◇カーオーディオの場合、運転席が右側に寄っている関係で、左側のスピーカーに対し右側のスピーカーの音は約25%早く耳に到達するため、左側に対し右側が大きく聴こえその影響で音像定位が右寄りとなってしまう。
ただ音像が顔の正面に定位するのが好みの人も居るので、それはそれで良いのだが、通常はダッシュボート中央に音像が定位するのが理想的です。
特にカーオーディオサウンドコンテストの審査では特にそれが重要ポイントとなる。
(図1)
左寄り、右寄りの定位だとステージ空間がどうしても狭く感じ評価が低いくなってしまうためです。
それを解消する方法として
1)左右のスピーカーへの出力に差をつける。
タイムアライメント技術(以降TA)が公開される以前は、左若しくは右のスピーカーへの出力を上げる(下げる)ことで音像位置を調整していました。
2)TA値への入力
個々のスピーカー間の距離差を時間差に置き換え、左右耳への到達する時間を一致させることで正確なステレオイメージを再現できる。
但し車載純正オーディオ機器などにはTA調整機能が無い場合が殆どです。
この場合はTA調整機能のあるオーディオ機器への交換若しくは追加することになります。
・サイバーナビ ・各社から発売されているDSP(デジタルシグナルプレーヤー)
※注)一部海外メーカー製のアンプ(ETON,GROUND ZERO・・・)では
TA値の増減に比例して出力電圧(電流)も増減する商品があるので聴感での再調整を要する。
・Pioneer(日)やMOSCONI(伊)製品はTA値によってアンプ電圧が変動しないことは確認済み(上記メーカー品以外は未確認なので不明)
◇タイムアライメント設定時の重要事項
1)スピーカー取付け位置・角度の左右対称遵守
ツィーター、スコーカー、ミッドローの取付け位置・角度は、原則として左右対称でなければいけません。
特に左右の耳方向へ向けての取付けてしまうとタイムアライメント値との差異が生じ、聴感で違和感が生じてしまいます。
2)タイムアライメント測位基点(始点・終点)
2-1_TA測位基点(始点)を何処にするかは、諸説あり①左右耳位置②鼻先③運転席ヘッドレスト中央などがあります。
(図2)

どの方法が良いとは一概言えませんが慣れ親しんだ方法が良いでしょう。
私個人的には耳より後ろ側を基準とした方が奥行きを感じるので、専らヘッドレスト派です。
また私の場合はCADを使って測定基点を割り出したオフセット(右・後・上)基点を使ってTA値を測定しています。
※TA測位基点(mm)(耳から後方へ145/右へ51/上へ27/TW⇒TA測位基点 971)
2-2_次に終点(スピーカー側)は、スピーカーの中央点が一般的でしょう。
但し聴感に於いて音像位置を判断し易いのはミッドローで終点位置をどのポイントにするかで定位が変化します。
ミッドローのA)センターキャップ中心 B)エッジ端端 C)-A)とB)の中間点の3点を測位終点として、聴感で最もダッシュボードの中央に定位するポイントを探します。
なお左側のミッドローの終点ポイントは中央とし、右側のみ測位基点ポイントを変えて変化を確認します。
中央点(A)が右寄り音像で、エッジ端点(B)がダッシュボード中央寄りとなり、その中間点(C)では音像もA-Bの中間位置となるのでベストポイントとなる様にTA値を修正します(基本:右側ミッドロー=エッジ端点/それ以外のスピーカーは全て中心)
(図3)
3)正確なTA測位にはデジタル距離計と専用治具が必要
正確なTA測位には、デジタル距離計が固定されていることが重要です。そのためには専用の治具(固定台)を作る必要があります。
(図4)※左右・前後・上下微調整機能付き固定台(自作品です)
◇左右スピーカー出力の均等化
いくら正確なTA値を入力しても、左右スピーカーの出力が均等でないとTAの意味を成しません。
要するに左右スピーカーの出力電圧(電流)比が50:50であってこそ、TA値の正確さが活かされるのです。
・正確なスピーカー出力調整には[デジタルマルチメーター(最小測定レンジAC40~60mV測定可能品)
※例:HIOKI DT4282

※数年前までamazonで2000円前後で中国製の40mVレンジ製品があったが現在は見当たらない。根気よく探せば出て来るかも?!
<調整要点概略>
・TW-SCのクロスポイント=4kHzの場合はTW,SC共に5.00mV(左右)
・Low=800Hz=15.00mV (左右)
※①スピーカーの機種やバッフル角度等によって特性が変わるので、基準15.00mVは参考値とする。
※②0.5mV単位で増減させて良い感じになってきたら更に0.1mV単位で微調整する。
※③15.00mVより下げて行くほど高域が強く感じ、15.00mVより上げて行くほど 低域が強く感じる。
(図5)
※SW(サブウーファー)の強さの好みは個人差があるので、一応の目安として、200mV(0.2V)を下限に聴感で増加する。
なおTA値でも聴感音圧は変わるので頭を前後させて理想的な音圧ポイントがあれば、TA値を合わせる。
※SWの箱の振動が床面を中心に伝わり増幅してしまうので、箱下に防振ゴムを取り付けるのが望ましい。
特に軽自動車の場合は鉄板が薄くリヤゲートパネル周りへの影響が著しいので要注意!!(図6)
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