
夏の甲子園 仙台育英 初優勝 “白河の関越え”に喜びの声
2022年8月22日 18時52分
夏の全国高校野球は決勝が行われ、宮城の仙台育英高校が山口の下関国際高校に8対1で勝って初優勝しました。
東北勢の優勝は春夏通じて初めてで、深紅の大優勝旗が初めて白河の関を越え、東北に渡ります。
各地の喜びの声をまとめました。
100年越しの悲願達成 ’白河の関越え’
宮城の仙台育英高校が夏の全国高校野球の決勝に臨んだ22日、過去に優勝経験がない東北勢の悲願達成を表す「優勝旗の白河の関越え」を願って、福島県白河市の神社でパブリックビューイングが行われ、地元の人たちが声援を送りました。
かつて東北と関東の境とされた「白河関跡」にある白河神社は全国高校野球の大会史上、優勝校が出ていない東北地方に優勝旗を持ち帰ってもらいたいという願いを込め、25年前から毎年、東北6県の代表校に白河の関の通行手形を贈っています。
大会決勝の22日、神社には仙台育英を応援する特設会場が設けられ、県内外の50人余りが大型のテレビモニターを通して観戦し、仙台育英の満塁ホームランの場面などでは歓声が上がっていました。
そして仙台育英の初優勝が決まると集まった人たちは総立ちになり、校歌を聞きながら万歳三唱などをしていました。
「白河関跡」を管理する白河神社の宮司、西田重和さん(74)は「仙台育英が東北の意地を示してくれとてもうれしいです。100年越しの願いをかなえてくれた選手たちにありがとうございますと伝えたいです」と話していました。
仙台育英の優勝に湧く 仙台市中心部
仙台市中心部にあるデパートの前には大型テレビが設置され、多くの人が足を止めて仙台育英高校の決勝戦の模様を観戦していました。
仙台市青葉区のアーケード街にあるデパートの入り口付近には大型テレビが設置され、買い物客や通りがかった人たちが足を止めて試合を観戦していました。
そして、仙台育英が得点するたびに拍手をしたり歓声をあげたりして喜んでいました。
観戦する人は試合の終盤になるにつれて増え、最終的にはおよそ200人にのぼり、仙台育英が優勝を決めるとひときわ大きな歓声が上がりました。
試合のあと、デパートのショーウインドーには「祝 優勝」と書かれた大きなポスターが張り出されました。
2人の幼い子どもを連れた仙台市の30代の女性は「コロナでどこにも行けず沈んでいましたが、これから気持ちを改めて頑張ろうかなと思いました。こんな素晴らしい気持ちにさせてくれて選手たちにありがとうと言いたいです」と話していました。
富谷市の20代の男性は、「初優勝を果たしてくれてうれしく思います。相手チームを圧倒した形で、『すごい』という気持ちでいっぱいです。選手たちがすごく楽しそうにプレーしていたので、見ている側もとても楽しく、感動をもらいました」と話していました。
校舎では約80人が観戦 初優勝に沸く
仙台市宮城野区にある仙台育英高校の校舎では生徒や教職員たちが大型テレビで観戦し、選手たちに声援を送りました。
仙台育英高校の宮城野校舎では、大型テレビが設置された食堂に生徒や教職員、およそ80人が集まり、そろいのうちわやタオルを手に持って決勝を見守りました。
会場では、仙台育英が得点をあげるごとに拍手や歓声が沸き上がりましたが、なかでも7回に岩崎生弥選手が満塁ホームランを打つとひときわ大きな歓声に包まれ、生徒たちはハイタッチをして喜びを分かち合っていました。
そして試合のあと、生徒たちは甲子園で流れる校歌に合わせてタオルを左右に揺らし、感極まった生徒は涙をぬぐっていました。
応援した2年生の男子生徒は、「金足農業のときも東北は勝てなかったので、とにかくうれしい。東北の人たちに夢と希望を与えてくれてありがとうと伝えたい」と話していました。
3年生の女子生徒は「優勝する瞬間を生で見ることができてとても感動した。最初は得点がゼロで緊張していたが、満塁ホームランが出てから安心して見ることができた」と話していました。
2015年準優勝投手 佐藤世那さん「胸を張って帰ってきて」
仙台育英高校のアルプス席では2015年にチームが準優勝したとき、エースとして活躍した元プロ野球選手の佐藤世那さんが応援しました。
佐藤さんは仙台育英が前回、決勝に進み、準優勝した2015年に、エースとして活躍し、その後プロ野球で3年間プレーしました。
22日は、初優勝を目指す母校を応援するため甲子園球場を訪れ、学校の応援団とともに一塁側のアルプス席で試合を見届けました。
試合が始まると、佐藤さんは「後輩たちをいちばん近くで見たいという素直な気持ちで応援にきました。僕が決勝に出たときは試合を楽しめなかったので、後輩たちには楽しんでほしいですし、何があっても最後まで諦めないでほしいです」とエールを送っていました。
そして、チームが初優勝を決めた瞬間は一緒に観戦に来た仲間たちとハイタッチをして喜び、「本当にすごい。優勝と準優勝は天地の差があると思っています。監督をはじめ、選手みんなの勝ちきる能力やメンタルがすごいと思いました。3年間しっかりやってきたんだなと思います」と話しました。
そのうえで「本当におめでとうしかありません。僕は優勝できなかったので、後輩たちは誇りです。胸を張って東北に帰ってきてほしいです」と話し、偉業を成し遂げた後輩たちをたたえていました。
1989年準優勝投手 大越基さん「後輩がたくましく」
1989年の夏の甲子園で仙台育英高校が準優勝したときのエースで、現在、山口県下関市にある早鞆高校の野球部の大越基監督が取材に応じ、心境を話しました。
新人戦が行われた下関市の野球場で取材に応じた大越監督は、ことしの夏の甲子園の決勝が地元、下関国際高校との対戦となったことについて「私にとってはすごく感動的だ。お互いの監督もチームも分かっているので不思議な感覚だ」と話していました。
また、仙台育英高校のこれまでの戦いについては「自分の時は東北の野球は弱いと言われている中で、その劣等感を払拭(ふっしょく)しようという戦いだった。今ではそういうのが全くなくなり、自分たちで歴史を変えようと取り組んでいて、後輩たちが非常にたくましく感じた」と振り返りました。
また、下関国際については「地元の子どもたちに甲子園の決勝に行きたいと、そういう夢を与えてくれた。野球のレベルアップにもつながると思うので山口の野球の発展にとってすごく大きな貢献だ」と話していました。
プロ野球 楽天 田中将大投手「最後の最後までお疲れ様」
プロ野球・楽天の田中将大投手は自身のツイッターで「皆さん優勝おめでとうございます。下関国際、仙台育英の皆さんは1番長い夏を過ごしたことになります。最後の最後までお疲れ様でした」と決勝を戦った両チームをねぎらいました。
プロ野球 巨人 松原聖弥選手「誇りに思う」
仙台育英高校のOBでプロ野球・巨人の松原聖弥選手は球団を通じて「初優勝おめでとうございます。東北勢初優勝を母校が成し遂げたことをとても誇りに思います。日本一の瞬間を見て自分自身の日本一への思いもより一層強まりました。後輩たちのプレーにたくさんの力をもらったので僕も負けないようにしっかりと結果を出し、日本一を目指して頑張りたいと思います」とコメントしています。
プロ野球 ソフトバンク 上林誠知選手「感動をもらいました」
優勝した仙台育英高校の卒業生で、プロ野球・ソフトバンクの上林誠知選手は「ありがとうのひと言です。決勝も後輩たちの頑張りを見て感動をもらいました。夏を勝ち続けるためには投手が大事だと自身でも高校時代に感じていたので、好投手がそろったことしは見ていて安定感がありました。打撃も常につなぐ意識が感じられましたし、対じしたチームにとっては脅威だったと思います。自主性と競争意識が高い、ことしのチームは本当に強かったと思います」とコメントしています。
男子マラソン 服部勇馬選手「選手たちに感動」
仙台育英高校が夏の全国高校野球で初めて優勝したことについて、学校のOBで東京オリンピック男子マラソンに出場した服部勇馬選手は自身のツイッターで「悲願の初優勝おめでとうございます。甲子園決勝の舞台で躍動する選手たちに感動しました。我が学舎に栄光あれ」と喜びの心境をつづりました。