
原発事故で国の責任認めず 最高裁 避難者の集団訴訟で初の判断
2022年6月17日 16時43分 福島第一原発
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福島第一原子力発電所の事故で各地に避難した人などが、国と東京電力に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で、最高裁判所は、「実際の津波は想定より規模が大きく、仮に国が東京電力に必要な措置を命じていたとしても事故は避けられなかった可能性が高い」と判断し、国に責任はなかったとする判決を言い渡しました。
原発事故の国の責任について最高裁が統一的な判断を示すのは初めてで、全国各地で起こされている同様の訴訟に影響するとみられます。
判決が言い渡されたのは、原発事故のあと各地に避難した人などが国と東京電力を訴えた集団訴訟のうち、福島、群馬、千葉、愛媛の4つの訴訟です。
東京電力の賠償責任は確定していて、2審で判断が分かれた国の責任について最高裁判所が審理していました。
焦点は国の地震調査研究推進本部が、東日本大震災の9年前、2002年に公表した『長期評価』の信頼性で、これを踏まえ国が▽巨大津波を予測できたか、▽東京電力に対策をとらせていれば事故を防げたかどうかが争われました。
17日の判決で、最高裁判所第2小法廷の菅野博之裁判長は「現実に発生した地震は長期評価に基づいて想定される地震よりはるかに規模が大きかった。津波も試算より規模が大きく、到来した方角も異なり、仮に国が東京電力に必要な措置を命じていたとしても大量の海水の浸入は避けられなかった可能性が高い」と述べ、原発事故について国の責任はなかったとする判断を示しました。
4人の裁判官のうち、1人は結論に反対しました。
原発事故の国の責任について最高裁が統一的な判断を示すのは初めてで、全国各地で起こされている同様の訴訟に影響を与えるとみられます。
原告弁護団「全く受け入れられない」
判決のあと、福島訴訟の弁護団の馬奈木厳太郎 弁護士が最高裁判所の前に集まった原告や支援者に向けて判決への受け止めを述べました。
このなかで馬奈木弁護士は「国の責任を認めない判決は、全く受け入れられない。結論だけでなく、判決に至る判断の過程も原発事故の被害に全く向き合っていない。この判決が全国で行われている同様の訴訟に影響を及ぼすことがあってはならないし、この判決を乗り越えるために最後まで戦っていきましょう」と述べ、憤りをあらわにしていました。
全国各地から集まった原告や支援者からは「ふざけるな」といった声があがったり、涙を流したりする姿も見られました。
弁護団は、国の責任を認めない判決を想定していなかったとして、裁判所の前で判決の内容を紙に掲げる旗出しは行いませんでした。
Posted at 2022/06/17 19:05:48 | |
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