RX1 R

「どうしてこのカメラをもっと早くに買わなかったのだろう」、そう思わせる、ソニーが誇る当時は世界唯一のフルサイズコンデジなRX1 Rを首からぶら下げて、

家人と二人、子供を幼稚園へ迎えに、いつもは自動車での往復路をサイクリングすることにしました。フルサイズコンデジ、現在はRX1系に加えて、ライカからもラインナップされていますが、サイズ感からすると、ライカは機構はさておきコンデジと定義するには大きい風合いゆえ、このサイズ感、つまりは名実ともにコンデジとしてフルサイズを実現しているのは、ソニーのみと言ってもよいかと思います。

RX1 Rは2013年7月発売のカメラで、ファインダーがついておらず、EVFおよび光学ファインダーが別売りされていますが、まずは素のまま使ってみています。液晶だけで撮るため、光の具合によっては見えにくく、「ちょっとこれ撮らせて」と自転車を止める私に、「ねぇ止まりすぎじゃない?」という家人の指摘にもっともである、と感じつつ、ゆっくり撮る間もないながら、思った構図が作れていませんでした。なお後継機たるDSC-RX1RM2は内蔵フラッシュが廃止された代わりに、内蔵EVFが付くようになりました。

今春我が家に来た二台の自転車、よく乗るようになりました。ほどよい風を感じられて、なんと気持ちのよい乗り物なのでしょう。爽快感と幸福感が一気に到来する乗り物です。真夏はスキップし、秋のサイクリングも楽しみになります。

ピン抜けではありません。通常モードでの最短撮影距離を割ってしまっています。RX1 Rは、、レンズリングを回すことによって簡易マクロモードにすることができます。多くのコンデジのように、接写しようと思いカメラを近づけると、このように最短撮影距離を割ってしまいますので、簡易マクロモードに変更する必要があり、接写の場合そのままカメラを被写体へ近づけてしまうというコンデジ感覚の修正と、最短撮影距離を体に馴染ませる、という慣れが幾ばくか必要かもしれません。

SS1/4000が限界のこのカメラ、ガンガン、ギンギンの晴天下、開放撮りはまだですが、手厳しいことにF5.6まではSS1/2000がリミットという仕様のため、明るい場面でのF2開放撮りに心配がありますが、白い被写体は飛ぶこと必至な気もしつつ、それ以外はなんとかなりそうな気がしています。

この点は、ファームアップの更新も顧客志向で、電子シャッターSS1/32000まで供給してくれているフジの良心に軍配があがりそうですが、RX1 Rもとても素敵なカメラに思います。開放がF2ゆえ、せめて1/4000までは通しで使えると有り難いところです。

ファインダー撮影と液晶画面撮影では、幾通りかの差異があろうかと思いますが、

ファインダー撮影は両手とファインダー部の三点でブレを抑えることができ、かつ中心軸にファインダーがある場合はカメラ裏面を鼻にあて、あるいはファインダー上部周辺をまゆげあたりに密着させることで、固定を補強できるメリットがあります。一方の液晶撮影は、重量物たるカメラを突き出し、不安定な宙づりのまま撮るので、手ブレが起こりやすい手法であるかと思います。連写するとよくわかりますが、脇をしめても、案外に構図が動いていると思います。

加えて、コンデジなど軽いカメラの液晶撮りは「シャッターチャンスだ」、と思うと、とくに子供撮りのようなときはなお更に、知らない間に不安定な姿勢で撮ってしまい、かつ撮れてしまうので、手振れ防止機構がついていない、RX1Rの場合は、少々気を付ける必要性を感じました。F2.5。

こちらはF11。自転車のサドルは少々ざわつきを感じるかのようにケースによってはボケ味がうるさいと思う場面も皆無ではないかもしれませんが、それ以外はボケも綺麗に思いました。というよりも、古いキャノンレンズよりは、終始際立ってなめらかで自然に思いました。

子供がお弁当を食べているであろう頃、我々は自転車を途中下車してラーメンです。

レフ機フルサイズでは撮れない、撮りにくい、距離感と雰囲気。であっても、コンデジゆえ、RX1RM2になってついたチルト機構はないながら、場面を選びません。シャッター音も消音することができますが、音質はかなり低級かと思います。最近は無音撮影がトレンドになりつつあるので、さした問題ではないかもしれませんがRX100系のほうが、数段よい電子シャッター音に思います。

ラーメンを待っている間、ボタンの割り当てなど、自分流にカスタマイズしたのに加え、クリエイティブスタイル(ピクチャースタイル)をニュートラルにしてみました。

フルサイズと思えば当然に、唯一無比級なコンパクトフルサイズと思えば驚異に、これがコンデジの写真かと思えば驚愕に思う写りです。

コンパクトかつ軽量ゆえ、自転車に乗りながら首にさげても、なんらの負担がなく、描写性能と機動性とを高度に融合させた商品かと思います。なかなかに写欲も湧きたててくれます。

コンセプトを維持するため、レンズ径を思えば、F2にすることがぎりぎり断腸の思いでの全開だったと推察され、かつF2の割にはレンズ長も短く、つまりは収差も多少残っていることを意味していることがレンズサイズからも伺えるわけですが、何ら気にならないハイレベルな描写性能に思いました。

他のローパレス機よりは、モアレが目立つ場面が多いように思います。いや、これはモアレではなく、シャープネスがきつめでジャギーなのかもしれません。発売当時頃のソニー機はシャープネスが強めだったような気がしなくもありません。

AFは多少難しくも思いますが、手前ボタン状の花にピントを合わせるときは、フォーカスエリアをスポットにするか、MF(もしくはDMF)にする必要性を思います。

最前にある花粉がついたおしべにピントを合わせたいときも同上に思います。F4。

F2開放。という
中井精也氏推奨の
レイルマン構図を参考にできるグリッドラインを設定できます。

幼稚園のあじさいを目立たぬように配慮しながら激写。

こちらはアンダーにして、マクロ撮影モード。このカメラのマクロモード、目を見張る驚異的な描写に思いました。

自転車を走らせながら、適当撮りです。

こちらも不慣れさゆえの最短距離を割ってしまいましたが、先の通常モードで撮ったあじさいを思えば、この場面、マクロモードにすれば最前にピントを合わせてくれるような気がします。

35mm固定ということですが、まず一般的に35mmは使いやすいという性格もありながら、私的にも一眼二台に35mmをつけっ放しにすることが一つの帰着級になり、であれば、と画角も一つ魅力に思いこのカメラを選んでみれば、

RX1Rにはデジタルズームおよびカメラ内テレコンがあり、これらの機能により、テレコンであれば35mmに加えて50mm、70mmとして使え、デジタルズームであれば35mmから140mmまで、もしくは最大315mmまで使えるようになります。クロップと同じような機構ですので、画素は減るものの分母が2400万画素あれば概ね問題となるケースはないと思われ、あるいは4200万画素あるRX1RM2というややこしい商品名へと進化をしている後継機にすると、十二分な画素のまま多くの画角を楽しむこともできるカメラにも思います。といいつつ、多くの画角を使いたいのであれば、このカメラを選ぶ意義が減少し、あるいは面倒なので、潔くそのまま35mmだけを楽しみたいと思っています。
カメラ内現像JPEGオリジナル。

中古で10万円プラスα。売れていないカメラなので中古の個体数もかなり少なく、私が比較検討していたもう一台も本日見ればsold outの文字がありました。選択肢は新品のRX100M5や、
明るさ+コントラスト上げ。

私の環境下の場合、Eマウントフルサイズ35mmレンズ、もしくは軽さも重視するのであればα6500との組み合わせを想定した同APS-C用レンズ、
明るさ+コントラスト+彩度上げ。

あるいは、XFマウント換算35mmレンズとなる、フジノンレンズ XF23mmF1.4 Rあたりも選択肢として考えられるところ、

フルサイズコンデジ、しかも写りは極上、ということでこちらを選んでみました。人肌は好みによる要素ながら、多くの人が感じるところではおそらくフジが綺麗に思いますが、このカメラなりの精細かつ深みある描写も気に入りました。「海賊やっつけちゃうぞー」と最近戦っている相手。

顔認識も十分働いてくれ、撮りやすく思いますが、走るどころかゆっくり歩いて向かってくるときすらもピン合わせが苦しく思うので、もう少々やり方を考えてみたいと思います。なおピンが合ったところは写りが固めゆえ、順光下では髪の毛が優しい風合いで撮れないので、設定で変えられるかいろいろ試してみようと思います。

画角35mmは最も長きに渡り、かつ多くの人、多くの写真家に愛されてきた画角の一つであり、かつポピュラーでもあるのかと思います。という意味では、この画角を愛用した写真家は多くいるのだと思いますが、
土門拳氏という写真家は、この35mmをこよなく愛していたようです。2時間で350枚ほど撮影。あまりにも充電が持たないという表記を見ていたゆえ、一つ500円となる社外バッテリーをあらかじめ用意し、実際に使ってみましたが、減ったメモリマークは一つだったのを付言しておきたいと思います。
α6500 + 2470GM

ライカを愛用する写真家であれば28mmという場合もあり、あるいは
アンリ・カルティエ・ブレッソン氏という写真家は50mmを最も愛用していたそうで、自分が好きな画角を愛する写真家を見つけたり、その写真を見たり、あるいは好きな写真家と同じ画角を愛用してみたり、という楽しみ方もあるやもしれません。70mmでこれだけ近づき、手前にピンを置いてしまうと、APS-CのF10撮影でもまだまだ被写界深度が足りません。と、気が付けば我が家、ソニーの館になってきました。
α6500 + 2470GM

「またご苦労なことですね」と言われながら撮った一枚。ゲリズのボディスーツという下駄を纏ったRX100M4と比べても、このサイズ感。このボディスーツを付けた場合の重さも同じ感覚ですが、物としての魅力はかなりあるのではないかと思います。「ママ、カッコイイよ、このカメラ恰好いい」と私が発すれば家人は「なにが?」と発する、そのような世界観のお話でした。