ワーグナーは好きだが、ずっと前からよく聴いていたのがモーツアルトのフィガロや
パパゲーノだった。ヘンデルもよく聴いていた。ウイスキーのCMで聴いたキャスリーン・
バトルの ”オンブラ・マイ・フ”や、森麻季さんのコンサートで感動したのは『リナルド』の
アリアでした。
バロック時代の作曲家ヘンデルはよくメロディメーカーといわれるが、その旋律は明快
で美しい。どこかで聴いたようなメロディが出てきたり、歌手がダカーポのアリアにそれぞれ
得意な装飾を加えた歌唱はまさに官能的ですらあります。
ワーグナーの爆発的な声と管弦楽に圧倒される楽曲とは対照的なヴィヴァルディや
ヘンデルのバロックオペラは、自然でゆったりとしたシンプルな音楽で感銘を与えてくれる
ところが気に入っています。
ヘンデル 《エイシスとガラティア》 HWV 49a 1718年版 オペラというより小編成の
牧歌劇です。
ウィリアム・クリスティ指揮 / レサール・フロリサンツ ソフィー・デイヌマン(Sp)
, ポール・アグニュー(T) 他
登場するのは、羊飼いの若者エイシス(テノール)、水の精霊ガラティア(ソプラノ)
怪物ポリフィマス(バス)、羊飼いの友人コリドン(テノール)、デーモン(テノール)
愛し合う2人、エイシスとガラティアの間に怪物ポリフィマスが横恋慕して絡んでくる。
エイシスがポリフィマスと戦おうとすると敵わないからやめろと諭す友人のコリドン、
ガラティアに言い寄るも無視され怒りが収まらないポリフィマスは、大石でエイシスを
殴り殺してしまう。嘆き悲しむガラティアは精霊の力でエイシスを湧き出る泉に甦らせ、
永遠の愛を交わすというベタな物語。 バロック・オペラの慣例で最後に全員で
合唱Happy endです。
チェコのテレビ局が製作したこのオペラの楽しい動画があります。
ガラティア役はスロバキアのオペラ歌手パトリツィア・ヤネチコヴァ(チェコ語;Patricia Janečková)
まだ若いがかなりの歌唱力それに美人。。
チェコの古楽アンサンブル、コレギウム・マリアヌム(Collegium Marianum) とマリオネット
劇場のBuchty a loutky(パンと人形)による人形劇とオペラのコラボレーションいう斬新な演出
です。チェコの世界遺産ヴァルチツェ城にあるバロック時代の劇場における公演も、18世紀
このオペラが初演された当時のような雰囲気を醸し出しています。
子供から大人まで楽しめるオペラの斬新なパフォーマンスですね。
アンサンブルの芸術監督ヤナ・セメラードヴァ(Jana Semerádová)さんの指揮とリコーダーに
よるアリアのオブリガートがいいですね。レチタティーボ(語り)が少ないオペラなので、ヘンデル
の美しいメロディがとめどなく楽しめます。パトリツィア・ヤネチコヴァの歌とパフォーマンス
がいいですね。
この作品では、37:00 にヘンデル最高・最強?のデュエットが歌われます。面白く楽しい
パフォーマンスになってますね。これに適うデュエット曲を探すとしたら、モーツァルト《魔笛》
のパパゲーノ、パパゲーナの”パ パ パの二重唱”でしょうかね?
多くは忘れ去られたヘンデルのオペラですが、このオペラは発表後も人気があったようで、
モーツアルトとメンデルスゾーンもこのオペラのアレンジ作品を残しています。
パトリツィア・ヤネチコヴァさんは若いがかなりの実力あるオペラ歌手だが、CDが発売
されていないのかとネットでは見当たらない。歌劇場のデビューもないようです。聴けるのは
YouTube と faceBookだけなんだ。先ごろ自身の動画サイトでYouTubeの表彰プログラムの
「シルバー クリエイターアワード」受賞の喜びをアップしていたが、思わずこちらもミーハー
気分で観てしまった。
https://www.youtube.com/watch?v=kITfPJ7RnPg
これを観てチャンネル登録してしまったひともいるだろうね。これもこれからの歌手の
新しいスタイルなのだろうか。今後の活躍が楽しみです。
パトリツィア・ヤネチコヴァ 特に観られているのがこの動画、オペラ歌手らしからぬ
ところがカワイイ。。オッフェンバックの《ホフマン物語》 ゼンマイ人形オランピアのアリア
https://www.youtube.com/watch?v=mVUpKIFHqZk
ちょいとアブナイ感じだが… オヤジが…
オラトリオ《サムソン》 HWV 57 のアリア "Let the bright Seraphim"では、
トランペットのオブリガートは、戦って死んだ怪力サムソンを天国へ導くために神が
遣わした天使たちが吹くラッパの音色、素晴らしい歌唱力には天使の歌声のような
感銘を受けます。まだ若いのにかなりの歌唱力ですね。