![Smithの電気式時計の修理 Smithの電気式時計の修理](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/044/790/981/44790981/p1m.jpg?ct=209b4f96b519)
頼まれ修理です。
Jaguarのタコメーターに取付けられた電気時計の修理です。
自分のMK2を除いて動いているモノを見たことがありません。ホコリだらけの車内で機密性も無い開放ケースのみの環境下で動いていることだけでも奇跡的かもしれません。
この個体はネガティブアースに改造済でした。12Vを印加しましたがすぐに止まってしまいます。オーバーホールが必要です。
早速ケースを外します。
![](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/userstorage/000/056/901/750/b1f07ee64d.jpg?ct=13a5d4f3519b)
裏の4本のネジを外してムーブメントを出します。
黄色の部分がコイルで、両端からカニのハサミ状の鉄芯がテンプの際に伸びています。
見え辛いのですがテンプには鉄片が接着されておりコイルに電流が流れると磁力で吸引され振動エネルギーが供給されます。
![](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/userstorage/000/056/901/751/262ee673ae.jpg?ct=b4ccb0f3e1ce)
最初に電気接触子を確認します。
![](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/userstorage/000/056/901/754/c16376bf71.jpg?ct=9bc33d92222a)
時計とは思えない汚れです。
中央に垂直に立つのがテンプの芯(天芯)です。上部に丸いテーブル状の板が見えますがこれがテンプで、一定周期で往復回転運動をします。
現在テンプは静止しており左から伸びるヘビのカマ首状の電気接触子がテンプに立つ接触棒に触れています。テンプが振動(往復回転運動)している時にはその振動中心で接触子が触れてコイルに電流が流れ励起されます。
機械式時計の動力源はゼンマイですが、これが電気になったと考えると理解が進むと思います。クオーツとは全く異なる動作原理です。
テンプの振動で接触子では電流の断続が繰り返されるので僅かな放電が生じ接触部が腐蝕していずれ寿命を迎えます。
もちろんムーブメントの汚れで動作不良も発生しますが、接触子の腐食が酷く動作不良となった時には交換する必要があります。
今回の個体は交換せずとも生き返りそうです。
どんどんバラします。
![](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/userstorage/000/056/901/760/3dc35d8c69.jpg?ct=dd426d260cea)
ここまで来たら超音波洗浄です。
洗浄液に浸して60℃で30分洗浄します。
洗浄後テンプも接触子も綺麗になりました。
組立での注意はテンプの静止位置に接触子を持ってくることです。
動作確認動画 です。
良さそうです。
さらに
接触子の拡大スロー動画 です。
いい感じです。
これから数日かけて連続運転•歩度調整を行います。
Posted at 2021/01/27 19:29:17 | |
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