涙と歓声に包まれるパレスチナ イスラエルが2000人を釈放、大多数が司法なき拘束 暴行の訴えも
2025.10.14 Tue posted at 10:30 JST
ハンユニスのナセル病院前で、イスラエルの刑務所から釈放され、ガザに到着したパレスチナ人囚人を迎える人々=13日/Abdel Kareem Hana/AP
ハンユニスのナセル病院前で、イスラエルの刑務所から釈放され、ガザに到着したパレスチナ人囚人を迎える人々=13日/Abdel Kareem Hana/AP
(CNN) イスラエルは13日、パレスチナ自治区ガザ地区での停戦合意の一環として、刑務所で拘束していたパレスチナ人約2000人を釈放した。一部は数十年ぶりに家族と再会を果たした。
今回解放されたパレスチナ人のうち1700人以上は、2023年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃後、イスラエル軍がガザで拘束し、何の罪にも問われることなく勾留されていた。残る250人は殺人などの罪で長期の禁錮刑を言い渡されて服役していた。中にはイスラエルの刑務所で頻繁に暴行を受けていたと訴える人もいる。
ガザ南部のナセル病院には13日、解放されたパレスチナ人を乗せた約40台のバスが到着。病院には大勢の住民が詰めかけて歓声を上げ、車列を先導したピックアップトラックでは武装した覆面姿の男性たちが祝砲を放った。
解放された人たちはバスの窓から身を乗り出したり、Vサインを出したり、手を振ったり、パレスチナ国旗を掲げたりしていた。灰色の囚人服姿でバスの屋根によじ登り、ハマスの旗を振る人もいた。
幼い男の子が涙を流しながら抱え上げられ、解放された人と抱き合う場面もあった。
イスラエルの裁判所で有罪を言い渡されて長期間服役していたパレスチナ人のうち96人は、ヨルダン川西岸と東エルサレム、ガザに戻った。殺人などの重い罪に問われた154人はエジプトへ移送された。
中にはイスラエルの刑務所に20年以上収容されていた受刑者もいる。
バスでガザに到着したパレスチナ人囚人たちを出迎えるため、人々が集まった=13日/Abdel Kareem Hana/AP A large crowd gathered
バスでガザに到着したパレスチナ人囚人たちを出迎えるため、人々が集まった=13日/Abdel Kareem Hana/AP A large crowd gathered
ヨルダン川西岸のラマラでも、大勢の人が集まって出迎える中、解放された人たちが家族と再会を果たした。イスラエル当局は解放を前にヨルダン川西岸でビラをまき、祝賀行事の禁止を通告していた。
パレスチナ赤新月社によると、ラマラで解放された受刑者のうち数人は、バスに乗る前にイスラエルの治安要員から暴行され、肋骨(ろっこつ)骨折や目のけがなどの外傷を負っていた。
これに対してイスラエル刑務局は、そうした主張については認識していないと述べ、「我々の知る限り、当局の責任下でそうした事案は起きていない」とCNNに語った。
服役中に暴行されたと主張する元受刑者もいる。殺人罪で3度の終身刑を言い渡されたアハメド・アワドさんは「囚人は想像を絶する扱いを受けている。奴らは我々を辱め、何の理由もなく毎日我々を殴った」と訴える。
ラマラでCNNの取材に応じたファイサル・マフムード・アブドゥラ・ハリーフィさんも「治療は一切受けられず、鎮痛剤さえ服用できなかった」と言い、「医者からも殴られた。我々を最初に殴ったのは医者だった」と話している。ハリーフィさんは治安関連の罪や武器所持などの罪に問われて服役していた。
パレスチナの刑務当局は13日、「多くの受刑者、特にガザ出身者には、身体的・精神的な拷問を受けた明らかな痕跡があり、解放の直前まで虐待が記録されていた」と発表した。
イスラエル刑務所のパレスチナ人受刑者に対する虐待については人権団体も指摘している。CNNの昨年の調査報道では、イスラエルの内部告発者3人が、勾留施設で殴る蹴るなどの暴行があったと証言していた。
Posted at 2025/10/15 00:28:40 | |
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