遮断機や警報機のない「第4種踏切」 住民の合意を得て廃止へ
05月12日 18時14分
先月、福島交通飯坂線の遮断機や警報機のない「第4種踏切」と呼ばれる踏切で電車と軽乗用車が衝突し、2人が死傷した事故を受けて、福島市や福島交通などは12日、「第4種踏切」について、地域住民の合意を得ながら廃止していく方針を確認しました。
先月5日、福島市飯坂町平野にある福島交通飯坂線の踏切で、侵入してきた軽乗用車と走ってきた電車が衝突し、車を運転していた65歳の女性が死亡、助手席の女性が意識不明の重体となっています。
事故が起きたのは、遮断機や警報機のない「第4種踏切」と呼ばれる踏切で、事故を受け、福島市や福島交通などは12日、対策を協議しました。
福島交通は現在25か所ある「第4種踏切」を減らしたい考えで、12日の協議では、市も協力しながら沿線の住民などと話し合いを進め合意が得られれば廃止していくほか、日常生活に欠かせない踏切は、国に補助を要望した上で簡易な警報装置を設置するなどの対策を行っていく方針を確認しました。
福島交通鉄道部の三浦賢一部長は「地域住民からは『踏切を残してほしい』という意見が聞かれる。関係機関の皆さんにご協力をいただきながら住民の皆さんと話し合っていきたい」と話していました。
福島市交通政策課の宍戸郁夫課長は「今後、事業者や市、地域で連携して、説明会などを開催していきたい」と話していました。
「第4種踏切」の廃止は、沿線に暮らす人にとって大きな問題です。
飯坂線桜水駅から200メートル余りのところに住んでいる佐久間馨さん。
自宅の敷地は飯坂線の線路に面していて、周りはよその敷地のため、門の前にある「第4種踏切」を渡らないと、人も車も道路に出ることができません。
およそ20年前、車でこの踏切を渡ろうとした妻が電車と接触して足に大けがを負う事故があり、福島交通に警報器の設置などを求めましたが、費用の問題で実現せず、代わりにカーブミラーが設置されました。
しかし、夜はよく見えず、60メートルほど離れた隣の踏切に設置された警報器の音と光で安全確認しているといいます。
佐久間さんは、「言葉で『廃止』というのは簡単だが、うちはこの踏切を廃止されると生活できない。危ないので、訪ねて来た人が帰る際は必ず一緒に外に出て見守るようにしている。廃止ではなく1日も早く警報器をつけてほしいし、鉄道会社や自治体には、こうした実情を知ったうえで対策を考えてもらいたい」と話していました。
こうした遮断機や警報機がついていない「第4種踏切」は、県内では飯坂線のほかにも72か所あります。
このうちJRでは、只見線で26か所、水郡線に23か所、磐越西線と磐越東線にそれぞれ3か所、東北本線に1か所。
私鉄では、会津鉄道に9か所、福島臨海鉄道に7か所となっています。
第4種踏切は、遮断機がある踏切と比べて事故の発生率が2倍近くとなっていて、解消が長年の課題となっています。
国は、地域住民の生活に支障のない踏切は統廃合を促進するとしていますが、鉄道事業者が地元関係者との合意形成に苦慮しているうえ、踏切の改良にかかる費用の問題もあることなどから、全国的に進んでいない現状があります。
Posted at 2022/05/13 12:40:24 | |
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鉄分補給 | 日記