オオカミ信仰の山津見神社で15年ぶり本格的な例大祭 飯舘村
2025年12月4日午後6時37分
福島県飯舘村の山津見神社では震災と原発事故のあと規模を縮小して行われてきた伝統の例大祭が15年ぶりに本格的に開催され、地域の習わしの復活を喜ぶ人でにぎわいました。
飯舘村の山津見神社の例大祭は、村の守り神として地域で大切にされてきた神社で続く伝統行事でしたが、原発事故による避難指示で中断し2013年には拝殿が全焼する火災にも見舞われました。
避難指示が解除されたあとは、規模を縮小して祭事を中心に行っていましたが、住民からの提案でことし15年ぶりにかつての規模での開催を決め、移住者なども加わって準備が進められてきました。
初日の4日は、神社の参道におよそ30の屋台が軒を連ね、例大祭の名物である、住民たち手作りの、木の骨組みにかやをかぶせた茶屋も復活しました。
茶屋では、温かいそばやおでんなどが振る舞われ、訪れた人たちが手作りのぬくもりを感じながら食事を楽しんでいました。
飯舘村の山津見神社はオオカミ信仰で知られ、参拝に訪れた人たちは天井にオオカミの絵が描かれた拝殿で手を合わせていました。
また、オオカミのお面の絵付け体験なども行われていました。
神社のある地区が地元で、南相馬市から訪れた50代の男性は「震災後ずっと開催されていなかったので、懐かしい雰囲気でとてもうれしいです。数十年ぶりに会う人もいて来てよかったです」と話していました。
祭りは、6日までの3日間行われ、▼神事は午前8時から午後5時まで、▼屋台などのイベントは、5日は午前9時から午後8時まで、最終日は午後6時までそれぞれ開かれています。
【帰還した佐藤公一さんは・・】
飯舘村で生まれ育ち、避難指示が解除されてすぐに帰還した、神社の氏子総代の佐藤公一さん(77)は、例大祭を復活させたいと長年思い続けてきたといいます。
佐藤さんは「原発事故で避難して住民がバラバラになってから、村に戻らない人も多く、帰還している人には高齢者も多いので、例大祭の復活は難しいかなと思っていました。しかし、いろんな人の協力で開催することができ、懐かしい景色だなと感じます。この祭りが住民や避難を続けている人にとってふるさとの良さを感じるものになり、復興の一助になったらうれしいです」と話していました。
ことしの例大祭は、実行委員のおよそ半分が移住者やボランティアなどで成り立っています。
委員の中心として運営に関わっている矢野淳さん(30)は学生時代から縁があった村の将来に貢献したいと5年前に飯舘村に移住しました。
矢野さんは「飯舘村ならではの信仰や自然との向き合い方が表れているお祭りで、この光景を15年待ち望んでいた人たちが『復活して本当によかった』と言っていたのがうれしかったです。元の住民の方と移住者、さらに外から関わるボランティアによる新しい連携でまた来年度以降も続けていきたいと思えるような3日間になればいいなと思います」と話していました。
Posted at 2025/12/05 01:19:17 | |
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