
「ハワイアンズ」運営会社 米ファンドが買収へ
09月09日 18時42分
福島県いわき市の温泉リゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」の運営会社・常磐興産が、アメリカの投資ファンドに買収されることになりました。
ファンドが持つ経営ノウハウや資金力を活用して集客の強化につなげるのが狙いとみられ、施設のブランドや雇用は維持する方針です。
これは、9日、常磐興産が、ウェブサイトで明らかにしました。
それによりますと、アメリカの投資ファンド、「フォートレス・インベストメント・グループ」から買収の提案を受け、9日の取締役会で、買収の受け入れを決議したということです。
今後、ファンドが実施するTOB=株式の公開買い付けに応じ、来年3月頃に完全子会社化したうえで上場を廃止する方針です。
施設のブランドや雇用は維持するとしています。
常磐興産は、ことし3月までの1年間グループ全体の決算で、最終的な利益が9億3400万円の黒字となり、観光部門の営業利益が過去最高となるなど、コロナ禍の落ち込みから業績を回復しています。
ただ、人口減少によって主な客層となっている首都圏のファミリー層の減少や施設の老朽化といった課題を抱え、これまでの負債も多く、大規模な設備投資に踏み切るのが難しい状況が続いています。
一方、「フォートレス」は、ことし、宮崎市の大型リゾート施設、「シーガイア」の運営会社を買収しているほか、傘下に複数のホテルを収めていて常磐興産は、ファンドが持つレジャー施設の経営ノウハウやホテル事業の顧客基盤、それに資金力を活用することで、ハワイアンズの集客強化につなげる狙いがあると見られます。
いわき市の内田市長は、常磐興産の発表を受けて「観光業界での厳しい競争を勝ち抜いていくための経営判断だと受け止めている。約140年間、地域に根ざした大切な企業であり、経営主体が変更になったとしても、従業員の雇用はしっかり守り、地域との対話を大切にしてもらいたい」というコメントを発表しました。
【常磐興産とは】
常磐興産は、1884年、明治17年に、渋沢栄一らが石炭を採掘するために設立した「磐城炭礦社」が源流で、炭鉱の閉鎖後の1966年に新たな産業として観光に目をつけ、「常磐ハワイアンセンター」、いまの「スパリゾートハワイアンズ」を開業しました。
「ハワイアンズ」は、首都圏からもファミリー層を多く呼び込み、2006年に公開された映画「フラガール」の舞台にもなるなど、全国的な知名度を誇る施設となり「東北のハワイ」とも言われるいわき市のイメージに大きく貢献してきました。
ことし3月までの1年間には、日帰りで93万人、宿泊で37万人が利用し、観光部門の営業利益が過去最高となり、グループ全体の最終的な利益も9億3400万円の黒字となっていました。
一方、銀行からの借り入れがかさみ、ことし3月の時点で有利子負債が300億円近くに膨らみ財務の改善が経営課題となっていて、ことし6月に就任した関根一志社長は会見で、借入金の削減などを進める必要があるという考えを示していました。
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2024/09/09 20:50:20