インフルエンザ “全国的な流行期に”厚生労働省 感染対策を
2025年10月3日午後2時06分
(2025年10月3日午後9時45分更新)
厚生労働省
厚生労働省は3日、インフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表しました。流行期入りの発表は去年に比べて1か月余り早く、厚生労働省は適切なマスクの着用など基本的な感染対策を呼びかけています。
目次
4項目
東京では61件の集団感染を確認
クリニックではワクチン接種 予約が増加
厚生労働省によりますと、先月28日までの1週間に全国3000か所余りの医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は前の週より957人増えて、4030人でした。
1医療機関あたりの患者数は1.04人で、流行開始の目安とされる「1」を超え、厚生労働省は全国的な流行期に入ったと発表しました。
流行期入りの発表は去年より5週早く、今の調査が始まった1999年※以降、1年を通して流行したおととしを除くと2009年に次いで2番目に早くなっています。
※この記事を当初公開した際、流行期に入った時期について、1999年「以来」としていましたが、正しくは「以降」でした。失礼しました。
1医療機関あたりの患者数を都道府県別にみますと
▽沖縄県で8.98人
▽東京都で1.96人
▽鹿児島県で1.68人
▽福岡県で1.55人
▽大分県で1.52人
▽長崎県で1.51人
▽埼玉県で1.43人
▽京都府で1.39人
▽三重県と熊本県で1.31人
▽千葉県で1.3人
▽神奈川県で1.24人
▽大阪府で1.21人
▽茨城県で1.07人
▽福井県で1.05人と
15都府県で「1」を超えています。
また、28の都道府県で前の週より増えています。
厚生労働省は手洗いや適切なマスクの着用など基本的な感染対策を徹底するとともに、ワクチンの接種を検討するよう呼びかけています。
東京では61件の集団感染を確認
東京都によりますと9月1日から28日までの間に都内では
▽保育所で15件
▽小学校で18件
▽中学校で18件
▽高校で10件の
あわせて61件のインフルエンザの集団感染が報告されているということです。
また、集団感染により休校や学級閉鎖などをした学校は
▽小学校で18校
▽中学校で18校
▽高校で10校の
あわせて46校で、去年の同じ時期に比べて3倍近い数になっています。
クリニックではワクチン接種 予約が増加
東京 港区にある小児科のクリニックでは、2週間ほど前から、発熱を訴える患者が増えてきて、1日あたり1人以上がインフルエンザと診断されているということです。
クリニックでは今月からインフルエンザワクチンの接種も始めていて、1日あたり30組の予約枠はすぐに埋まる状況が続いているということです。
2歳から18歳までが対象の鼻の中にスプレーで吹き付けるタイプのワクチンも接種することができ、2割から3割の人がこのタイプのワクチンを接種しているということです。
鼻の中に吹き付けるタイプのワクチンを接種した小学3年生の男の子は「注射は病院に来たくなくなるくらい嫌だけど、きょうのものは鼻に水が入ったくらいの感じでだいぶ楽でした」と話していました。
「サニーガーデンこどもクリニック」 首里京子 院長
首里京子 院長
「ことしは発熱はあるがそのほかの症状があまりないという人が多く、かぜなどと見分けがつきにくいと感じる。多くの人がワクチンを接種する前に流行が始まったので、このあと接種を受ける人が増えるかどうかで昨シーズンのような大きな流行を防げるかが決まるのではないか」
「(鼻の中に吹き付けるタイプのワクチンについては)痛みを伴わないので子どもたちも『えっ、これで終わり?』という感じで接種でき、選択肢が増えたのはいいことだ。一方、鼻炎や花粉症の子どもの場合、鼻づまりが強く出ることがあり、注意が必要だ」
鼻から接種するタイプのワクチンとは
鼻から接種するタイプのインフルエンザワクチン「フルミスト」は、毒性の弱いウイルスを使った「生ワクチン」で、国内ではおととし承認され、去年から接種が始まっています。
直接、左右の鼻の穴の中にスプレーで吹きつけることで、血液中に加えて、感染経路となる鼻やのどの粘膜にも抗体をつくることができるということです。
対象は2歳から18歳までで、接種回数はシーズンごとに1回です。
国内で行われた臨床試験では、このワクチンを接種した人は接種しなかった人と比べるとインフルエンザを発症するリスクが28.8%減少したということです。
一方、国内の臨床試験では副反応として鼻づまりやせきなど風邪に似た症状がおよそ60%の人で報告されているほか、まれにインフルエンザで発熱する人もいたということです。
日本小児科学会が去年公表したこのワクチンの使用に関する考え方によりますと、毒性の弱いウイルスを使っているため妊娠中の人や免疫不全の人などはスプレータイプのワクチンを使わず、注射するタイプの不活化ワクチンのみを使うよう推奨しています。
また、周囲の人がワクチンに含まれる毒性の弱いウイルスに感染する可能性があることから授乳中の人や周囲に免疫不全の人がいる場合も注射するタイプの不活化ワクチンを推奨しています。
このほか、ぜんそくの人にも注射するタイプの不活化ワクチンを推奨しています。
専門家「今後の動向注視する必要がある」
インフルエンザの流行状況について、日本感染症学会インフルエンザ委員会の委員長で川崎医科大学の中野貴司特任教授は「去年と比べると、患者が増加する時期は早いが過去には秋口から患者が報告されることもあり、現時点で『近年まれに見る流行』というレベルにはない。今後、どのタイプのウイルスがどんな年齢層に流行しているか動向を注視する必要がある」と分析しています。
その上で「3か月程度にわたってとても暑い時期が続いたあと、朝夕の気温が下がるようになり寒暖の差が大きくなったことで体に負担がかかる気候になっているので、特に高齢者や子どもなど、体調管理に気をつけてほしい」と呼びかけています。
また、今月から接種が始まっているワクチンについては「インフルエンザの予防には手指の消毒やマスク着用などのさまざまな感染対策が必要だが中でもワクチンは、病原体に特異的な予防ができる方法だ。国や専門の学会、それに身近な医療関係者から、透明性と客観性のある情報を入手して接種を判断してほしい」と話しています。
「流行レベルマップ」の運用 “今季は当分の間 停止”
インフルエンザは、国が定点となる医療機関から報告を受けて感染状況を調査し、1医療機関あたりの患者数などを公表しています。
この定点調査については、ことし4月、定点となる医療機関の数が変更されおよそ5000か所から、およそ3000か所に減りました。
これに伴って国立健康危機管理研究機構は「データの連続性が担保されない」として各地の保健所ごとに流行状況を公開していた「インフルエンザ流行レベルマップ」の運用を今シーズンは当分の間、停止すると発表しました。
また、定点の患者数を元に計算していた全国の患者数の推計値も公表を停止するとしています。
Posted at 2025/10/03 22:34:11 | |
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