郡山 受験生死亡事故 被告に懲役12年の実刑判決 福島地裁
09月17日 17時09分
ことし1月、福島県郡山市で酒を飲んで車を運転し、大学受験で大阪から訪れていた19歳の女性をはねて死亡させたなどとして危険運転致死傷などの罪に問われた被告に対し、福島地方裁判所郡山支部は「重大な結果を生じさせる危険性が高い無謀な運転といえ、結果は極めて重大だ」として懲役12年の判決を言い渡しました。
郡山市の池田怜平被告(35)はことし1月22日の早朝、酒を飲んで車を運転したうえ、JR郡山駅前の赤信号をわざと無視して時速およそ70キロで交差点に進入し、大学受験で大阪から訪れていた19歳の予備校生の女性をはねて死亡させたなどとして危険運転致死傷と酒気帯び運転の罪に問われました。
裁判で被告側は「注意力が散漫になっていてわざと赤信号を無視したわけではない」として危険運転致死傷罪は成立しないと主張していました。
17日の判決で、福島地方裁判所郡山支部の下山洋司裁判長は「事故を起こすまで道路状況を適切に把握し、それに応じた運転ができている。飲酒や眠気などの影響で赤信号を見落としたという被告の供述は信用できない」として被告側の主張を退けました。
その上で「およそ500メートルという短い距離を制限速度を上回る速度まで加速しながら複数の赤信号を立て続けに通過したのは重大な結果を生じさせる危険性が高い無謀な運転といえ、結果は極めて重大だ」として懲役12年を言い渡しました。
【亡くなった女性の母親「納得できない」】
判決を受けて、亡くなった女性の母親が弁護士を通じてコメントを出しました。
このなかで母親は、「裁判所が危険運転致死傷罪の成立を認め私たち家族の悲しみや被告を許せない気持ちを十分くんでくださったことは良かったですが、懲役12年というのはあまりに刑が軽いと思います。飲酒をしてスピードを出したまま4か所も信号無視をして娘の命を奪ったのにどうしてこんなに刑が軽いのでしょうか」としています。
そのうえで「被告は言い訳ばかりを繰り返し、反省の態度は一切見られず、その態度を見て私たちは怒りと悲しみを深めるばかりでした。大切な娘の命が奪われたのですから到底納得できないものです。今後、危険運転の罪については更なる厳罰化を強く望むとともに、これ以上私たちのような悲しい思いをする家族が出ないことを切に願います」とコメントしています。
【飲酒運転根絶訴える遺族は】
判決を受けて、飲酒運転のトラックに追突されて幼い2人の娘を亡くし、飲酒運転の根絶を訴える活動を続けている井上保孝さんと郁美さん夫婦がNHKの取材に応じ、「裁判所に赤信号を無視していないという被告の理屈が不合理だと判断されて危険運転致死傷罪が認められたことは良かったと思う。ただ、亡くなった人の数や初犯であることを理由に減刑されたことについては疑問に感じます」と話しました。
そのうえで、「いまだに飲酒運転による悲惨な事故が起きてしまうことは無念だ。この事故の根本にあるのは飲酒運転を悪いと思わず運転したことで、どのようにしたらこうした事故を防げるかを改めて考えなくてはいけないと思う。被告には犯した罪の重さを受け止め、反省と謝罪の気持ちを持ち続けて欲しい」と話していました。
【被告弁護士「判決内容を精査」】
被告側の弁護士は裁判のあと取材に応じ、「被告と相談し、判決内容を精査した上で控訴するかどうか検討します」と話しました。
Posted at 2025/09/17 20:07:58 | |
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