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伏木悦郎のブログ一覧

2015年02月14日 イイね!

水素でいいと思う

水素でいいと思う年明けの初仕事として恒例となっているNAIAS(北米国際自動車ショー)デトロイト。たしかミレニアムの2000年からだから、16年連続16回の皆勤賞ということになる。

そもそも海外の主要国際モーターショーをカバーしようと思うようになったきっかけは、1990年代中頃のバブル崩壊から超円高という経済環境の変化から。日本の主要自動車メーカーは、日米自動車協議のすったもんだの挙げ句、最大の対外輸出国でもあるアメリカでの現地生産化を促進。それにともなって、1980年代から急増していた対米輸出モデルはより一層現地化の色彩を強めた。

5チャンネル制の失敗が祟ってマツダがフォードの傘下に墜ち、トヨタの幻影を深追いしすぎた日産が2兆円の有利子負債を抱えてルノーの子会社となり、三菱もダイムラー・クライスラーの一角に沈んだ。

日本のトップ5の3極が外国人に社長の座を譲り、とりわけマツダと日産の北米市場建て直しから回復を目指す意志は明確で、マーク・フィールズRXエボルブ→RX-8、カルロス・ゴーンZ33、R35GT-Rとまずは名刺代わりにスポーツカーから再挑戦を開始した。

あれから15年ということになるわけだが、時代は本当に大きく変わった。アメリカはシェール革命でゾンビの如く生き返った。ガロン1ドル台という20年振りに見るデトロイト周辺のGSの価格表示に、むむむなんぢゃこりゃあな思いが募ったが、当然のことながらこれで済むはずもない。

今年は、昨年のIPCC第5次評価報告書に基づいて新たな方針が明らかになるCOP21が年末のパリで開催される。その前にえええぇぇぇな事態が勃発しても驚かないが、地球温暖化のポイントオブノーリターンのタイミングは過ぎたかまだ間に合うかの瀬戸際だ。脱炭素化社会に向けてとにかく動き出す時だろう。

燃料電池車(FCV)はナンセンスとかいろいろ言う立場もあるが、そもそもどれが一番というトーナメント方式のチャンピオンシップは意味がない。考えられる可能性をすべて用意して、適材適所でまあ総当たり戦で勝ったのはここだねというリーグチャンピオンシップでその時々の優位を語る時……。

ああ、この話を始めると長くなる。carviewSPLブログはサマリー書いて、本家DRIVING JOURNALでちょっと深彫りして、メルマガで筋道を立てるという計画通りにしないとね。

僕はね、ハイブリッド以上のスピードでFCVは急速に普及すると思う。インフラ? 今から107年前ヘンリー・フォードがモデルTを量産ラインから産み出した時、ガソリンスタンドってあったと思う?モデルTはそれから19年に渡って1500万台が送り出されたが、それを可能にしたのはその間にロックフェラーがクルマ用燃料としてのガソリンの生産/供給体制を構築したから。

今水素インフラがどうこう言って、難クセ付けている人々はすでに確立しているエネルギー源の既得権益を背景にしていると考えるのが合理的。意味ない、そんなの。可能性は排除しない。それが新たな文明を迎える態度だろう。

昨年のLAショー。ちょうど日本国内で正式発表のタイミングと重なったMIRAIが周到に用意されていた。ZEV規制対応の切り札だからね。


トヨタが出すと聞いて台数で競い合うVWが急遽出展したのがHYMOTION。ゴルフ・ヴァリアント(ワゴン)をベースにしたFCV。MQBは燃料電池車もカバーすると言いたいようだが、このパッケージングで商品になるの? NAIASではダイムラーAGのD.ツェッツェや、T. ヴェバーに拙い英語で突撃インタビューしたけれど、2013年に発表した通り「2017年にルノー日産、フォードとの燃料電池の共同開発した成果としてのFCVを市場投入する予定で、開発は粛々と進めている。インフラの問題があるので、我が社としてはまずはプラグインハイブリッドから……」

トヨタのこのタイミングでの市場投入はジャーマンスリーには結構なインパクトがあったと見て間違いはない。MIRAIに乗ると、なぜFCVに未来があると僕が乗り気になった理由が分かる。走りが新しく、乗り物として面白かったからだ。
Posted at 2015/02/15 01:15:57 | コメント(4) | トラックバック(0) | 日記
2015年02月12日 イイね!

ホンダJADE 月販計画台数3000台

ホンダJADE 月販計画台数3000台2月12日東京青山の本社で発表されたHONDA JADE(ジェイド)。

2012年4月のAUTO CHINA北京国際自動車ショーでワールドプレミアされたコンセプトS(上)から翌2013年4月の上海ショーで中国をリードカントリーとするJADE(中)として発表される。この年には先に国内導入されているオデッセイの元になるコンセプトMも世界初公開となっている。ホワイトが国内仕様のハイブリッド。



いわゆるミニバン系は、日本においてはライフステージ商品としての旬を過ぎていて、ホンダとしてはこれからの市場性が見込める中国へと軸足を移す方針とした。これは完全にグローバル化の潮流の必然で、国内市場の5倍を売り捌く海外市場に力を注ぐことに水を差すことはできない。

成熟して成長が止まった国内市場の内に留まり、国際市場でグローバルな闘いを演じているメーカーとは好対照に、日本語の壁に守られ、自ら海外に出てメーカーと同じ視点で世界を見ることなく蛸壺に収まるメディア、ジャーナリスト。

発表会でも日本のメーカーなんだからまず日本から発表するようにしたらどうかと言った相変わらずの注文をつける?な年寄りもいたが、5分の1を5分の4に優先させたらどうなるか子供でも分かる道理をとんちんかんな正義感で曲げようとする。

JADEは、当初からミッドサイズの3列シートSTREAMの後継として企画されているが、すでにボリュームゾーンの団塊ジュニアが次の段階へとライフステージを移し、ミニバン系のターゲットカスタマーは薄くなっている。

ロー&ワイド3列シートは、同じミニバン系でもホンダシンパの受け皿となっていた3/4代目オデッセイを好んだユーザーをフォローするのが目的と考えられる。ストリームの名を廃したのはオデッセイからの格落ち感を排するためにブランニューイメージを打ち出したと見るべきだろう。それがクォーター(250cc)バイクの名だと知る人は複雑だろうが。
Posted at 2015/02/14 01:52:52 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2015年02月09日 イイね!

NDロードスターに関する余談と(邪推妄想に近い)予断

NDロードスターに関する余談と(邪推妄想に近い)予断『御神体』 現在のマツダデザインフィロソフィーは魂動:Soul of Motion。獲物を狙う一瞬のチータの肢体をモチーフにして造形されたオブジェ。これを元にデザインされたオリジナルがShinari(靭しなり)で、CX-5、アテンザ、アクセラ、デミオという一連の最新作にもエッセンスが盛込まれている……





今年のNAIAS(北米国際自動車ショー:デトロイト)は、スポーツカーの復権とデトロイト勢のドル箱ピックアップトラックが注目された。シェール革命で明らかに緩んだという感じ?デトロイト郊外のガソリン価格はガロン2ドルを切った。久々に見る1ドル台のプライス表示に複雑な思い。年末にはCOP21だし、今年は荒れるね







マツダはNAIASのお祭騒ぎを避けて(?)年末のLAショーで一花咲かせたので、今回のNAIASは音無しの構え。MNAOのケルビンを表敬訪問と足を運んだけど空振り。まあそういうこともある、とNDの前を差し掛かったら面白い光景が……

男数人がたむろっている中心に見上げんばかりの大男がいて、おもむろにNDのシートに。座って大笑い。アタマ完全にはみ出て、トップを上げると完全につっかえていた

身長どんだけ? 聞くと「2m!!」 NDロードスターは、NAよりコンパクトに仕上がっているが、キャピンはNAのUS95パーセンタイルに対して95+1ぐらいとケルビンの説明。でもさすがに2メートルは無理だね。







ちょっと旧聞に属するけれど、昨年10月のパリショー。気になったクルマがありました。MINIのブースに妙に主張するように展示されていたこれ。NDの初試乗記を書いてしばらくいろんな思いが去来したんですが、これも「ふっ」って感じでね。




これって、パリのポルトヴェルサイユEXPOでもなんでこのタイミングでこれ? 妙な感じがしたんだけど、なんであえてBRITISH BORNとか言うの?スーパーレッジーラはイタリアンだけど、どこから見てもブリティッシュライトウェイトスポーツLWSでございという風です。

もしかして、TMとBMのコラボだったり? マツダのNDのEUROプレミアに対抗して、さりげなく……みたいな。豊田とミュンヘンが仕組むFT-1に次ぐ86の下が英国のミニの血筋を引いたこれっ!!っていう邪推。案外当たっているかもね。

Posted at 2015/02/09 18:17:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2015年02月08日 イイね!

NDロードスターで語るべきこと

NDロードスターで語るべきことNDロードスターがメガヒットになるか否か。供給体制やグローバルな枠組で展開されているマーケティングの戦略も関係するので軽々には言えないが、今度のロードスターは日本やマツダというローカルな問題でなく自動車の未来に関わる希望の星だ。

欧米とくに依然として懲りずに世界のどこも真似のできない超ガラパゴスの交通体系に依拠するドイツ流では未来に明るい展望を持つことが難しい。1989年のデビューで文字通り世界を変えたNAに匹敵する変化をもたらすことかできるか。

課題は残っているが、今度のMX-5、マツダロードスターは"クルマはこれでいいんじゃない?"を明るく分かりやすく提示した。それだけでもう十分なんですが、この間ちょっと試乗しただけで、もうあとから後からあんなとこんなことが記憶の底からふつふつと湧いてきて止まらない。

まだ正式発売後の試乗リポートまでには時間があるので、この機会に過去36年のライター稼業で見聞きしたあんなことこんなことをロードスター絡みで書きつらねることにした。メルマガで日記風にね。

ちょっと紹介したくて転載したけれど、いつものように超長いのであちこち中略、後略、前略で切り詰めてもなおこの長さ。

まあ、読み飛ばしてみてください。


もちろんメルマガの講読は大歓迎です。



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■伏木悦郎のメルマガ 『クルマの心』

第127号 2015.2.7

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●為にするのではなく、書くべきことを書こうではないか。

『絶望は愚者の結論である』ふと頭の片隅に残る言葉が浮かんだ。現代はインターネット
で検索すれば容易にその言葉の世界に近づける。”絶望は愚者の……”その後に何て続い
ていたか。分からなくても、そこまで入力できれば大抵の場合ゴールに迫れる。

 キーボードを叩くと、案の定。断片だけで辿り着けるということは相当な名言であり、
歴史に名を残す人物の発言だ。ベンジャミン・ディズレーリは19世紀のイギリスの政治家
にして小説家。晩年にヴィクトリア女王からビーコンズフィールド伯爵(初代)の爵位を
授かり、二度の首相在任を果たしている。英国初にして唯一のユダヤ人として歴史に名を
刻み、他にも数ある名言ともに記憶されている。

 ここまで馬齢を重ねてきて言うのも何だが、本当に世の中知らないことだらけである。
物事を知れば知るほど、それ以上に知らないこと分からないことが増える。分かったつも
りが一番の問題で、その状態が真実を遠ざける。遺された数々の名言を挙げることは控え
るが、世界は言葉で出来ているというのは一面の真実で、目に映るモノ以外は言葉で理解
する他に手立てはない。

 大事なことは己の無知の自覚であり、それゆえ言葉にはセンシティブ敏感でありたい。
まあ真剣度を問われるとたじろぐところだが、長いこと文章を生業としてきた。自分なり
にそうしてきたと言う他はないだろう。

 とにかく思いついたままやってみて、なりゆきに任せる。賢い生き方とは思わないが、
それでなんとかかんとか生き延びてきた。過去十年はその前の十年とは好対照をなす困難
の連続であり、現状維持に疑問を抱いて自ら変革することで前進を企てるも、世の大勢は
変えないで逃げ切りを図りたい高齢化社会に深く入り込みつつあった。

 自分を騙して寄らば大樹が上策だったかもしれないが、それで世のため人のために役立
てるか。三十余年の長きにわたって生きてこれたのも、支えてくれる読者あってのこと。
そこに使ってくれる編集者、出版社への感謝が加わればまだしもだったかもしれないが、
共に生きた彼らも年をとって、時代の変化にともなう制度疲労に抗いようもなく身を任す
ばかり。誰も責めることはできないが、このまま朽ち果てる訳には行かないのは当然だ。

●僕は、NDロードスターは再び世界にLWSの意味と価値を問うと思う!

 マツダの4代目となる新型ロードスター(ND)がいよいよ発売までのカウントダウン
を迎えた。待望久しいとはこのことで、先日のPre-prductionモデルの試乗を期に一気に
臨戦態勢に入った感がある。

現行NC型が世に現れたのがちょうど10年前の2005年。この間にリーマンショックに端
を発する世界的な恐慌状況や東日本大震災という歴史的な大災害をはさみ、温室効果ガス
による地球温暖化や資源エネルギー問題も複雑さを増している。

 プリウスが登場し、COP3(国連気候変動枠組条約第3回締結国会議)通称京都会議
から18年。今年は昨年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書
に基づいて具体的な対応を迫られるCOP21が年末のパリで開催され、併せて京都議定書
第11回締結国会議も同じ花の都で開かれることになっている。


中略


 プリウスがライバル。未来のロードスターは、20年に満たない短期間で世界中に浸透し
たエコカープリウスの価値を、LWS(ライトウエイトスポーツ)という古くて新しい形
態で凌駕する。一気に世界の価値観を変える勢いで。いまや名のある世界の都市でその姿
を見ないことはないプリウスと商品性で肩を並べ超えて行くぐらいの気概をもって。

●皆と同じでは存在している意味がない。僕の足跡が未来に貢献できたら幸せだ

 昨年4月16日のNYIAS(ニューヨーク国際自動車ショー)でのベアシャシーの展示
によって一気に火が着いたNDロードスターへの取材熱。それは現行NCロードスターの
発表発売以前から『かくあるべし』と断じていたイメージに沿うとの直観が原動力になっ
ているのだが、何でここまで熱くなるのだろう……我ながらつらつらと考えた。


中略



話は新型ロードスターに尽きるはずなのだが、関わった人や学んだ事実や身体に深く刻
まれたシーンがフラッシュバックしてとめどない。ならば、これは回想録や日記の体裁で
ネタが尽きるまで書き連ねてみよう。案外数回で終わってしまうかもしれないし、延々と
行くかも分からない。

 これ以上長い前振りはお互いに疲れるので、さっそく始めることにしよう。

 まずは、試乗記の導入から書き出している。



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■プロローグ。12月19日の伊豆CSCでNDを走らせたら、過去がどっと立ち現れた!

 見るだけ座るだけから、乗って走らせる。同じクルマでも、場面によって込み上げる思
いは微妙に異なるものだ。随分待たされたからね。4代目となるNDロードスターの輪郭
が見えたのは2014年4月16日のNYIAS(ニューヨーク国際自動車ショー)プレスデイ
のことである。


中略


 その後のワールドプレミアからの流れは誰もが知る。僕自身国内外各地で飽きるほど見
てきたが、依然として鮮度が落ちた気がしない。デビューしたその日からみるみる磨滅し
て行く凡百と違って、NDロードスターはLWS(ライトウエイトスポーツ)という孤高
の価値を自ら再定義し、そして掘り下げ続けようとしている。

■そう言えば、NAの時にも事前試乗があった。JARI谷田部テストコースにて

 いま僕は、何とも言えぬ既視感を味わっている。2014年12月19日、静岡県伊豆市にある
サイクルスポーツセンターで新型マツダロードスター(ND型)のステアリングを握る。
発売の半年前であり、用意されたクルマのレベルは量産のずっと前の段階。プロトタイプ
以前のPre-productionであるという。

 あれは1989年の7月だっただろうか。強い陽光が降りそそぐ茨城県谷田部町のJARI
テストコースでとても熱い体験をした。この年2月の米国シカゴショーに突如現れたオー
プン2シータースポーツカーの試乗。そこに至る経緯はすでに忘却の彼方だが、吉田槙雄
/島崎文治(彼はすでに法政大ラグビー部の監督に就任していたかも)の名物広報コンビ
からの招集を受けて、当時37歳の僕は燃えていた。


中略


 時代は、1980年代に入って2l 以下の小型車で一気に推進されたFF化の一大潮流下。
市場拡大を追求する国内メーカー各社はさらなる可能性を求めて高出力/高性能化にシフ
トする。日本車に国際競争力をもたらした電子制御化ととにもFFベースの4WDを進め、
バブル経済の進展とも重なって日本中がハイテク/高出力高性能に沸いていた頃である。

■40年前に見た原風景と今度のNDロードスターの距離感、そんなに遠くない

 少し脱線させていただく。僕は、FRがあたりまえの1970年に18歳になり、運転免許を
取得している。最初のクルマは当時の限られた選択肢では王道ともいえた日産サニー1200
クーペGX。それから5年後、さらに狭まる人生の岐路でモーターレーシングの世界に紛
れ込むのだが、そこで手にしたのもKB110サニーだった。

後略


■ドリフトの意味に囚われないように。ひたすらやってみてどうか。答えはそこにある

 FRにこだわり続けるモチベーションはレースの実戦以前に掴んだ。すべては直観が始
まりだ。やる前に観る。天才は存在するが、ふつう人間は生まれつき空(から)だ。なり
たいと思えるアイドルを見てイメージを取り込み、その像に我が身を合わせるプロセスを
踏むことで自分を作らなければならない。オリジナリティは模倣の先に隠れている。

 40年前の富士スピードウェイ。タイヤ痕をアスファルトにくっきり残しながらヘヤピン
を駆け抜けるF1を見た。太い右リアタイヤが外へ外へと逃げるのをカウンターステアで
グイグイいなし、黒々と美しいラインを描き踊るように300Rへと消えて行った。高まる
エキゾーストノートが片時もアクセルを緩めない強い意志を伝え、画像とサウンドが一体
となった鮮烈な記憶として目に焼きついた。

 ドライバーはスライドウェイ・ロニー。ドリフト野郎として親しまれたスウェーデンの
ロニー・ピーターソン。マシンは漆黒に金のJPSロータス72DFV。1974年11月24日、
富士グランチャンピオンシリーズ最終戦の合間に敢行されたF1デモランの一コマである。

 翌1975年は筑波サーキット。降りしきる梅雨空の下、名手高橋国光駆るKB110サニー
TS仕様のナビシート。雨に光る第二ヘヤピンにアプローチしたかと思うやいなや、重力
から解き放たれたように景色が流れた。


中略


 人は身体のパフォーマンスで行動が制限されがちな生き物。それゆえ圧倒的なスピード
を実現する乗り物に憧憬の念を寄せるが、僕は300km/hの自動運転よりも100km/hのドリフ
トダンスに興じる自由を支持したい。さすがに60も超えるとカラダは言うこと聞かなくな
るが、身についたスキルが発想を若くする。クルマでアンチエイジングは可能だ。

■ひらり感の必然と、運転していることを忘れさせるNDのセットアップの相関はあるか

 26年前のユーノス・ロードスター(NA6CE)の話だった。まさかこんなクルマが現
れるとは。ライトウエイトスポーツ(LWS)、1960年代の英国で人気を博した軽量コン
パクトなオープン2シーターを再生する。誰もが考えたが、誰もやろうとはしなかった。
 南カリフォルニアの現地子会社の商品企画部門が温めていたプラン。その背景に1978年
に日本版マスキー法(昭和53年排ガス規制)をクリアして新たなスポーツカーの世界を切
り開き、北米市場を席巻したサバンナRX-7(SA22C)の存在があり、人が絡む物語
の伏線がもう一つ流れているのだが、それは後に回すとしよう。



中略



 今でこそボディ剛性はあたりまえの概念で、その重要性は広く認識されているが、試乗
インプレッションなどで評価の言葉遣いとして登場するのはこの頃から。CADやCAE、
FEM(有限要素法)などのコンピュータ解析が行なわれるようになって注目されるよう
になった。マツダはこの分野で国産メーカーとしては最先端を行っていて、現在ではCA
Eでは同業他社から業界屈指と一目置かれる存在になっている。

■NDロードスターのすべてを語るタイミングは"今"ではない


前略


 私は数多く配信されたそれぞれの記事はまだ一読もしていない。何となく想像できるの
と、基本的に批評の精神を持たない応援団調に影響されるのを避けたい。今はまだローン
チまで時間を残した段階であり、自分の評価スタンスを明らかにして正誤ではなく意見を
述べる時だろう。

 クルマとしての完成度、製品としての質の高さはスタイリングとパッケージングを見れ
ば分かること。プロなら、その先に何を観るか、もっと良くなる提案ができるかだろう。
この場合、たとえ誤りや間違いが生じたとしても不問に付せる。あったとすれば正式発売
なので訂正すれば済むことだ。

 芯を食った『NDの魅力はここだ!』という声が出ないとLWSの存在感が危ぶまれて
しまう。pureICEの先行きが細く厳しくなっている現実を理解していれば、クルマ好き
として成すべきことは明らかなのである。


つづく

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Posted at 2015/02/08 19:44:16 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2014年12月06日 イイね!

GT-R2015

GT-R2015久しぶりに箱根ターンパイクに出掛けた。ネーミングライツの関係で今はMAZDAターンパイク箱根と表記する必要があるが、何か照れくさいというか、それ言わない方がいいんじゃない?という気分が先に立っちゃうんですよ。でもライツなんで。

実はスクープものの情報があって、その確認のために日産のスポーツブランドNISMOを所管するニスモビジネスオフィスのチーフプロダクトスペシャリストの田村宏志さんにインタビューしようじゃないのということになった。まあ、専門誌driverの企画なので詳細は明かせないが、リーマンショック直前に〇〇〇〇が完成していた。

ソースを明かすことができないオフレコ情報なので、どうする? スポーツブランドを仕切るキーマンを直撃すれば何かあるのでは? 果たしてはその首尾は‥‥。どうやってまとめる? あんな話もこんな話もあったよな。多くのドメスティックメディアが、NRP以前の日産の幻影を追いかけるように国内目線の内向き指向であれこれ期待を込めたストーリーを創作したがっているが、現実の日産はかつてのプロパーが仕切れる企業形態になってはいない。

技術や生産のソリューションは世界に冠たるレベルにあるが、エンジニアリングやマニファクチャリングとマネージメントは別次元。作る能力はあっても、作るかどうかを決めるのはトップの経営判断による。C. ゴーンCEOの統治となって15年。親会社のルノーのCEOも兼ねる最高経営責任者は、古くからの日産ファンのことより世界の圧倒的多数の顧客目線を意識しながら、株主に対する責任を負うことに力を注いでいる。

経営のプロとしては当然のことだが、その意志を考えずに直接の取材対象となるエンジニアやテクニシャンに一方的な希望だけを述べるのはプロとは言えない。可能性を共有して、共創のスタンスでアプローチするセンスを持たないかぎり、不毛の地への種まきのようなものになりかねない。

考え方を変える時は随分前に訪れているんだけどな。さすがに筋金入りでNISMOをハンドリングする腕っこきは鋭くて、こちらの意図を軽々と見抜いた。それをどうまとめるか。編集担当の力量に期待するほかはないだろう。

訪ねた試乗会はNISMOが提供するラインナップとGT-Rの2015モデルとGT-R NISMO2014の乗り比べであるという。折角の機会なので、空いたスケジュールがあったら乗せて。で、基準車と称するGT-R2015モデルを手にした。

普段乗りに視点を置いたセットアップは、パーシャルで気分よく走るレベルでは断然これが正解といえる当りの洗練された乗り心地。ドライブトレインのギアノイズも格段に抑えられ、パートナーの不興を買うことなくロングツーリングが楽しめるロードカーに仕上がっている。

ただ550馬力を炸裂させてカタルシスを得ましょ、なんていう時にはちょっと覚悟がいる。切れ味鋭いV6ツインターボはバネレートが半減レベルという足を瞬時に凹ませ強烈な加速Gと同時に内蔵を引力に逆らうようにせり上げる。運転していてウッとなるくらいだから、ナビシートで油断していると堪らない。


そういう走りをする人は稀であり、問題視するマニアは別バージョンに目を向ける。それはその通りかもしれないが、何とか空力とかダンパーチューニングで解決策はありませんかね。テーマにはなるけれど現時点でソリューションはどうですかね。

半年前に乗ったGT-R NISMOに乗り換えてGT-R2015の何がどうなったか。確かめてみようと走らせてみると、動き出しから少しの低速域で固い足とタイヤからの入力にグッと腹に力が入るが、パワーと走りの関係は遥かにバランスしてる。空力的な安定と、足のバネと減衰によるトータルなまとまりは、さすがに走りの質にこだわっただけのことはある。

まあいずれも1000万円超のプレミアムスポーツであり、広く一般にこっちがいいですよねとは言い難い。GT-Rでグローバル視点での日本のマーケットシェアは30%。Zに至っては現時点で3%の市場規模しかこの国にはないという。その現実を踏まえた批評なり評論なり評価でないと、おいそれとは聞けない。そう考えるとですね、リーマンでぽしゃったあの企画でもう一遍頃合いの走りのパフォーマンスから再構築を図るのも手では?

こちらの思い通りの日産スポーツが現れるか否かは神のみぞ知る。作る力はある。問題は、ゴーン日産にとって日本市場のプライオリティが低く、成長のための投資に見合う市場とみなされていないこと。その現実を見据えた上で、どのような情報空間を構築するか。試されているのはメディアの方なのかもしれません。

GT-R2015の写真を撮り損なったので、タイトル画像はGT-R NISMO2014です。



Posted at 2014/12/07 01:33:38 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記
スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

プロフィール

「撤収!! http://cvw.jp/b/286692/42651196/
何シテル?   03/24 18:25
運転免許取得は1970年4月。レースデビューは1975年10月富士スピードウェイ。ジャーナリスト(フリーライター)専業は1978年9月から。クルマ歴は45年目、...
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水素でいいと思う 
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変わるかな。 
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しばらく耐える秋なのだ。
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2009年3月3、4日に行われた第79回ジュネーブショーの画像です。

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