
風邪気味の体調を考慮して格安の宿を南船橋に確保。今日が個人的に最後となるモーターショー詣でを考えて"なる早"でメッセ入りを考えたが、結局チェックアウトタイムぎりぎり11時にやっと動き出した。
皆勤賞のガイドツアー最終日は16時からのスタート。時間的には余裕ありありだが、その1時間前にFT86コンセプト開発CEへのインタビューという取材予定が入っている。そのCEは同業が催すタウンミーティングに出席するという。
できれば11時から2部構成というイベントの最初からウォッチして、取材の足しにしようかと思ったが体調的に難があり、前半は今月末発行のトヨタ特集の某誌企画担当編集者に任せた。12時からの後半の大部分を聴講(?)したが、目を瞑って聞く発言のほとんどが 耳当たりが良く、いちいちが納得できる内容ばかりだった。
良き時代の感覚をこれからも……語られる大要は、手にすることが出来た者が共有できる(したい)クルマをいつまでも……というトーンに染まっていたような気がする。それはそれでハッピーな空間なのだが、すでに大きく様変わりし、これまでとはまったく違う時代が訪れようとしている現実に照らすと、ただの絵空事になりかねない。前提が変ってしまったのに、従前のルールでやりましょう……そんなことを言っているようにしか聞こえない。
前半部で17歳の"少年"が、クルマを語ることすら難しくなっている"現実"を吐露し、それに対する答えを強く求めたシーンがあったそうだが、それに対して大人は誰も応えられなかったと聞いた。要するにこれまでの良き時代の記憶を現実と捉え、手にした豊さの延命を図る人々は、希望を持ち得ない切実な"現状"を生きているこれからの世代に対しては何の答も用意できていない。
いま目の前で繰り広げられている大変革は、もしかしたらこれまでの前提を一切チャラにして、まったく新しいルールでやり直す必要があるのかもしれない。日本の自動車産業の歴史的絶頂期だった2007年の前回東京モーターショーとピークアウトを目の当たりにするような今回の落差は、どう考えてもこれまで通りでは立ち行かないことを強く意識させる。
我慢していれば、やがて元に戻る……そのような楽観は、近い将来悲嘆の元にしかならないだろう。
とりあえず明るくしていないと、本当に真っ暗になってしまうので注意しなければいけない。でも、問題の本質に目を向けず、今までの行き掛かりに安楽の地を見出してのうのうとお茶をすするような年寄り染みた態度は慎むべきだと思う。
東京モーターショーの入場者数は前回の半減という数字に留まりそうだ。記録的な落ち込みだが、半減した規模に照らせば当然と言えるかもしれない。しかし、減ったと言ってもまだまだ相当数の自動車ファンの存在は確認できた。若い世代も多く、必ずしも関心が薄れたということでもないような気がする。
ただ、次回が前回のような活況に戻る保証などどこにもない。政権交代は象徴的な事件だったが、本質を見極めてコツコツと粘り強く変えて行く努力を続けないと、さらに厳しい事態が訪れそうだ。
最終ガイドツアーは飛び入りの2人(Mさん、Gさん=女性)に、KさんOさん、Nさん、それから監視役(?)の担当編集者の計6人。最後の最後はもう脂が乗って、最高のパフォーマンスになる……つもりだったが、直前のCEインタビューに頭を使いすぎ、大音量の各社のMCの声に対抗しながら6人に地声で説明する負担もあって、冒頭から酸欠気味。予定した動線は乱れに乱れ、取りこぼして最後に調整したブースが2軒。最後はビシッと決めようと思っていたのに、かっこ悪かったなあ。
プレスデイから始まって、生涯もっとも多い時間をショー会場で過ごしたが、時代の大きな変わり目と、自分の立ち位置の危うさが重なって、もやもやした気分がより深まった秋のひとときとなった。
Posted at 2009/11/04 12:45:35 | |
トラックバック(0) | 日記