
<ジムニー XC JB64W (5MT編) >
7月5日、約20年ぶりにフルモデルジェンジされた スズキ『ジムニー』(4代目・JB64型)。
ジムニーは、3代目JB23型の時から 愛車にしたいと思う数少ない車種で、
モデル末期の特別仕様車にも購入欲をそそられていた。
このたび待望の新型が発売され、2台のセダンを所有している都合上
すぐには買えないが、いずれ手に入れたい気持ちは満々。
(新車購入を考えたのはホンダ・ビート以来かも?)
ほとんどの車種であれば ラクチンなオートマ車を選ぶところだが、
オフロード走行(悪路走行)の走破に特化したジムニーの場合は例外で、
むしろマニュアル車が王道ともいえる。
(えらそうな言い方してすみません)
そこで、MT車とAT車両方に よくばり試乗してきた。
(スズキの
Webサイトから店舗ごとの試乗車仕様確認・予約が可能。MT車は少ない。)
MT車(この記事)・AT車と分けて紹介します。
まずは、MT車の試乗ができる店舗へ。
(同じく興味を持ってくれている友人を誘い、こちらで合流した)

ここは大きい店舗だね

さっそく望遠で1枚撮影
いよいよ試乗

スタンバイしてくれているジムニー。うひょー!
前から
横から
前輪

タイヤハウス内はブラックアウトされていないので、明るいボディ色だと中が少し目立つ。
オフロード車ならでのフレーム構造(下側がフレーム・上側がボディ?)がのぞいている。
走行スタートでーす。
<エンジンとトランスミッション>
ブレーキを踏みつつ 一度踏み込んだクラッチペダルを上げていき、
クラッチのミートポイントを確認。タコメーターを見て 回転数が少し下がるところが
つながる部分なのだが、グッっとくる力強さはなかった。
軽自動車のマニュアル車というと、じっくりと乗ったのは
セルボモード・ビート・カプチーノ・キャラ(AZ-1)・宅急便お歳暮バイトの軽トラぐらいだから
もう25年ぐらい経ってるかも… こういうもんだったかどうか 憶えてない^^;
MTの操作が下手な自分としては、アクセル弱めで発進させようとすると
ストールする気がして 神経を使う。(電子制御スロットルのせい?いや、オレが下手なだけだろう…)
トヨタの低排気量乗用車の(少数存在する)MT、それに近いかんじかなー。
シフトフィールは、もっとカチカチ節度感のあるものを期待していたが、普通だった。
シフトゲートのどこに入れているかちゃんとわかるという程度。少し渋さをともなう。
フニャフニャではない。対して、ストロークは思っていたより短めだった。
1速で加速。そんなにすぐには吹け切らない。
想像していたほどローギアードではなかった。これなら2速発進にしなくてもいいかな。
この車はターボエンジンだが、少し強めに加速しても いまどきの味付けというか
ターボラグがなくて全域に効いているかんじなので、意識させられない。
車重のせいか軽快には加速しない(イライラしない程度)ので、よけいそう感じたのかも。
片側一車線の道路に入って速度を少し上げると、ぽんぽんとシフトアップをしいられ、
すぐに5速に入ってしまう。そこから減速すると 5速のままでは粘れないので、
ゴーストップの多いシーンでは シフトワークが一寸忙しくなるかもしれない。
5速で100km/hだと 4000回転ぐらいになるようで。
欲を言えば、高速巡航用の6速がほしいねぇ。
走行時の“みゃーー”っていうギアノイズ(副変速機の音?)は、
誰が乗ってもわかるぐらいのレベルで聴こえてくる。
不具合ではないので、こういうものだと思っていれば 特に気にならない。
(劣化とかでこれより騒がしくなるんだったら嫌だけど)
ヒルホールドコントロール(上り坂でズルズル下がらない機能)は、
自動でおこなってくれるらしい。
プリウスのように グイッとブレーキ踏み増さなくてもよいのね。
クラッチ切った状態だと下がっていってしまったので、
クラッチを動かした時点で発動するのかなあ?
<乗り心地・フットワーク>
3代目JB23W・2代目JA22W(2011.4)でも とても良いと思っていたぐらいで、
もうこれは文句なしだった。ハイスピードのコーナリングなどは試していないので
全てにおいてと言い切ることはできないけど、ラダーフレーム構造・前後リジッドサスの
クロカン車として考えると、日常的な舗装路面での一般道走行は満点あげたい。
一般的な軽自動車では このゆったりした乗り心地は味わえないか と。
(タイヤの大きさが全然違うので、それも貢献しているんじゃないかなと思う)
むしろ、現行ランクル(プラドや200)のような でっかいSUV車に近い味がする。
おおらかな乗り心地でありながら、ステアリングの応答遅れ・揺れのお釣りを感じない。
ラダーフレーム・前後リジッドの組み合わせの車種で思い出すのは
15年ぐらい前に乗った 初代ランドローバー・ディスカバリーなのだが、
舗装路を走らせた印象は 昨今のSUVとは対照的で、
ゆさゆさと揺すられて ステアリング反応も遅く
(ああ これはオフロード車なんだなぁ)と思わせるものだった。
なので、このジムニーは近代的に感じたのだった。
<ステアフィール>
電動パワステらしい軽さで、スイスイと楽ちん。
セルフアライニングトルクは弱めで 切ったぶんだけ自分で戻す感覚だが、
ただ軽いだけのブラブラした頼りなさはなかった。
電動の不自然さを感じさせない、好みの味付け。
小回りもよくきく。最小回転半径4.8mは
軽自動車としては特に良い数値ではないが、
ふだん5m台のセダンに乗っている自分からすると美点と感じる。
<視界>
視点が高いので、見晴らしがとても良い。
最近は 普通車でもミニバン等では低床化がすすんで 視点も低くなりつつあるが、
ジムニーは我が道を往くかんじだね。さすがにハイエースなどのワンボックス車の
視点の高さには及ばないが、軽のワンボックス車には近いんじゃないかな?
それでいてボンネットが目の前にあるので、乗用車らしい感覚も得ることができる。
JB23型に比べると ボンネットが高め・ウインドスクリーン(フロントガラス)の角度が
立ち気味で 天地が狭いようなので、旧型から乗り換えされた人は
抜群の開放感とは思えないかもしれない。自分は普段セダンに乗っているので、
ボンネットから地面までの高さによる 左右斜め前方下部の見えにくさ を差し引いても
うらやましいぐらいの視界の良さだった。

(友人試乗時に助手席から撮影)
<その他>
セーフティサポートのカメラ(ルームミラーの上)による速度標識認識で、
インパネに制限速度が表示される。
自分は (この道路何km制限なの?)といつも気にするので、これは有難い機能。
オーディオレスだったので、Fスピーカーの音質は確認できず。残念。
<燃費>
片側一車線と そこに出る狭めの道を軽く流して、
私と友人が走り終えた時で 12.2km/l。
(たぶん)暖機はあまりしていなかったし、悪くないと思う。

オートエアコンの操作スイッチ
オーディオスペースと吹き出し口の下にあり、位置的に 設定温度などの
表示も見にくいので、使い勝手はそこそこかなぁ。。
廉価グレードXCのマニュアルエアコンのほうが直感的な操作はしやすいかも。
※エアコンのスイッチの下にあるのは、パワーウインドウなどのスイッチ。
ユーノス・ロードスターや230系セリカを思い出させる、センター配置。
ジムニーの場合、ドア配置じゃないのは、オフロード走行中に
手が当たったりしないようになんだそうだ。日常的には ちと使いにくそう。
(スズキでの呼び方はパワーウインドー)

左側ドアミラーには下方確認鏡が付いていて、
旧型のような ボンネット左前部の“きのこミラー”は無い。
内装の質感は、安っぽさは感じない。(スズキの軽としては…だけど)

後席は、前席をほどほど前にスライドしておけば、レッグスペース・ヘッドルームとも
十分に広い。数時間乗車でもいけそう。

後輪タイヤハウスの部分には肘が置ける。(プラスチックなので感触は良くないけど)
窓がハメ殺しなのは仕方ないのかなぁ…ちょっとでも開いてくれたらうれしいんだけど。
3つのドア開閉の質感はなかなか良い。“いかにも軽”というペナペナ感ではない。
乗降ドアを閉める際は 中の空気で押し戻されるかんじがあり、若干 力が必要。

バックドアはダンパー式になっているのだが、
そのダンパーが伸び切る全開までいってしまい、
途中で止めるには手で押さえていないといけない。狭い場所ではちょっと不便そう。

後席を倒すと平らになってくれるので、便利に使えそう。
ラゲッジスペースはミニマム。(板の下にもスペースあり)

エンジンルーム
ジムニーシエラの直4・1.5Lエンジンも搭載されるスペースなので、
ジムニーの660ccエンジンだと スカスカしていて地面が見える。
そのぶん整備性は良いのかもね。
(エンジンオイルフィルターにはアクセスしにくいらしいが)
新型ジムニー(MT車)のインプレはここまでです。
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※過去レビュー※
2代目・JA22W型(2011.4.4)

昔の型に乗れるとは思ってなかったので、うれしかった(^^)
エンジンはターボ付き。加速する時に、ヒュイ~ンって音がしてた。けっこう力強い。
内装とかはショボいけど、運転はなんだかオモロい。
60km/hで3500回転…3速ATだと高速はちょっとキツいかな~。
3代目・JB23W型(2004.4.21)
ワイルドウインド(前期型) ★★★★☆

ほしいクルマ10本の指(多いな・・)に入るジムニーに乗れた。
マニュアルシフトはグニャグニャして渋いし、
ターボなくせに車重のせいか加速もイマイチ。
でも、乗り心地は悪くない。さすが本格クロカン車というか、
しっかりしてて”軽”を感じなかった。
この点、パジェロミニとは違う印象。
まぁ、走ったのはほんの1kmほどだったんだけど。
タイヤでかいから、見た目にも貧相さがない。
シフトフィールがビシッとしてるならMTもいいけど、ATかなー。
どっちにしても、さらにほしくなった。

後日、近隣店舗で見かけた3代目JB23型の中古車

10年落ち走行8.1万kmで73万円もするのか。。
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<ジムニー JB64W (AT車編) >につづきます