RX100 (無印)

2013年12月16日、シアトル。生まれるまで一ヵ月少々。

2009年頃から、よく渡米するようになりました。霧のロンドン、雨のシアトルと言われるほど、雨が多い地域です。「お天気が残念」「今日は雨ですね」という挨拶がありますが、そのようなことは多くの時季において、このシアトルでは言っていられません。雨が多い日本にアジア、しかしここでの滞在トータルの雨を思えば、日本で雨が降っても何ら気にならなくなりました。

経験や勉強をさせるために、後進何名かもその都度顔ぶれも変えて渡米させていました。顔ぶれが変わる度に、このボーイングの見学コース。私よりも、現地で駐在してくれていた後進が、何度行ったことやら。

仲間が運転する車。この日は連続して止められました。フリーウェイの中央分離帯で警官が仁王立ちしており、目視で「お前はスピードを出し過ぎだ、お前だよ、お前」という風合いで指を指したあとに、追いかけてきます。速度を測定するなどという合理的なものはありません。向こうの白バイに追いかけられるのは、なかなかの迫力ですが、あとでもっと迫力を味わうことになります。国際免許での運転だったのでそれを見た瞬間に「面倒そうな表情」になり、切符を切られることもなく、見逃してもらいます。なお米国ではパトカーなどに止められても、降りてはいけないルールです。車中で待ちます。

一人は不慣れで駐車違反もしてしまいましたが、それも後日なかったことにしてもらいました。という大らかなところもある一方で、信号無視は主だった交差点にカメラがついており、それで撮影され切符を切られる仕組みがあり、黄色で加速するとフラッシュがついたりびっくりします。オービスのような感覚です。

後進達の中には隣の州へアメフトを見に行ったり、カナダにドライブで行ったり、多少の観光もしますが、基本は仕事と勉強です。中にはいつも多忙で奥方に寂しい思いもかけているであろうという配慮で夫婦でシアトルに招きましたが、後年離婚することになるとは。他にもビジネスクラスで行くハワイ旅行をプレゼントしたりもした者もいますが、

あるいは30歳ぐらいの男の子に2億円ほど予算を持たせてみればあっという間に溶け、同じぐらいの子に数百人の部隊を預ければ粉砕し、などトータルとしてもかなりの額を私費も含め投入し、多くの経験をさせて感性を磨いてみようという、いわば育成費用でもあるわけですが、一冊本が記せるほどに万事万策何事もしてみましたが、どうやっても、その人のリミットを越えることはできないと、今は思い至っています。数百の中から際立った者を見つけても、なかなかトップリーダーの素養がある者はいない、その難しさ、尋常ではないハードルの高さは歴史や、もしくはT芝やかつてのN産、などを見れば明らかかもしれません。

人には皆無限の可能性がある、と思っていました。私はここが一つ大きく分かっていなかったと思います。得手不得手。

トップの素養、幾多の要素が求められるかと思いますが、決断力に判断力、把握力、求心力、情報処理力、意志の強さ、大局観、など、もしくはウエットな土壌であれば人を思いやる気持ち、どれかが欠けていれば、それをどう埋めてあげるか、苦心を重ねたこともあります。持って生まれていないと、それはときに腕のごとく、埋めることが出来ないものであると、道中見たような気がします。

価値観とは幼少期の体験に紐づいた要素も大きいかもしれず、そして能力と表裏一体でもあるようにおもいます。速く走るのが気持ちいい、それが私の価値観です、お勧めです、と言ったところで、泳ぐのが気持ちいい、という人もいる中で、あるいは速く走ることができない人は違う価値観に繋がりやすく、「ゆっくり景色を楽しむのが心地よい」という価値観との親和性が高いと言えるかと思います。若年者と年配者のギャップもこのようなものがあるやもしれません。ジープ、保有したことはありませんが、かっこいい、と思い一枚撮っています。

こちらは2012年清里にて。ジープに特段の造形美を思うことも、遺伝かもしれないとこの写真を見て思いました。人が変わったように見えても、それは表層的な性質かもしれません、まるで、地殻は変わらないのに、地上の景色は変わっていくかのように。

中学生のときは、中学校というものを刑務所のように思いました。一度入ると、帰るまでは勝手に出ることも出来ず、かつその中では自由もない。

下校途中、街を走る車をみて、大人は好きなように、好きなところへ行けて、自由でいいなぁ、早く大人になりたい、と思ったものです。

しかし実際の大人の世界は違いました。打ち合わせに行く、客先に納品に行く、修理や工事に行く、中には回収にいく、など目的があり、そして期限と効率という時間に追われ、あらゆることが拘束される世界。そこには自由など存在していませんでした。まるで資本主義という名の刑務所です。

田舎町も周ってみました。

フリーウェイでこの日、二度目の捕獲。白バイに捕まっているわけですから注意して走っていると、けたたましいライトで追いかけてきます。同乗者4名、どのような違反なのか理解できていない状況です。そして、あの迫力、映画のようです。いい経験をしました。州によって法規が異なるため、注意が必要です。ワシントン州では停車中のパトカーを抜かすときは車が半分横の車線にはみ出すほどに大きくふくらんで通行しなければいけないとのことで、その違反です。日本の感覚では十分に安全だと思う風合いで抜かしますが、ふくらみがたりなかったということで捕まります。しかしここでも例の免許を見せると面倒そうな表情に変わり「行ってよし」のご挨拶。

アメリカでは警官の裁量権が大きく、つまりは権力っぷりもすごいわけですが、司法がしっかりしているのであとで覆ることや、取引をすることも大いにできるそうです。なお、地元の人々に話をすると停車中のパトカーを抜かすルールをしらない方が多数派でした。自由の国で帳がおりはじめました。

北半球の緯度がだいぶ高いところですので、季節によっては夜も明るく、夏では22時でもまだ昼のように明るいときもあります。夏は仕事が終わって帰宅後に、家族でBBQへ出かけたりする人もいて、そのような環境を活かして楽しんでいるようです。

首相に大統領、あるいは天皇陛下。肉体的、精神的に、ときに意思においても、まるで自由がないであろうゆえ、自由があることは高尚であることとは関係ないか、もしかすると反対のことかもしれません。

住環境が充実している大陸ゆえ、大型インテリア店も旺盛です。

仕事もするが、志も持つが、自由も持つ。シアトル周辺の中でも最も治安も教育水準もよいベルビューというあたりを拠点にしていました。とにかく女性がいる飲み屋がありません。早くメキシコまで土台を発展させたいと後進が懇願する中で、クルマで40分、スナックを見つけとのことで、出撃した様相です。

アメリカでは日本以上に飲酒運転は厳しく処罰されますが、日本と異なるのは多くの州で飲酒運転になる基準が緩いことです。一杯程度であれば飲酒運転にならず、つまりは認められています。が、例えばワシントン州の場合は、車内にたとえスーパーで家用に買ったビールの開けていない缶でも置いてはいけず、トランクや荷台にしまわなければなりません。住居B。

ここで昼食を取ることが多くありましたが、このときあたりからだいぶ味の質が低下。味付けも諸行無常です。なおウエイトレスはすべてモデル級というコンセプト。ロシア系が多かった印象です。

シアトルの富士山、マウントレーニアです。かなり傾いていたので水平を調整すると、日付が。

日替わりで帰国者もいるので、後進と共に送っていきます。このときはまだレンタカー。ハーツなど一般的なレンタカーは高いので、地元資本、正確には南から移民し起業したようなレンタカー会社で借ります。旧型のアコードが一ヵ月2万円~3万円ほどで借りられます。ライトがつかなくなるなど、小さな故障も多いですが、すぐにクルマを取り変えてくれます。ナビは小型の物が量販店でたしか2000円ほどで売っており、このようなタイプが主流でした。

評判の飲茶へ。なども含め情報も入手できる人的ネットワークを作りながら、数々の難問も駐在組が解決をしていってくれました。

街はクリスマスモード一色です。クリスマスが過ぎればもう平常モード、元旦に休みなぐらいで日本のように年末年始を休む風習は基本ありません。

住居A。

ここのハンバーガーはグリルで焼いてくれる絶品の逸品で、たまに朝食に仕入れにいきました。

住居C。こちらはM社やG社、A社の社員も住む、シェアハウス。

後進と、そしてなぜか私用のクルマも買いにいきます。

とある後進はクルマにまったく興味がありません。私のBMWやメルセデスを運転しても、一番好きなクルマはハイエース。四隅が分かりやすい、というのが理由です。

北米仕様、もしくは北米マーケット専用モデルなども魅力的に思いました。ホンダだけは、いきなり日本から来ても、ローンやリースを組める、日系ならではの制度があります。当時マツダの人気も感じましたが、とくにスバルが人気で在庫薄だったような記憶です。

メルセデスへも。試乗もさせてもらいます。

日本だと1,200万円ほどのモデル、込々だと1400万ぐらいになるのでしょうか、であってもほぼ同じような装備で800万円中ほどで乗れるイメージです。米国で乗る方が断然にお得ですが、人的ネットワークも構築中に新参者がトップレンジ系に乗っては印象が悪そうなので、見送ります。が、まったく興味も食指もなかったこの新型モデル、ここで素敵に思いました。正確にはアメリカでこそ、映えるクルマかと思います。

ボルボや、

せっかくなので、

キャデラックなども周ります。

こちらはトヨタ。一番立派なディーラーでした。さすがはトヨタです。

トヨタ車です。他にも周りましたが、写真はこれぐらいにして、

晩餐。伴さんと言えば、この方もシアトル好きなようで、ときに懐かしく動画を見ながら同氏の「RX100基本&応用撮影ガイド」という本を買ってみました。RX100M6、そろそろ出ると噂ですが、今回は仕入れようと思っています。RX100M4のワイド保証がまだ1.5年残っていますが、だいぶくたびれてきた感じを思います。表記してこなかったのも含め10回は修理に出していますが、すべてワイド保証で無償です。

酷使もしてきていますが、鞄の中に入れていただけで壊れたこと2回。ソニーRX100無印、RX100M2、RX100M4二台、およびキャノンG5Xを使い、古くはフジ、ニコン、キャノンのコンデジを使ってきている中で、ソニーのコンデジを最も多用するようになりましたが、他社に比べて明らかに弱いとも思います。キャノンに至っては横で目撃していた方がびっくりして悲鳴をあげるほど派手に落としてもなんら故障がありません。せり出ているとアウトかと思いますが。

動き出し、常時一瞬たりとも目を離せない、子供が一歳前から二歳台ごろ、が一番コンデジを落としやすいように思いました。首からかけるストラップに落ち着いてからは、抱っこするときに顔に当たらないようにだけ重々気を付け、落とすこともなくなりました。車の契約へ。この車種ではありませんが、これが格好いいと思っていた時期もありました。とはいえ内装が飽き飽きして乗る気が起きません。

このあとには少しずつ進む老齢化してくる身体に能力もあるのでしょう、人生の登山も重ねた幾ばくかの落ち着きも出てきたのかもしれません、価値観含め、色々な変遷が起こりました。

新しい仲間と今までの仲間。新しく集まった仲間が、旧知の仲間一人は気に入り、しかし一人は「絶対に一緒に仕事をしたくない」と反りが合わないときがありました。

そろそろ年末も近づく中、年越しは日本で、というよりも家人と過ごそうと思い、一旦帰ることにしたようです。従前であれば私の手か足を否定されれば、それは私を否定していることになるので「で、あればやらなくてよろしいでしょう」で終わっていたところ、

より多くの個性を活かしていくためには、そのような考え方では度量が狭いと思い、自らの度量を広げるためにも考え方を変えてみようと思いました。湾曲した解釈かもしれませんが、ゆる鉄の精神をもらい。

新しくスタートアップしたことが今のところは怖いと思うほど極めて順調そうに見えるので、考え方にアプローチ、やり方も変え意識もして、得意不得意あるいはリミットとしての器を考慮し、後進に多大な苦労を掛けたこともあるゆえ、声を掛け合って、諸々含め自身も変えながら取り組んでいます。

後進の生まれて来る子供にも多くの選択肢がある教育をできるよう、という意味では自由な人生の協力も致したく、羽田に就きました。羽田便があると助かります。

そして写真によると、またすぐに渡米していますが、生まれるまでには帰ってきますよ、ママの采配のおかげで。
つづく