福島県内...訪日客11万9580人、1~9月 4年ぶり10万人台回復
2023年12月08日 08時00分
今年1~9月の福島県内の訪日外国人延べ宿泊者数は11万9580人で、4年ぶりに10万人台に達したことが、観光庁の宿泊旅行統計調査(従業員10人以上の宿泊施設が対象)で分かった。過去最高だった2019年同期の約96%となり、新型コロナウイルス感染症によって落ち込んだインバウンド(訪日客)の回復傾向が鮮明となった。県は、福島空港との定期チャーター便が就航する台湾を軸に、さらなる誘客の上積みを見据える。
10年以降の推移は【グラフ】の通り。11万9580人の内訳は、台湾が5万4620人(46%)と最も多い。次いでタイが1万2800人(11%)、中国が1万730人(9%)、米国が4570人(4%)、香港が4460人(4%)などだった。
本県の外国人宿泊者を巡っては、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が発生した11年は前年から6万3千人以上減少し、2万3990人に落ち込んだ。その後は右肩上がりに推移し、18年に初めて10万人を上回ると、19年には17万8810人となった。
一方、新型コロナの影響で20年からは再び減少に転じ、21年は2万390人と11年を下回り、過去最低を記録した。
県は「アフターコロナ」を見据え、海外での情報発信を強化。台湾やタイ、米国、英国、フランス、スペイン、オーストラリアに現地窓口を設け、現地目線での発信を続けてきた経緯がある。回復傾向に「本県の魅力が徐々に伝わってきた」(観光交流課)としている。
ただ、依然としてコロナ前を下回っており、県の担当者は広大な自然や豊かな食文化など「福島のポテンシャルを十分に生かせていない」と危機感も募らせる。全国的には観光客が集中してオーバーツーリズム(観光公害)が発生する観光地がある一方、県内の回復の動きが他県と比べて鈍い傾向にあるからだ。
それだけに、県が大きな期待を寄せているのが、台湾からの集客だ。福島空港では、来年1月から台湾を結ぶ定期チャーター便の運航が実現する。県は台湾を重点市場に位置付け、内堀雅雄知事が現地を訪問して本県の魅力を発信するなど、積極的な売り込みを展開している。
今年はコロナ禍前には避けられていた夏季の来県も目立ち、県の担当者は「台湾の訪日意欲は高い」と分析する。隣県でも台湾との直行便が運航しており、隣県を巻き込んだ魅力的な周遊ルートを構築できるかどうかが課題となる。
Posted at 2023/12/08 10:08:11 | |
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