福島県産イチゴを首都圏に 「ゆうやけベリー」県が販売強化へ
2023年12月06日 08時00分
昨冬デビューした「ゆうやけベリー」。県は販売戦略を強化する
福島県は、昨冬デビューさせたイチゴのオリジナル品種「ゆうやけベリー」の販売戦略を強化する。クリスマスや年末年始の需要を見据えた取扱店の紹介ページ開設や収穫ツアーの企画に加え、年明けからは首都圏の消費者をターゲットにした売り込みに乗り出す。20年ぶりに開発した新品種を糸口に首都圏での県産イチゴの知名度向上につなげ、県内が主流の販路を県外市場にも見いだす。
今年産の「ゆうやけベリー」は伊達市や須賀川市、郡山市、福島市など県中、県北を中心に約80戸の農家が計3ヘクタールで栽培しており、生産量は90トンと昨年度(18トン)の5倍に増える見通し。県は2025年度までに栽培面積を10ヘクタール以上に広げる計画で、これまでは生産量が限られるため県内のスーパーや直売所での販売だったが、県外にも目を向け今後、具体的な販売戦略を練る。
県によると、県産イチゴの流通はもともと県内が7割、イチゴの生産が少ない北海道が2割、首都圏が1割ほど。農家の多くは主力品種の「とちおとめ」から置き換える形で「ゆうやけベリー」を栽培しているため、県産イチゴ自体の大幅な増産が見込めるわけではないが、出荷時期の早さや粒の大きさといった独自性を売り込み、商機につなげる。首都圏での知名度を上げ、県内に消費者を呼び込む地域資源としてもアピールしていく。
県は今月、旬に合わせて特設のホームページを開設。「ゆうやけベリー」を使っている菓子店を含む販売店やイチゴ狩りの情報、PR動画などを配信していく。22日には、県内消費者を対象に二本松市の農場で収穫ツアーを行う予定だ。
一方、デビューから間もない「ゆうやけベリー」の知名度はまだ低い。県が県民500人を対象に2月に実施した調査では、認知度は32.6%、食べたことのある人の割合は5.4%にとどまった。また農林水産省によると、22年産の県産イチゴの出荷量(2110トン)は都道府県別で16位。県外に向けても、最多の栃木県(2万2900トン)や福岡県(1万5900トン)などイチゴの産地として定着している地域の品種と競合しながらいかに特徴を売り出していくかが課題になりそうだ。
Posted at 2023/12/06 12:31:28 | |
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