
「気仙沼さかなの駅」来年1月終了 被災企業結集、復興を後押し
2022年10月20日 6:00
営業終了が決まった気仙沼さかなの駅=6日、気仙沼市田中前2丁目
東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市の鮮魚店などが運営する共同商業施設「気仙沼さかなの駅」が、施設の老朽化により、来年1月15日で営業を終了する方針を固めたことが19日、分かった。震災からの再起を期す店舗が結集して市民の復興を後押しし、市外から支援者が多く訪れた施設が11年の歴史に幕を下ろす。
老朽化、コロナが追い打ち
さかなの駅は2011年12月、同市田中前2丁目の旧カメイ食料流通センターを活用して開業した。鉄骨平屋で売り場面積は約620平方メートル。被災した同市弁天町の気仙沼水産物流通センターに入る企業など9社が出資・設立した「気仙沼さかなの駅株式会社」が運営する。テナントは増減し現在は7店が営業する。
今年7月、建物を所有するカメイ(仙台市)が、老朽化に伴い施設を解体する意向をさかなの駅に伝達した。駅側は市内の別の場所への移転を模索したが、候補地の条件が合わず断念。9月中旬にテナント代表が集まり、営業を来年1月までと決めた。今後、取引先に文書で伝えるという。閉業後は大半の店舗が市内で個別に営業を続ける。
駅内の各店は新型コロナウイルス禍で飲食店との取引が減少。今年4月には鮮魚店が負債を抱え、事業停止した。空きテナントが埋まらず、各店の家賃を増額するなど経営環境が悪化していた。移転するにも設備投資が足かせになった。
各店は気仙沼港に水揚げされた魚や肉、野菜を安価で販売し、市民らの台所を支えてきた。施設はボランティアステーションを併設し、復興支援イベントなどを通じて遠来の客にも親しまれた。12月10日は恒例の創業祭に替え、感謝セールの開催を予定する。
さかなの駅の尾形誠専務(67)は「市民に喜んでもらうことが各店の生きる希望になった。少しは復興の力になれたという自負はあるが、10年が過ぎて、これからという時に続けられず残念だ。終了まで感謝を伝えていきたい」と話した。
Posted at 2022/10/20 20:53:22 | |
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