボーカルを務めていたラニ・ホールは、
ブラジル人ではない。ブラジル生まれでもない。
だから 聴く人が聴けばネイティブの発音ではないと感じるかもしれない。
彼女は、シカゴ出身のヨーロッパ系アメリカ人。
1966年、シカゴを訪れていたセルジオ・メンデスが声を掛け…
たのか そのへんはよく知らないが、当時二十歳前後だった彼女をボーカルとして抜擢した。
ポルトガル語を知らないアメリカ人女性が ブラジルのバンドでポルトガル語で歌う。
それだけの魅力を彼女が持っていたという証拠なんじゃないかな?
たとえ、プロデュースする上での商業的意味合いが多少はあったにしても。
異国の言葉をマスターして歌い上げた彼女の努力は想像に難くない。
例のトシノォ?な外国人DJが、曲が流れる前に
「しっくすてぃしっくすめどれぃ、らにぃ、めじゃでらにぃ?」と
上手いんだか下手なんだかわからない語り口でタイトルを言ってくれてたから、
自分にでも聞き取れて それを頼りに探せて、今 このCDが手元にある。
クリス・ペプラーのような流暢な喋りだったら 未だ見つけられずに彷徨っていたかもしれん。
だから、一番感謝してるのは DJトシノォ じつはあんたになんだよ。
アルバム「らにぃ、めじゃでらにぃ?」(1986)
正式名称「DO MEJOR DE LANI」
日本発売版「ラニ・ホール・ベスト・コレクション」
ブラジル66メドレーを除いてだと思うが、スペイン語歌詞のアルバムらしい。
そういや、たしかにそんな発音だったな。音楽に国境はないから気にしないで聴いてたわ。
VIDEO
ありがとう、ラニー。
サンキュー。オブリガード。グラシアス。バンデラス。