ベートーヴェンの楽曲の中に、《合唱幻想曲 Choral fantasy 》 ハ短調 op80
というあまり演奏されることが無い作品がある。
その理由は管弦楽に加えてピアノ独奏、6人の独唱者と混声四部という大所帯、
しかも演奏時間は20分ほどだから通常の演奏会ではプログラムに入れられることは
ほとんどありません。
作曲された時代は、交響曲第5番『運命』や第6番『田園』と同じ頃、難聴に
よる苦悩を克服しつつ数多くの傑作を生み出した「傑作の森」と呼ばれる1804年
から1814年の黄金期の作品です。
国内でも演奏された事が無い訳ではありません。1995年9月サントリー・ホールにて
小沢征爾さんの還暦チャリティコンサートでこの曲を聴きました。P・ゼルキンのピアノ
独奏でした。曲はピアノ独奏に始まり管弦楽が登場して協奏曲風になったと思ったら
ソリスト陣が重唱、そして合唱が芸術を高らかに賛美してコーダというとてもエンターテイ
メントな曲です。この合唱は第9交響曲の終楽章を予感させるがこのとき既に、『歓喜』
の終楽章が構想として楽聖の脳内に存在していたのでしょう。
最近このお気に入りの楽曲を動画サイトで発見。
Martha Argerich-Beethoven,Choral Fantasy
小沢征爾さんの80歳バースデー・コンサートのライブ映像です。
CDかDVDのソースがあるハズだとオンライン・ショップで探したがみつけられずにいたが、
「セイジ・オザワ松本フェスティバル」 における小沢征爾指揮サイトウキネン・オーケス
トラのライブ収録されたベートーヴェン交響曲第2番 & 交響曲第7番のDVDの
エキストラ・トラックに入っていました。
2015年9月1日のマエストロ80歳のバースデー・ガラコンサートです。このコンサートの
メインであったのが「合唱幻想曲」にはピアニストのマルタ・アルゲリッチが友情出演されて
います。そして、ソリスト陣にはナタリー・シュトゥッツマンやマティアス・ゲルネも出演して
いるのがすごい。このトラック最後には出演者と会場の全員が 「Happy Birthday」を
合唱し、バースデー・ケーキのキャンドルを吹き消すという貴重な映像もありました。
Posted at 2019/06/16 15:50:58 | |
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