
上皇后さま 88歳 きょう米寿の誕生日
2022年10月20日 0時03分
上皇后さまは20日、88歳、米寿の誕生日を迎えられました。
上皇后さまは、ことし4月、仮住まい先から東京 港区の赤坂御用地にある、皇太子妃時代のかつてのお住まいにおよそ30年ぶりに移られました。
宮内庁によりますと、仮住まい先の近くの保育園児からフウセンカズラの種を贈られ、お住まいで大切に育てられているということです。
この1年も、年初から感染拡大が続いた新型コロナウイルスについて、上皇さまとともに毎日、その推移を追いながら感染者を気遣われていました。
また、震度6強を観測したことし3月の福島県沖の地震など、各地で発生した自然災害の被災地の様子を見守られているということです。
ことし9月に亡くなったイギリスのエリザベス女王については、深い悲しみのうちに、上皇さまとともに在りし日の姿を思い起こし、これまでの長きにわたる親交に感謝しつつ、冥福を祈られたということです。
皇室では天皇皇后両陛下の長女の愛子さまが去年12月に成年を迎えられ、この春、秋篠宮ご夫妻の長男の悠仁さまが高校に入学されました。
さらにことし6月には三笠宮妃の百合子さまが99歳の白寿を迎えられ、それぞれ、上皇さまとともに喜ばれたということです。
一方、体調面では、おととし5月以降の午後に熱が上がる症状は今もあり、心不全の診断指標となる数値も正常を超える状態が続いているということです。
ことし7月には、後発白内障のレーザー手術を受けたほか、8月には右足のふくらはぎに血栓ができる「深部静脈血栓症・末梢型」と診断されましたが、上皇さまとともに朝夕の散策や朝食後に行う本の音読を続けるなど規則正しく過ごされています。
上皇后さまの誕生日の祝賀行事は、新型コロナの影響などで行われていませんでしたが、ことしは、感染対策を徹底して、簡素な形で4年ぶりに実施されるということです。
上皇后さまの近況
宮内庁が発表した、上皇后さまの近況です。
上皇后さまは、ことし、米寿をお迎えになります。
本年4月、約2年間お住まいになった港区高輪の仙洞仮御所から、赤坂の仙洞御所にお移りになりました。
ご移居当日は、港区長はじめ周辺自治会長等のご挨拶、ご交流のあった保育園児や多くの地元の人々のお見送りを受けられました。
ご散策の途中でしばしばご交流になった近隣の人々、木々や花々に彩られたお庭の四季の移ろいなど、高輪で過ごされた日々は、静かで温かな地元の人々の迎え入れへの感謝の思いと共に、これからも懐かしい大切な思い出として振り返えられることと思います。
保育園児から贈られた園児の摘んだ「ふうせんかずら」の種は、いま仙洞御所で大切に育てられています。
この一年も、新型コロナウイルスの感染拡大が続きました。
特に、本年は年初から新規感染者数が急増し、2月には全国で10万人を超える第6波、7月には20万人を超える第7波による爆発的な感染があり、陛下と毎日その推移を追われながら、感染者を気遣われていらっしゃいました。
また、ことし3月16日の夜中に発生した震度6強を観測する福島県沖地震では、東北新幹線が脱線し、東北地方を中心に大規模な停電が発生しましたが、すぐにテレビをつけ、陛下とご覧になりながら被災地の状況を案じていらっしゃいました。
各地で発生する地震、噴火、大雨等の自然災害には常に目を向けられ、被災地の様子を見守っていらっしゃいます。
沖縄復帰50年に当たることしは、6月に陛下とご一緒に、東京国立博物館で沖縄復帰50年記念特別展「琉球」を、国立公文書館で特別展「沖縄復帰50周年記念特別展・公文書でたどる沖縄の日本復帰」をご覧になりました。
また、7月には平成10年から新型コロナウイルスが感染拡大する前の令和元年まで、毎年のようにご臨席になった小児がん征圧キャンペーン・チャリティーコンサートを御鑑賞になりましたが、その他のお出ましは、恒例の御用邸等でのご静養を含め、お控えになりました。
外部の人とお会いになることも極力見合わされました。
約30年ぶりに戻られた仙洞御所では、いつもどおり規則正しくお過ごしになり、陛下との朝夕のご散策、ご朝食後の音読をお続けになっています。
音読は、東宮御所時代から続けられており、寺田寅彦の「柿の種」、中谷宇吉郎の作品などに続いて、現在は陛下初等科時代の国語教科書をお読みになっています。
(陛下は初等科1年を尋常高等小学校、2年からは国民学校で学ばれ、上皇后さまは小学1年から国民学校に通われましたが、当時の教科書は全国一律に使用する国定教科書でしたので、両陛下は小学2年以降、同じ教科書で学ばれています。)
また、日課として朝夕の新聞をご覧になっていますが、両陛下は、お手許に上がる6紙の半数ずつに目を通され、興味深い記事を互いにお伝えになっておられるようです。
無事にご移居をお済ませになったことのお祝いや、ご高齢になった両陛下のご体調を案ずるお手紙など、ご移居後もさまざまな人々から書状が届き、また、ご本、音楽CD等も多く寄せられ、日々のご生活の潤いとなっています。
ご散策中には、季節の移ろいと共にお庭に咲くバラ、ヒツジグサ、ハスの舞妃蓮、はるかのヒマワリ、ユウスゲなどを、それぞれにまつわる思い出と共に愛おしそうにご覧になっているご様子をお供する人たちから聞いています。
午後のご散策で通られる赤坂御用地の大池等では、アオサギ、カイツブリ、カルガモ、セキレイの季節による行動を興味深そうに追っていらっしゃると伺っています。
沖縄県慰霊の日、広島・長崎原爆の日、終戦記念日並びに阪神淡路大震災及び東日本大震災の発生日には、今でも陛下とご一緒にテレビ中継をご覧になりながらご黙祷なさっています。
また、宮中祭祀が行われる間は、いつも陛下と共にお慎みになっていらっしゃいます。
この一年もご交流のあった人々とのお別れがありました。
ことし1月には、児童文学者で東京子ども図書館を設立した松岡享子さんが亡くなりました。
長年にわたるIBBY(国際児童図書評議会)の活動を通して、静かに友情を深められ、敬愛をもって交流された大切なご友人でした。
東京子ども図書館には幾度も行啓になりましたが、亡くなられる少し前に、上皇后さまとお話したいとのお気持ちに喜んでお応えになり、心深いお会話を交わすことがおできになったと伺っています。
ファッションデザイナーの三宅-生さん、森英恵さん、元内閣官房副長官で恩賜財団母子愛育会会長であった古川貞二郎さん始め、多くの人々との別れを惜しまれました。
9月には英国女王エリザベス2世陛下が崩御され、深いお悲しみのうちに、陛下と共に在りし日の女王陛下のお姿を思い起こされ、これまでの長きにわたるご親交に感謝なさりつつご冥福をお祈りになりました。
ご体調につきましては、一昨年5月から午後にお熱が上がるご症状は今もおありで、心不全の診断指標であるBNP値は、正常を超える数値が続いています。
7月には、東大病院において右眼の後発白内障に対するレーザー後嚢切開術をお受けになり、また、8月には右膝下の静脈に血栓が認められ「深部静脈血栓症(末梢型)」の診断を受けられました。
昨年12月に愛子内親王殿下がご成年をお迎えになり、今春、悠仁親王殿下が筑波大学附属高等学校に入学され、今年6月に崇仁親王妃百合子殿下が白寿をお迎えになったことは、陛下ともども、お喜びのことでした。
ここ3年、お誕生日行事をなさらずに来られましたが、ことしは上皇職の進言をお受けになり、新型コロナウイルスの感染予防に配意された簡素な形で祝賀をお受けになります。
当日は、仙洞御所において、天皇皇后両陛下、皇族代表としての皇嗣同妃両殿下、元皇族およびご親族の代表、宮内庁長官および職員代表としての宮内庁次長、元宮内庁長官等および元側近奉仕者の代表、皇宮警察本部長および上皇護衛課側衛官ならびに上皇職職員による祝賀をお受けになる予定です。