
久しぶりに箱根ターンパイクに出掛けた。ネーミングライツの関係で今はMAZDAターンパイク箱根と表記する必要があるが、何か照れくさいというか、それ言わない方がいいんじゃない?という気分が先に立っちゃうんですよ。でもライツなんで。
実はスクープものの情報があって、その確認のために日産のスポーツブランドNISMOを所管するニスモビジネスオフィスのチーフプロダクトスペシャリストの田村宏志さんにインタビューしようじゃないのということになった。まあ、専門誌driverの企画なので詳細は明かせないが、リーマンショック直前に〇〇〇〇が完成していた。
ソースを明かすことができないオフレコ情報なので、どうする? スポーツブランドを仕切るキーマンを直撃すれば何かあるのでは? 果たしてはその首尾は‥‥。どうやってまとめる? あんな話もこんな話もあったよな。多くのドメスティックメディアが、NRP以前の日産の幻影を追いかけるように国内目線の内向き指向であれこれ期待を込めたストーリーを創作したがっているが、現実の日産はかつてのプロパーが仕切れる企業形態になってはいない。
技術や生産のソリューションは世界に冠たるレベルにあるが、エンジニアリングやマニファクチャリングとマネージメントは別次元。作る能力はあっても、作るかどうかを決めるのはトップの経営判断による。C. ゴーンCEOの統治となって15年。親会社のルノーのCEOも兼ねる最高経営責任者は、古くからの日産ファンのことより世界の圧倒的多数の顧客目線を意識しながら、株主に対する責任を負うことに力を注いでいる。
経営のプロとしては当然のことだが、その意志を考えずに直接の取材対象となるエンジニアやテクニシャンに一方的な希望だけを述べるのはプロとは言えない。可能性を共有して、共創のスタンスでアプローチするセンスを持たないかぎり、不毛の地への種まきのようなものになりかねない。
考え方を変える時は随分前に訪れているんだけどな。さすがに筋金入りでNISMOをハンドリングする腕っこきは鋭くて、こちらの意図を軽々と見抜いた。それをどうまとめるか。編集担当の力量に期待するほかはないだろう。
訪ねた試乗会はNISMOが提供するラインナップとGT-Rの2015モデルとGT-R NISMO2014の乗り比べであるという。折角の機会なので、空いたスケジュールがあったら乗せて。で、基準車と称するGT-R2015モデルを手にした。
普段乗りに視点を置いたセットアップは、パーシャルで気分よく走るレベルでは断然これが正解といえる当りの洗練された乗り心地。ドライブトレインのギアノイズも格段に抑えられ、パートナーの不興を買うことなくロングツーリングが楽しめるロードカーに仕上がっている。
ただ550馬力を炸裂させてカタルシスを得ましょ、なんていう時にはちょっと覚悟がいる。切れ味鋭いV6ツインターボはバネレートが半減レベルという足を瞬時に凹ませ強烈な加速Gと同時に内蔵を引力に逆らうようにせり上げる。運転していてウッとなるくらいだから、ナビシートで油断していると堪らない。
そういう走りをする人は稀であり、問題視するマニアは別バージョンに目を向ける。それはその通りかもしれないが、何とか空力とかダンパーチューニングで解決策はありませんかね。テーマにはなるけれど現時点でソリューションはどうですかね。
半年前に乗ったGT-R NISMOに乗り換えてGT-R2015の何がどうなったか。確かめてみようと走らせてみると、動き出しから少しの低速域で固い足とタイヤからの入力にグッと腹に力が入るが、パワーと走りの関係は遥かにバランスしてる。空力的な安定と、足のバネと減衰によるトータルなまとまりは、さすがに走りの質にこだわっただけのことはある。
まあいずれも1000万円超のプレミアムスポーツであり、広く一般にこっちがいいですよねとは言い難い。GT-Rでグローバル視点での日本のマーケットシェアは30%。Zに至っては現時点で3%の市場規模しかこの国にはないという。その現実を踏まえた批評なり評論なり評価でないと、おいそれとは聞けない。そう考えるとですね、リーマンでぽしゃったあの企画でもう一遍頃合いの走りのパフォーマンスから再構築を図るのも手では?
こちらの思い通りの日産スポーツが現れるか否かは神のみぞ知る。作る力はある。問題は、ゴーン日産にとって日本市場のプライオリティが低く、成長のための投資に見合う市場とみなされていないこと。その現実を見据えた上で、どのような情報空間を構築するか。試されているのはメディアの方なのかもしれません。
GT-R2015の写真を撮り損なったので、タイトル画像はGT-R NISMO2014です。
Posted at 2014/12/07 01:33:38 | |
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