
福島第一原発 核燃料デブリ取り出し 装置取り付けミスで延期
2024年8月22日 14時11分
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東京電力は22日、福島第一原子力発電所の事故からおよそ13年半で初めてとなる核燃料デブリの試験的な取り出しに2号機で着手する予定でしたが、取り出し装置の取り付けにミスがあり、直前で延期したと発表しました。
今後、詳細を確認するとしていて、23日以降の予定は決まっていないということです。
福島第一原発の1号機から3号機では、2011年3月の事故で溶け落ちた核燃料と周囲の構造物が混ざり合った核燃料デブリがあわせておよそ880トンあると推定され、極めて強い放射線を出し続け容易に近づけないことから、その取り出しは「廃炉最大の難関」とされています。
東京電力は22日、事故からおよそ13年半で初めてとなる核燃料デブリの試験的な取り出しに2号機で着手するため、午前7時半前から準備作業を始めましたが、取り出し装置の取り付けにミスがあり、直前で延期したということです。
取り出し装置は伸縮する細いパイプ状のもので、格納容器の中まで後ろから別のパイプで押し込む仕組みになっていますが、装置を格納容器内につながる配管の手前まで進めたところで、複数ある押し込みパイプの順番が誤っていることに作業員が気づき、午前9時前に作業を中断したということです。
東京電力は、今後、詳細を確認するとしていて、23日以降の予定は決まっていないということです。
核燃料デブリの取り出しは、2021年までに始めるとした当初の計画から3年遅れていますが、政府や東京電力は、デブリの性質や状態などに関するデータは、本格的な取り出し工法の検討など、今後の廃炉を進めるうえで欠かせないとしていて、成否が注目されます。
東京電力 小早川智明社長「しっかり安全に進めることが必要」
東京電力福島第一原子力発電所2号機で核燃料デブリの試験的な取り出しの準備作業が中断されたことについて、東京電力の小早川智明社長は「しっかりと安全最優先に作業するよう指示していたので、無理に進めるよりは、何か心配事があったので立ち止まったと受け止めている。これから私も福島に向かうので、原因を調査したうえで対策を行いたい。核燃料デブリの試験的な取り出しは廃炉の中でも一番重要な局面で、しっかり安全に進めることが必要だし地元の願いでもあると思う」と述べました。
予定していた核燃料デブリの試験的な取り出し作業とは
今回の試験的な取り出しで、東京電力は、2号機の原子炉を覆う格納容器の底にある核燃料デブリのうち、小石状のものをひとつぶ取り出す計画です。
この際、放射線量が高くなりすぎないよう、重さを3グラム以下に抑えるとしています。
取り出しには専用に開発した「テレスコ式」と呼ばれる伸縮式の細いパイプ状の装置を使います。
はじめに、格納容器の内部に通じる直径60センチメートルの配管の中に装置を入れ、21メートルまで徐々に伸ばしていきます。
そして、格納容器の内部に達した先端部分からデブリをつかむ器具を数メートル下までケーブルでつり下ろし、底に堆積しているデブリをつかんで回収する計画です。
現場の放射線量が高く人が容易に近づけないことから、ほとんどの作業は遠隔操作で行われ、器具の先端についたカメラで状況を確認しながら装置を慎重に進めます。
さらに、作業員の負担や被ばく線量を考慮し、1日の作業時間は午前中の数時間に抑える予定で、こうした事情から、東京電力は作業を完了するまでには1週間から2週間程度かかるとしています。
装置でつかんで持ち上げ、格納容器の外へ回収したデブリは容器に入れる前に表面から20センチメートルの距離で放射線量を測定し、1時間当たり24ミリシーベルトを超えた場合には、作業員の被ばく線量を抑えるため格納容器の内部に戻す計画です。
放射線量に問題がなければ、デブリを容器に入れ、一連の取り出し作業は完了となります。
このあとデブリを入れた容器は、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の研究施設に運ばれ、半年程度かけて詳しい分析を進める予定です。
今回、核燃料デブリの取り出しを試みる2号機の格納容器は、5年前に同じような形状の装置を使って調査していて、このとき小石状のデブリとみられる堆積物を動かせることを確認しています。
こうした調査の結果から、政府と東京電力は小石状のデブリは取り出すことができると判断し、2号機で試験的な取り出しを行うことを決めました。
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Posted at
2024/08/22 14:58:35