
高校野球 聖光学院が九州学院を10対5で破り 初のベスト4
2022年8月18日 23時31分
夏の全国高校野球は18日、準々決勝が行われ、第4試合は福島の聖光学院が熊本の九州学院に10対5で勝って、春夏通じて初めてのベスト4に進出しました。
聖光学院は1回に1点を先制されたその裏、ヒット2本と送りバントでランナー二塁三塁とし、4番の三好元気選手が2点タイムリーツーベースヒットを打って逆転しました。
このあと相手のミスも絡んでチャンスを広げ、犠牲フライや8番・生田目陽選手のタイムリーヒットでこの回一挙5点を挙げました。
聖光学院は4回にもフォアボールと送りバントでチャンスを作り、三好選手の18日2本目となる2点タイムリーツーベースを含む4連打で、4点を取って突き放しました。
ヒット13本を打った聖光学院が10対5で勝ち、春夏通じて初めてのベスト4に進出しました。
一方の九州学院は新型コロナウイルスによる集団感染に見舞われる中、初戦の2回戦、3回戦と勝利して、12年ぶりに準々決勝に進出しました。
5回に1番・大城戸陸琥選手、2番・馬場涼輔選手の連続タイムリーヒットなどで3点を返したほか、7回には9番の瀬井太心選手がソロホームランを打つなど反撃しましたがおよびませんでした。
聖光学院 斎藤監督「乗り越えたい壁だったのでうれしい」
福島の聖光学院の斎藤智也監督は春夏通じて初めてのベスト4進出について「乗り越えたい壁だったのでうれしいです。選手たちが頑張ってくれたと思います。相手はシュアなバッティングをしてくるのである程度の失点は覚悟していました。予想していなかった先発投手でめんくらった部分もありましたが、どんどん振っていけと指示したところ、想像以上の得点につながりました」と話しました。
そのうえで、宮城の仙台育英高校との準決勝について「東北対決になりましたが、選手は思う存分やってほしいと思います」と話していました。
聖光学院 4打点の三好選手「チームに勢い与えられた」
2年生で4番を務め、先制タイムリーを含む2本のツーベースヒットで4打点と活躍した聖光学院の三好元気選手は「相手の先発投手は予想外でしたが、どんどん思い切って振っていこうという気持ちで打席に入りました。1回から点が入ってほっとしたのと、チームに勢いを与えられてよかったです」と振り返りました。
そのうえで「3年生を絶対に負けさせるわけにはいかないと思ってやっています。初のベスト4ですがそれは関係なく、日本一を目指して次も自分たちのできる野球を全力でやりたいです」と話していました。
聖光学院 7回に好守備の安田選手「最後の捕球は丁寧に」
4本のヒットを打ち、7回には打球を滑り込みながら捕った聖光学院の3番で、センターの安田淳平選手は「すごく動く試合で、相手も粘り強くて、一つも油断できない激戦でした。守備範囲に自信があり、走っているときに目線をぶらさず、最後の捕球は丁寧にと心がけていました」と話しました。
20日の準決勝に向けては「仙台育英高校の選手の能力は自分たちより高いと思います。チームの士気は高まり、いい意味で甲子園に慣れてきて自分たちの野球が表現できるようになってきたと思います。自分たちを信じて次の試合も頑張りたいです」と意気込みを話しました。
九州学院 平井監督「選手たちが甲子園で大きく成長」
敗れた九州学院の平井誠也監督は「相手打線のキーマンは左バッターだと思っていたので、序盤、左ピッチャーに頑張ってもらって、後半、エースの直江新投手にうまくつなげられればと思っていました。前半、想定以上に点を取られてしまったのは投手起用を決めた私の責任で、選手たちはよく頑張ってくれました」と話しました。
そのうえで「選手たちが点差がついても最後まで諦めずに食らいついている姿を見て、甲子園で大きく成長してくれたと感じました。3年生にはチームを甲子園に連れてきてくれて、ありがとうと伝えたいです」と、新型コロナウイルスの集団感染に見舞われながら、甲子園で2勝した選手たちをたたえていました。
九州学院 2年生エース直江投手「スタミナつけて甲子園に戻る」
九州学院の2年生エース、直江新投手は5回から登板して相手打線を1点に抑えたものの、チームは序盤の失点が響き、敗れました。
直江投手は「点差が開いていたので、自分のピッチングで流れを持ってきて、チームを逆転させたいという気持ちで投げていましたが、それができなくて悔しいです」と涙ながらに話しました。
そのうえで「自分がもっとスタミナがあって、頼りがいのあるピッチャーであれば先発で投げたかったです。甲子園で3試合に投げて、自分のボールは全国で通用すると感じることができたので、スタミナをつけて甲子園に戻ってきて、相手打線を圧倒できるような投球をしたいです」と今後の成長を誓っていました。
九州学院 村上選手「全国で通用する自信がついた」
九州学院の4番でプロ野球・ヤクルトの村上宗隆選手の弟の村上慶太選手は「4番を打たせてもらっているにもかかわらず、チャンスの場面で1本も打てず、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と涙ぐみながら話しました。
聖光学院の佐山未來投手については「警戒され、変化球がくると思っていましたが、まっすぐがくることもあったので、そこは読みが甘かったのかなと思います」と振り返りました。
そのうえで「全国のレベルを知ることができ、少ししか打てませんでしたが、全国で通用するという自信がつきました。上の世界で勝負していきたいと思っているので、日本を代表するようなバッターになりたいです」と今後の飛躍を誓っていました。
聖光学院 想定外の先発にも積極的な打撃で大量点
ヒット13本で10得点。
福島の聖光学院は想定外の相手の先発ピッチャーにも積極的な攻撃で1回に大量点を奪ったことが、春夏通じて初めてのベスト4進出につながりました。
準々決勝の相手、熊本の九州学院のエースは前の試合、4安打完封の直江新投手。
この2年生エースの先発を予想していた聖光学院の斎藤智也監督は「2、3点の勝負になる」と見込んで、変化球にねらいを絞る作戦で18日の準々決勝に臨もうとしました。
ところが九州学院は直江投手を温存し、左投げの3年生、桑原颯汰投手が先発。
『めんくらった』と斎藤監督。
ですが「誰が来ても実際に対戦する時は皆、初めての投手。バットをどんどん振っていこう」と選手たちを送り出しました。
そのことばどおり、聖光学院打線は1回から積極的に攻めます。
先頭バッターがヒットで塁に出るとバントでチャンスを広げ、ランナー二塁三塁として4番の三好元気選手。
2球ボールが続いたあとの3球目の直球をたたくと、これがレフト線への2点タイムリーツーベースとなり、このあとのバッターもヒットを打って、この回一気に5点を挙げました。
三好選手は「1回からどんどんピッチャーを攻めて、相手のベンチまで飲み込むことができたと思います」と振り返りました。
想定外の事態も積極的なバッティングが効を奏し、一気に流れをつかんだ聖光学院。
三好選手は「初のベスト4ですが、それは関係なく、日本一を目指して、次も自分たちのできる野球を全力でやりたいです」と話しました。
準決勝の相手は複数の好投手を擁する宮城の仙台育英高校。
勢いが出た打線で東北勢初の優勝を目指します。