福島の商家「す枡屋」解体惜しむ声 築150年超、地震で被災
2022年10月09日 09時15分
取り壊し前の「す枡屋」。幕末に建てられ、旧奥州街道の面影を残す貴重な建物だった
福島県福島市柳町の旧奥州街道沿いで、江戸時代に創業した商家「す枡屋(ますや)」の幕末に建てられた建物が、本県沖を震源とする3月の地震で被災したため取り壊される。城下町の同市中心部は都市化が進み、江戸時代の建物が数少ないため希少な存在だ。8日現在、解体作業が進められており、関係者から惜しむ声が上がっている。
す枡屋を営む沼崎家は酢、みそ、こうじの製造・販売、雑貨の販売を続けてきたが、約20年前に営業を終了した。通りに面した店舗の建物は1863(文久3)年に建てられ、築150年以上が経過している。
東日本大震災などで被災したが、建物の修復や補強を行ってきた。3月の地震では正面入り口がゆがみ、大規模な修復が必要となった。
「福島の歴史の重みを感じることができる建物だった。取り壊すのは本当に寂しい」と話すのは、沼崎家の親戚で福島市の佐藤美典(よしのり)さん(73)。所有者で福祉施設に入所中の沼崎キヌ子さん(95)に代わって建物を管理してきた。キヌ子さんは建物を後世に残したい考えだったが、相次ぐ地震で維持が難しくなり、取り壊しを決めた。
佐藤さんは「昔使っていた道具や看板、レジスターなどは市に寄贈する。す枡屋の歴史が残ればいい」と語った。郷土史に詳しい同市の柴田俊彰さん(73)は「奥州街道の面影を残す貴重な建物だったので、非常に残念」と惜しんだ。
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2022/10/09 18:16:41