イギリスで猛暑警戒、非常事態を宣言 週明けに40度の恐れ
2022年7月16日
A woman in a red dress and sun hat walks by some trees
画像提供,PA MEDIA
イギリス政府は15日、高温予想のため非常事態を宣言した。イギリス気象庁の予報で、18日と19日にロンドンやマンチェスターなどで、40度に達する恐れがあるため。
英気象庁は、「イギリス国内で摂氏40度の予報を出すのは初めて」だと説明。人命に危険が及ぶ恐れがあるとして、通常の活動を変更する必要があるとしている。気象庁のグレアム・マッジ報道官は、「非常に危険な事態になり得る」として、ロンドンとヨークシャーなどを結ぶ幹線道路A1沿いに、気温が40度に達する確率は50%だと述べた。
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イギリスで初の気温40度予報 特異な高温で生活は
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イングランドやウェールズで30度台後半が予測されているほか、スコットランドや北アイルランドでも30度前後が予測されている。
一部の地域では夜間の気温も25度未満には下がらない見通し。20日以降は気温は下がり始めると予想されている。
遊ぶチャンスではなく
気象庁のペニー・エンダースビーCEOは、「まったく前代未聞」の予報のため、雪や風の赤警戒予報と同じくらい真剣に受け止めるよう、住民に呼びかけた。イギリスの人たちは気温が上がると「日差しの中で遊ぶ」チャンスだと受け止めがちだが、予報されている今回の猛暑は「そういう気象ではない」と警告した。
猛暑によって国民保健サービス(NHS)の負担が増えると懸念されており、首相官邸は緊急対応の計画がすでに用意済みだと説明している。ボリス・ジョンソン首相にも状況を随時報告しているという。
今回の猛暑予報を受けて、鉄道で速度が制限されるほか、学校は授業を早めに切り上げる見通し。病院の一部予約もキャンセルされる可能性がある。18日と19日に予定される競馬のレースも一部がキャンセルされた。
気象庁の警告に加え、英健康安全庁(HSA)は医療・介護施設に対して、四段階で最高レベルの警戒態勢を敷くよう通達。「元気で健康な人」にも発病や死亡が出る恐れがあるとしている。
UK Heatwave
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健康被害の可能性
BBCの気象キャスター、マット・テイラー記者は、イギリス国内で40度が観測される可能性は現実味を帯びていると指摘。「それは本当に暑い気温だ。たとえば休暇中だったらなんとか対応できるかもしれない気温でも、その中で日常生活を送ろうとすれば、深刻な健康被害が出る可能性がある」と述べた。
猛暑によって人体が温まると、血管が拡張し、血圧が下がる。心臓への負担が高まるほか、脳への血流が減少する。さらに汗をかくことで、体内の塩分やミネラルが失われる。こうした要因が重なることで、めまいや立ちくらみ、頭痛、疲労、吐き気、一時的な失神などの症状につながる。
北アフリカで発生した熱波は、欧州各地に広がり、ポルトガルやフランス、スペインなどで山火事を引き起こしている。
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イギリスでも40度に? なぜこんなに暑いのか(約40秒で解説)
イギリスで猛暑警戒システムが導入されたのは2021年と間もないが、最高レベルの「赤」警戒が発令されたのは、今回が初めて。これまで英気象庁が観測した最高気温は2019年7月に、ケンブリッジ大学の植物園で観測した38.7度だった。
イングランドでは2020年夏に高気温のため2500人の超過死亡があった。赤十字は、イギリスでの高温による関連死は今後30年間で3倍に増える危険があるとしている。
動物チャリティー「ブルー・クロス」は、人間だけでなく動物の体調変化にも注意するよう飼い主に呼びかけている。動物愛護団体の王立動物虐待防止協会(RSPCA)は、ヘビの飼い主たちに「特に気を付けるよう」呼びかけている。高気温になるとヘビが逃げ出しやすくなるためという。
地球の気温は18世紀後半に比べて既に約1.1度上昇している。各国が温室効果ガスの排出を大幅に削減しない限り、気温は上昇し続けると、多くの専門家が予測している。
BBCのテイラー気象キャスターによると、イギリスの観測史上最も暑かった10日の記録のうち、7日は2003年以降に記録されたという。
(英語記事 Heatwave: National emergency declared after UK's first red extreme heat warning)
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Posted at 2022/07/17 01:52:06 | |
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