「ビャッコイ」自生地を国の天然記念物に 白河市が調査申請
01月19日 19時13分
白河市は、貴重な植物「ビャッコイ」の自生地について国の天然記念物の指定を目指していましたが、必要な調査を実施するための申請を19日までに提出しました。
「ビャッコイ」は北半球では白河市の表郷地区だけに自生しているとされ、白河市が地元の住民らとともに1.4ヘクタールほどの土地を10年ほど前から自生地として定めて、保全活動に取り組んでいます。
しかし近年、生育環境が悪化しているため、市は自生地について国の天然記念物の指定を目指すことを決め、去年6月から指定に必要な土地の所有者の同意の取得を進めていました。
市によりますと、去年のうちにおよそ120人全員から同意が得られたため、市は指定に必要な調査を行うための補助金の申請を19日までに県に提出したということです。
申請は県が確認したあと来月2日までに文化庁に送られるということで、調査では1年を通じた植生の変化のほかビャッコイ以外に保全すべき貴重な生き物や植物がいないかなどを確認するということです。
調査は、ことし4月以降、1年間かけて行われる予定で、白河市文化財課は「土地の所有者に保全に理解いただいたことは、地域で指定を目指していく上でも大きな意義があると考えている。令和8年の早い時期までの指定の申請を目指し、今後もスピード感を持って進めたい」としています。
ビャッコイに詳しい福島大学の黒沢高秀教授は指定に向けた調査の動きについて「ビャッコイの保全に関していえばとても大きな進展だ。地元でも貴重な植物を守る責務も出てくるので、より保全活動が進むのではないかと思う」と述べて、期待を寄せました。
その上で、調査はビャッコイそのものの保全だけでなく、周囲の環境や同じ場所に生息する希少な動植物の実態を明らかにするためにも重要だと指摘しています。
黒沢教授は「ビャッコイが育つようなきれいな湧き水がある環境は人里にはほぼ残っていないため、ほかにも絶滅のおそれのある生き物が生息している可能性が高い。そうした生き物を網羅的に把握し、ビャッコイと共存している貴重な生き物たちの保全につなげられるという意味でも調査の意義は大きい」と話しています。
一方で、これまでの保全のあり方を考え直す必要があるとしていて、「この20年間、ビャッコイの生育面積はどんどん減っており、背景には特定の場所だけを対象とし、ほかのエリアは保全してこなかったという面が大きい。今後はビャッコイという種全体を守るためより広い範囲、視点で考えていく必要がある」と話しています。
Posted at 2024/01/19 21:09:28 | |
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