ハマスとの停戦 人質解放の合意発効へ イスラエル閣議承認受け
2025年10月9日午後11時19分
(2025年10月10日午前9時04分更新)
イスラエル
2年にわたるパレスチナのガザ地区での戦闘をめぐり、イスラエルとイスラム組織ハマスが和平計画の第1段階に合意したことを受けて、イスラエル政府は閣議を開いて、これを正式に承認しました。イスラエル側は閣議後、24時間以内に停戦が発効するとしていて、合意が着実に履行され、恒久的な停戦につながるかが焦点です。
イスラエルとハマスはアメリカのトランプ大統領から示された和平計画の第1段階に合意し、これを受けてイスラエル政府は閣議を開いてこれを正式に承認したと10日、発表しました。
トランプ大統領が示した和平計画の第1段階には停戦とガザ地区で拘束されている48人の人質全員の解放、イスラエル軍の部分的な撤退などが盛り込まれていて、イスラエル政府は閣議後、24時間以内に停戦が発効するとしています。
また、イスラエル首相府の報道官は閣議の前に開いた記者会見で、24時間以内に停戦した後、72時間以内に人質が解放されるとしています。
イスラエルとハマスはガザ地区で2023年10月に戦闘が始まってからこれまでに2度、停戦していますが、いずれも短期間で終わり、イスラエル軍は2025年3月から攻撃を再開し、今回の合意の発表後もガザ地区では攻撃が続いていたと報じられていました。
ガザ地区での犠牲者は増え続け、現地の保健当局は9日、これまでに6万7194人が死亡したと発表しています。
今回の合意をめぐりトランプ大統領はみずから中東に向かいたいという考えを示していて、今後、合意が着実に履行され、恒久的な停戦につながるかが焦点です。
イスラエル ネタニヤフ首相 トランプ政権に謝意
イスラエルのネタニヤフ首相は和平計画の第1段階の合意に尽力したアメリカのウィトコフ中東担当特使と、トランプ大統領の娘婿のクシュナー氏をともなって閣議で発言し、アメリカのトランプ政権に謝意を示しました。
このなかでネタニヤフ首相は「この2年間、私たちは戦争の目的の達成のために戦い続けてきた。その核心的な目的の一つが人質全員の帰還だ。そして今、その目標を達成しようとしている」と述べました。
そのうえで「トランプ大統領とそのチーム、ウィトコフ氏とクシュナー氏の並外れた支援がなければ達成できなかった」と述べるとともに、軍事的、外交的圧力があわさってハマスの孤立をもたらし、合意につながったと強調しました。
ハマス幹部「米から戦争が完全に終結したという確約を得た」
イスラム組織ハマスのハイヤ幹部は、9日、ビデオ演説を行い、「われわれはきょう、戦争とガザ地区の住民に対する侵略を終結させ、恒久的な停戦、イスラエル軍の撤退、支援物資の搬入、そして人質交換を開始する合意の締結を発表する」と述べました。
その上でハイヤ幹部は「仲介役を務めた国々とアメリカから、戦争が完全に終結したという確約を得た」として、ガザ地区での戦闘が完全に終結したという認識を示しました。
また、「残された段階を完了すべく、各国と引き続き協力していく。そしてエルサレムを首都とする独立国家の樹立まで、パレスチナ人の利益、自決権、そして権利の実現のために力を尽くす」と述べ、引き続き、役割を果たすと強調しました。
国連 グテーレス事務総長「この合意は救いの光をもたらす」
国連のグテーレス事務総長は9日、記者会見し、「この合意は救いの光をもたらす。その光は平和の夜明けとなり、壊滅的な戦争の終わりのはじまりとならなければならない」と述べ今回の合意を歓迎するとともに、イスラエルとパレスチナの2国家が共存する和平につながることへの期待を示しました。
さらに「国連は全面的な支援を提供する用意がある。われわれはただちに食料や水、医療、避難所の支援を拡大できる」と述べたうえで、人道支援を行うため、加盟国に対し資金提供を呼びかけました。
イラン外務省「イスラエル政権が合意を破らないか警戒を」
ハマスの後ろ盾となってきたイランの外務省は9日、声明を出し、「すべての関係者に対しイスラエルの政権が合意を破らないか警戒するよう呼びかける」としてイスラエルが合意を着実に履行するのか見極めていく姿勢を強調しました。
Posted at 2025/10/10 10:09:54 | |
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